R CrB の減光からの回復期に UBVR 測光観測を行った。観測はコーカサスの Terskol Peak 3100 m の 0.5 m 鏡で 1977 - 78, 1982, 1983 - 84 に行われた。 | ΔV = 3.81Δ(V-R), ΔV = 3.20Δ(B-V), ΔV = 2.12Δ(U-B) である。R CrB のダストの光学的性質は星間物質とよく 似ている。 |
RCB 星周囲のダスト雲 RCB 型変光星はランダムなアルゴル的変光を示す。それらの特徴は (1)ヘリウム過多、水素欠乏組成。 (2)中程度の準周期的変光 (3)極小期に明るい輝線 (4)偏光度の変化 (5)赤外超過 Feast, Glass (1973) 上の幾つかは、ダスト雲の存在で説明される。星が暗くなると、 カラー、赤外超過、偏光度、輝線強度が増加する。ここでは、ダストの起源の 問題には触れず、ダストの光学的性質を調べる。 |
星周ダストは星間ダストと異なる? 長い間、次の2つが問題とされてきた: a). 赤化ファクター R の違い R = AV/EB-V = ΔV/Δ(B-V)の値が光度 下降期 Rd と上昇期 Ru とで異なり、 Rd >> Ru である。 b). 光度上昇中、Ru の変動が大きい。 これ等の特徴から、RCB のダストは星間ダストと異なる、と考える意見もある。 この論文では、そうではなく、 RCB 型星のダストは星間ダストに近いこと を示す。 |
薄い時期の観測が必要 Fernie et al 1972 は Rd >> RIS はダスト 固有の性質の差ではなく、雲内の円盤等の構造が関係する可能性を指摘した。 Pugach 1984 は雲の非一様性から Rd と Ru の 変動を説明した。このような、構造、非一様性の影響を小さくするには、 ΔV = 0.5 mag 程度の定常光度に近く、雲を一様と看做せるあたりで の観測が必要である。 |
観測仕様 R CrB が減光から 5.8 - 6.6 の定常光度に回復しきる寸前に、コーカサスの Terskol Peak 3100 m の 0.5 m 鏡で UBVR 測光を行った。測光器は 単チャネル光電管である。比較星には HD 141352 = BD +28°2475 (F2), チェック用に HD 140913 = BD +28°2469 (G0 V) を用いた。それらの等級 は標準星 BS 5889 = HD 141714 = BD +26°2737 (G5 III) との比較で 決めた。 |
観測は二つの R CrB 極小、 1977 - 1978 と 1982 で、また 1983 - 1984
極小は Goncharova 1985 により行われた。図1にカラーと V 等級との相関を示す。
実線は、それぞれ、 ΔV = 3.81Δ(V-R), ΔV = 3.20Δ(B-V), ΔV = 2.12Δ(U-B) を示す。 |
図から2つのことが判る。 1.3つの極小からのデータは一つの関係式にまとめられる。これはダストの 性質が安定していることを示す。 2.V - (B-V) 関係と V - (V-R) 関係は星間空間での関係と一致する。 RCB ダストは 0.4 - 0.7 μm の範囲で星間物質と同じ減光効果を示す。> このように、RCB ダストは R,V,B バンドで星間物質とよく似た減光を示し、 U バンドでは少しずれる。 |