Spectra of BD Stars within Five Degrees of the North Pole


Nassau, Seyfert
1946 ApJ 103, 117 - 133




 アブストラクト

 北極から 5° 以内の BD 星全てのスペクトル型と光度クラス分類を Burrell 望遠鏡 4° 対物プリズム観測から決めた。スペクトル型分類の基準が確立 された。また G2 より晩期の星については巨星と矮星を区別する基準が作られた。 我々の分類と HD システムとの間の一致は良い。  我々の結果による 6 - 11 等での矮星の割合は他の研究と一致する。 選択吸収は 450 pc で 0.30 等まで距離に比例して増加する。その先では 吸収量一定である。平均固有カラーを矮星のスペクトル型毎に、巨星では G0 より晩期について、求めた。


 2.スペクトル型の分類基準 

 既知スペクトルと比較して基準決定 

 我々の分類基準は北極付近にある既知の HD スペクトル、他領域の 明るい星のスペクトルと比較して得られた。得た基準は、

 B-型星 

 B0 Hライン弱い。He λ4026, λ4471 H 線と同じ強さ。
 B2 Hラインよく見える。He 線もある。
 B5 Hラインはっきりする。He λ4026, λ4471 ぎりぎり。
 B8 Hライン強い。 He 見えない。K 線見えない。
 B9 Hライン強い。K 線見え始める。


 A-型星 

 A0 Hライン強く幅広。弱い K 線
 A2 Hライン A0 と同じ。K 線よく見え、(H 線+Hε)/3
 A3 Hラインが少し弱くなる。K 線強く、(H 線+Hε)/2
 A5 Hライン A3 より弱い。K 線=(H 線+Hε)*(3/4)


 F-型星 

 F0 Hライン A5 より弱い。K 線(H 線+Hε)より少し弱い。
   G-バンドは見えない。
 F2 K 線 = (H 線+Hε) G-バンド見え掛け。
 F5 K 線 = (H 線+Hε) G-バンド=Hγ/2
 F8 G-バンド=Hγ H ラインは良く見える。
G-型星 

 G0 G-バンド > Hγ H ライン弱いが見える。
 G2 G-バンド > Hγ*2
 G5 G-バンド非常に強い。Hδ見えない。CaI &lambda:4227 なし。
 G8 G-バンドで連続光折れる。CaI &lambda:4227 見える。H ラインなし。


 K-型星 

 K0 G-バンドで連続光折れ強まり、&lambda:4227 よりずっと強い。
 K2 G-バンド &lambda:4227 より少し強い。
 K3 G-バンド = &lambda:4227
 K5 G-バンド < &lambda:4227 TiO 見えない。


 M-型星 

 M0 &lambda:4950 バンドヘッドが見える。
 M2 &lambda:4950 バンドヘッド強い。&lambda:4760 見える。
 M5 &lambda:4950, &lambda:4760, &lambda:4585 バンドヘッド見える。
 M8 全 TiO 非常に強い。


 3.光度クラス 

 G2 より晩期では CN バンドを使い、矮星と巨星を区別できる。 G2 - K3 では CN λ3883, λ4215 を光度区別に使う。 これ等のバンドは巨星で強く、矮星で弱い。G2 では CN λ3883 が最も 有用である。G8 - K3 では CN λ4215 が鋭敏である。  K5 より晩期では λ4227 と G-バンドの間の連続光強度が 光度基準として最も良い。もし λ4227 の赤い側の連続光が青い側より 強いか同じくらいなら巨星である。もし赤い側が青い側より弱かったら 矮星である。


 4.他のシステムとの比較 




表1の例.北極の 5° 以内の BD 星リスト。photovisual 等級 mpv とカラー指数 CI は Seares, Ross, Joyner 1941 から採った。スペクトル型 は我々の決定である。

 HDとの比較 

 表1には HD スペクトルタイプが 150 星含まれている。そこで、図1には HD スペクトル型と我々の決めたスペクトル型を比べた。大体良く合っているが、 HD には G8 が含まれていないので、そこでばらつきが大きい。

 Upsala との比較 

 Upsala と Case とで共通な星で巨星、矮星の区別を比べた。 231/262 = 88 % が一致した。一方で Bergedorfer Spectral Durchmusterung との比較では 33 % しか一致しなかった。

 矮星の割合 

 表2には mpv = 6 - 11 で G2 - M5 の星について矮星の割合 を示した。この値は van Rhijn, Bok, Van de Kamp, Vyssotsky の結果と 特に K-型で良く合う。

表2.北極から 5° 以内での矮星の割合。



図1.HD スペクトル型と今回決めたスペクトル型との比較。

 5.選択吸収(カラーエクセス) 

 選択吸収の決定 

 Seares, Joyner 1943 は北極から 10° 以内の星から選択吸収の 係数(?)を得て、固有カラーとスペクトルの関係を確立した。しかし、 巨星と矮星との区別は色指数に基づいて行われた。一方我々は 1150 の 巨星と矮星に区別された均質なスペクトルを持っている。それらは北極 から 5° 以内の星である。このデータに Seares, Ross, Joyner の カラーを加え、さらに Seares, Joyner 1943 が与えた絶対等級を用い、 選択吸収を各星毎に定めた。その結果、選択吸収が距離に比例して増加 し、 450 pc で 0.30 mag に達し、その先は一定であることが判った。 この結果は Seares, Joyner 1943 と一致する。

 違う値もある 

 しかし、Stebbins, Huffer, Whitford 1941 は、北極から 10° 以内の 75 星の観測に基づき、選択吸収係数が上の値の 2/3 であると述べている。

 固有カラー 

 我々は自分たちで得た選択吸収係数を用いて、各スペクトル型毎に 固有カラーを決めた。
(無矛盾か? 選択吸収は固有カラー を使って決めたのではないか?逐次近似必要?)
それらを図2と表3に示す。表の第4列は Seares, Joyner 1943 の値である。差が小さいことが判る。

図2.北極近くの星に対する固有カラー・スペクトル型関係。下の 曲線=矮星。上の曲線=巨星。




表3.星の固有カラー