An IRAS Survey of IR Excesses in G-Type Stars


Odenwald
1986 ApJ 307, 711 - 722




 アブストラクト 

 IRAS PSC を用いて G-型星の赤外超過を調べた。こうして得た 3803 IRAS 天体中で 28 天体に λ ≥ 25 μm の超過を見出した。赤外超過の ある星の大部分は超巨星であった。  その一つ、IRAS 11059-7721 は G-型の主系列星でその光学的深さはベガの 星周層の 20,000 倍である。


 1.イントロダクション 

 Stothers 1975 は、黄色超巨星の幾つかが赤色巨星期の "fossile" ダスト シェルではないかと述べた。IRAS により早期型星の赤外超過は珍しくない ことが分かった。Odenwald 1985a, b は G-型星の赤外超過を調べた。  ここではその結果を合わせ、超過の起源を調べる。


 表1.赤外超過のある IRAS G-型星 





 2.選択基準 

 候補 

(1)ESO, UGC, Zwicky カタログと参照して、G 型星と位置が近い IRAS 天体を選んだ。3803 天体あった。 1985 年の調査では IRC カタログ や AFGL カタログと重なった天体は低温度星として省いたが、今回は 省かなかった。

(2)少なくとも IRAS の2バンドで受かっている。この結果、 グループ I = 140 星は3つまたは4つのバンドで受かっている。 一方、グループ II = 1093 星は 二つのみである。

  

 
 超過 

 観測シグナルを 5000 K BB で較正してフラックスを出した。 グループ I では 79 天体に有意な超過が認められた。 グループI からは 223 天体に超過があった。シラス等も 調べた。最終的に残った 28 天体を表1に示す。  


 図1.赤外超過分の連続スペクトル 









 3.赤外超過の較正 

 図1に超過分のスペクトルを示す。誤差の最大の源は星連続光の差し引き である。その際、星間減光の評価が影響大である。


 図2.IRAS 以外のデータのある 10 星の SEDs 







 4.コメント 

 10星は以前から調べらていて、地上データがある。図2にそれらの SED を示す。

 IRAS 07284-0940 (U Mon) 

 U Mon は RV Tau 型変光星である。シリケイト放射帯が強い。ほぼ 300 K のダストシェルでフィットできる。

 IRAS 09079-1942 (TU Pyx) 

 Bidelman の再分類では M5 となった。

 IRAS 10358+3214 (HR 4166) 

 NIR までは BB(53K) で合うが、 IRAS 領域で超過がある。

IRAS 11385=5517(HD 101584)

 この F2e Iap 星の赤外超過は最初に Humphreys, Ney 1974 a, b により注目された。 彼らはそれを F2 超巨星とM5超巨星の連星と考えた。 Stothers 1975 とFeast et al 1977 はダストシェルとした。IRAS データも含めると単一ダスト温度で全体をフィット することは難しい。
 IRAS 12067-4508 (RU Cen) 

 Gehrz, Ney 1972 は黄色超巨星 RV Tau 型変光星サーベイの一つとしてこの 星の 2.2 - 18 μm 測光を行った。その結果 7 - 13 μm の幅広な放射帯と 18 μm に鋭い放射が見つかった。それは C-リッチ RV Tau 星の AC Her と 似ている。

 IRAS 13436-6220 (O1 Cen) 

 この星 HR 5171A は 銀河系内で最も明るい星の一つとされる。Mv = -8.8. 星間減光は Av = 3.18 である。D = 3.6 kpc. 最も強いシリケイト帯を示す。
(LRS に載ってない )


 IRAS 17109-3942 (HD 155603) 

 

 IRAS 19114+0002 (RAFGL 2343) 

 G5 より少し晩期らしい。M 型という説もあり分光が必要。

 IRAS 19132-3336 (RY Sgr) 

 P = 38.4 d の変光星である。振幅最大の変光星

 IRAS 20117+1634 (R Sge) 

RV Tau 星。


 表2.星周物質の赤外性質 



 6.星周層の物理条件 


図3.赤外光学的深さと星からの距離。


 7.結論 

 超検出の割り合い 

 IRAS PSC にある 3803 G 型星で赤外超過を調べた。28 星に超過が見つかっ た。その大部分は超巨星である。IRAS で検出された 150 の G 型超巨星の内、 赤外超過が見つかったのは 4 % 以下である。それらが pre-RSG か post-RSG 期か決められないが、その期間は 50 - 100 年程度の短期間である。

 主系列星 

 IRAS 11059-7721 と IRAS 21450-4732 は主系列 G-型星と知られている。 IRAS 21450-4732 は既にベガ型星の一つとして有名である。IRAS 11059-7721 の光学的深さはベガの 20,000 倍に及ぶ。

 長波長で下がる 

 19 サンプルでは 60 μm の先でフラックスは低下し、 50 K より低温の ダストは要らない。
 ダストサイズ 

 IRAS 05179+0535, 10282-5231, 11294-5909, 11563+7719, 12067-4508 では FIR は単一温度 BB でフィットできる。 ダストサイズが大きいのではないか ?

 長波長で下がらない 

 8天体では 60 μm の先でもフラックスがさがらない