No Evidence for Significant Age Spreads in Young Massive LMC Clusters


Niederhofer, Hilker, Bastian, Silva-Villa
2015 AA 575,




 アブストラクト 

 最近、星団が単純星種族かどうかに疑問が提示されている。特に、 LMC の 中間年齢 1 - 2 Gyr の大きな星団では、 CMD から年齢幅が 100 - 500 Myr に及ぶ証拠が見つかっている。これらの星団で複数回の星形成が起きたなら、 t < 1 Gyr の若い星団でも同程度の年齢の広がりが見えるはずである。この 仮説を調べるため、八つの若い LMC 星団 NGC 1831, NGC 1847, NGC 1850, NGC 2004, NGC 2100, NGC 2136, NGC 2157, NGC 2249 の HST データを調べた。  これら星団の CMD を解析し、その星形成史をフィットして年齢幅の上限を 導いた。これらの星団のどれにも、中間年齢星団で提案されているような 広がった星形成史の証拠はなかった。人工星によるテストは最も若い星団での 年齢広がりは測光エラーで説明可能な範囲である。副産物として NGC 1850 の年齢がこれまでの 30 Myr よりずっと古い 100 Myr であることが判った。





表1.LMC 星団のパラメタ―

 2.観測と解析 




図1.NGC 2136 のカラーエラー

  

 

  

 

  

 



図2.NGC 1850 のカラーエラーモデル




図3.NGC 1847 星の WFPC2 チップ上の位置。赤丸=コア半径の2倍。 2重丸間の輪領域=フィールド星。アステリスク=星団中心。

 





図4.サンプル星団の CMD. 黒点=解析に使用。シアン点=フィールド星 として除去。NGC 2175 は (V-I, I) 表示なことに注意。




図5.上:人工星星団 20, 100, 125Myr, 1.1 Gyr の CMD. 単純種族星団の 測光エラーが星形成史フィットにどう反映するかを調べた。赤線= 理論等時線。下:上のモデル星団に星形成史フィットを行った結果。 赤破線=星形成史のガウシアン近似。 20 Myr 星団のフィットはピーク 20.1 Myr, 偏差 1.5 Myr を与えた。100 Myr モデルには 102 Myr と 8.4 Myr, 125 Myr モデルには 130 Myr と 9.6 Myr, 1.1 Gyr モデルには 1.2 Gyr と 111 Myr が与えられた。

 3.人工星テスト 

 4.結果 




図6.左:若い星団の質量対有効半径図。黒丸=この研究。黒点= McLaughlin, vanderMarel 2005 からの類似星団。二重丸=Bastia, Silva-Villa 2013 が解析した2星団。赤三角= Goudfrooij et al 2009, 2011 の中間年齢星団。NGC 1847 は半径が不確定なので省いた。NGC 1850 質量は 我々が定めた年齢と合うように文献値の2倍とした。
右:左と同じだが、コア半径を使用。Keller et al 2011 が示したように、 コア半径は年齢と共に散らばりが大きくなる。Goudfrooij et al 2009, 2011 の半径は我々が決めた値より大きめである。Goudfrooij et al 2009, 2011 は 数密度から、McLaughlin, vanderMarel 2005 は輝度から半径を決めている ことが原因であろう。





表2.星形成史をフィットした範囲。

 4.1.NGC 2249 

  

 

  

 

  

 

図8.NGC 2249 の星形成史。黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 1.11 Gyr, 標準偏差= 139 Myr.  





図7.NGC 2249 の CMD. 3種類の年齢でモデルヘス図を重ねた。

 4.2.NGC 1831 

  

 

  

 

  

 

図10.NGC 1831 の星形成史。黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 924 Myr, 標準偏差= 126 Myr.  





図9.NGC 1831 の CMD. 3種類の年齢でモデルヘス図を重ねた。

 4.3.NGC 2136 


図13.NGC 2136 のCMD。t = 200 Myr ヘス図を重ねた.     

 

  

 

  

 

図12.NGC 2136 の星形成史。黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 123.3 Myr, 標準偏差= 22.6 Myr.  





図11.NGC 2136 の CMD. 3種類の年齢でモデルヘス図を重ねた。

 4.4.NGC 2157 

  

 

  

 

  

 

図15.NGC 2157 の星形成史。黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 98.3 Myr, 標準偏差= 13.2 Myr.  



図14.NGC 2157 の CMD. 3種類の年齢でモデルヘス図を重ねた。

 4.5.NGC 1850 


図17.NGC 1850 の星形成史。黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 93.4 Myr, 標準偏差= 18.3 Myr.  

図17.NGC 1850 の星形成史。黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 93.4 Myr, 標準偏差= 18.3 Myr.  



図16.NGC 1850 の CMD. 3種類の年齢でモデルヘス図を重ねた。

 4.6.NGC 1847 


図20.NGC 1847 の星形成史。黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 56.7 Myr, 標準偏差= 4.8 Myr. t = 14 - 30 Myr の不規則な星形成は 57 Myr 主系列より明るいところに ある星を説明するためである。    

図21.NGC 1847 の星形成史を用いた人工 CMD。 年齢ごとに色分けした。  



図19.NGC 1847 の CMD。20 - 60 Myr の6種類の年齢のヘス図を 付けた。

 4.7.NGC 2004 

  

 

  

 

  

 

図26.NGC 2004 の星形成史。 黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 19.5 Myr, 標準偏差= 1.4 Myr.    



図24.NGC 2004 のCMD. 年齢 18 - 28 Myr の三種類の等時線図を重ねた。




図25.NGC 2004 のCMD. 年齢 18 - 28 Myr の三種類の Marigo et al 2008 等時線図を重ねた。

 4.8.NGC 2100 




図27.NGC 2100 のCMD. 三種類の赤化、青、緑、赤を重ねた。




図29.NGC 2100 のCMDを回転し、減光線が水平になるようにした。 赤は中心、青は中心を除いた領域に分布。微分赤化を示唆する。




図31.NGC 2100 の星形成史。黒点=年齢ごとの質量寄与分。実線= ガウシャンフィット。ピーク= 19.5 Myr, 標準偏差=2.0 Myr.



図28.NGC 2100 の三種類の赤化を受けた星の空間分布。 赤は中心、青は中心を除いた領域に分布。微分赤化を示唆する。




図30.NGC 2100 の 微分減光補正後のCMD。




図33.t = 63 Myr での NGC 2100 の post-AGB 星の出現率。 星形成史に基づいた 1000 人工星団のモデルによる。



図32.NGC 2100 の微分赤化補正後のCMD. 三種類の年齢 16 - 60 Myr, のヘス図を重ねた。

 5.議論と結論 

  

 

  

 

  

 



表3.星形成史フィットのまとめ