この論文の目的は北天の高光度星サーベイの第1ステップである。これは ハンブルグ天文台とワーナースワーゼイ天文台の合同研究である。Slettebak, Stock 1957 は対物プリズムの紫波長域スペクトルのバルマー不連続を使った 選択基準を発表した。我々も類似の研究を行った。 B6 - G0 の間で、 Ia, Ib, II の光度クラスを区別できた。B7 - A5 では光度クラス III が 認識された。 | 特異星に関する結果は以下の通り。紫外スペクトルは白色矮星と ある種の A 型星の同定に特に有益である。しかし、多くの特異星は この分散度では普通の星に見える。RR Lyr 型星は通常の Ib - II クラス の普通の A 型星に見える。λ = 5900 - 6900 A での銀河系サーベイ が早期型星を高光度 OB 星から区別するために行われた。これらの乾板は 惑星状星雲や輝線星の検出に有用であり、早期 M-型、S-型星の検出にも 赤外サーベイより有用である。強い CN バンドを持つ炭素星も検出可能 である。 |
Slettebak, Stock 1957, 1959 は対物プリズムの紫波長域スペクトル から高光度天体の選択基準を発表した。我々はこれをやや暗い方まで、および 特異星に拡張した。また、基準を我々の望遠鏡に合うよう変更した。 | やや暗い OB 星は Hα 輝線を持つので、この波長帯も含めた。これで、 W-R 星、S-型星、炭素星、早期 M-型星の検出法が確立した。 |
紫外対物プリズムは 4.5°, 口径 24 インチ、ショット UBK7 ガラスで 出来ている。Burrell Schmidt 望遠鏡につけ 580 A/mm (at Hγ) 分散 で 3300 A までのスペクトルを得た。 | MK タイプ既知の標準星を平均4回撮影した。天体には OB-星、ほぼ全ての 光度クラスの B5 - G0 型星、準矮星、 W-R 星、変光星、特異星が含まれる。 |
OB 星 水素線の強度がこれらの星の分離に使える。強度により OB+, OB, OB- の光度クラスに分かれる。図1a, b がそれらを示す。MK タイプは Johnson, Morgan 1953 から得た。 B6 - A2 超巨星に対しては、水素線の強度が温度指標である。B6 Ia では、 水素線は OB 星と同じくらいの強度で、 A2 Ib では OB- より少し 弱くなる。A2 Ib と A2 V の水素線の強度を図1 c, d に示す。バルマー不連続 は晩期型になるにつれ強まって行く。それはまた光度が大きくなるにつれて 強くなっていく。A2 Ia と A2 Ib では通常 K 線が見える。 A3 - A7 K, H 線の強度が温度決定に用いられる。 バルマー不連続が光度基準に 使われる。これは Ia で最大になる。光度クラス III では紫外連続光の 勾配が用いられる。 F0 - G0 H 線と K 線の等しくなるのは F2 型 (図1 e, f) である。晩期になると 水素線は消えていく。G バンドは F5 から見えるようになる。 F8 では Hγ が G バンドと同じくらいになる。 |
F2 F2 Ia ではバルマー不連続は A 型 Ia 星と同じくらいに強い。 クラス V では紫外連続光は A 型星より滑らかになる。 F5 F5 Ia のバルマー不連続は依然として強い。それは Ib でも見えるが 光度クラス II ではほとんど見えなくなる。 F8 F8 と G0 ではバルマー不連続は弱すぎて、光度クラスの分別には使えない。 しかし、クラス Ia には次の特徴がある。(1)紫外連続光が急。(2) G バンドの赤側で、λ4500 の細いバンド、4600 と 4800 の間に広い バンドが存在する。(3)G-バンドでの弱い折れ曲がり。(4)λ4172 が弱いが存在。(5)H9 が F8 V より弱い。 G0 G0 Ia の特徴は、(1)紫外の吸収線の全体的な様子が F8 Ia と明らかに 異なる。(2) H9 がクラス V より強い。(3)Sr II λ4078 が 見える。(4)G-バンド折れ曲がりがはっきりしている。(5)F8 ia で見え た赤い連続光は見える。 クラス III は V と区別できない。 |
白色矮星 準矮星 複合星 OB 星と似た水素欠乏星 RR Lyrae T Tau と フレア星 WR 星 1ダースほどの、信頼できる分類のある WR 星の経験から、これらの星を 炭素系列または窒素系列に位置付けることは正しく出来そうである。しかし、 スペクトルの様子は星毎に大きく変わり、分類の一般規則を書き記すことは 難しい。標準星と個別に比較するのが一番である。 分類に当たり一般的に云えるのは、(1)λ4686 付近の様子。(2) NV λ3483 ありなら WN 星。(3)輝線の位置と相対強度。 いくつかのケースでは WR は PN と混同される。図3の WC 星分類は Sanford, Wilson 1939, WN 星は Beals 1938 による。 |
![]() 図3.WR星の対物プリズムスペクトル。WN6 = HD 192163. WC7 = HD 192103. |