アブストラクト晩期型星の星間赤化を決める新しい方法を開発し、高銀緯球状星団 M 3, M 13, それに銀河 M31, M 33 に応用した。球状星団への色超過はゼロ: E(B-V) M3 = -0.01 ± 0.02, E(B-V)M13 = 0.00 ± 0.02 である。さらに、E(B-V)M31 = 0.11 ± 0.02, E(B-V)M33 = 0.03 ± 0.02 であった。M 31 の方向には、銀河面 の下に吸収物質が広がっているらしい。 |
1.イントロ系外天体の赤化を知るには手前の銀河円盤吸収層の上にある銀河系内の星の 赤化が有用である。O,B型星は理想的だが数が少ない。この論文では銀河系内に 大量に存在する晩期型巨星の赤化が利用できることを示す。U B V データだけでは次の理由で、これらの星の赤化決定に不十分である。 (1)紫外超過量が不明。 (2)(U-B, B-V) の固有関係は星の光度による。 しかし、McClure, van den Bergh 1968 は、UBV 測光に中帯域測光を組み合わせて メタル量と表面重力の影響を分離できることを示した。 ここでは、カラー指数 C(42-45), C(45-48), B-V に基づいて赤化を決める方法を 定式化し、高銀緯の4領域に応用する。 |
サンプル=近傍の巨星 赤化の較正に、 V = 4.0 より明るく、スペクトル型 G0 - M0, 光度クラス III-IV, III, II - III の57星が観測された。それらは、UBV 測光、カラー指数 C(42-45), C(45-48) が揃っている。大部分の星は 50 pc より内側にあり赤化はないと考える。 赤化フリー G バンド指数 C∗(42-45) 図1は赤化フリー G バンドブレーク指数 C∗(42-45) 対 (B-V) をプロットした。McClure,van den Bergh 1968 (論文I)から採った光度クラス III に対する関係が実線で引いてある。観測に良く合っている。図1上での星の 位置は、見ての通り、有効温度だけでなく表面重力にも依っている。したがって、 赤化を定める前に、表面重力の効果を知る必要がある。 連続光指数 C(45-48) 論文Iでは C(45-48) が晩期型星の表面重力のよい区別指標であると指摘されていた。 図2は C(42-45) - C(45-48) プロットである。クラス IIII 星の関係は、 C(42-45) = 2.222 C(45-48) - 1.761 である。 表面重力効果が図2の分散の主な原因である。 ズレ Δ とは? 図1では Δ C∗(42-45) に表面重力効果があり、 光度クラスで縦に分離することが指摘された。また、図2ではさらに、 C(45-48) が表面重力効果を持ち、プロット点の分散を生じさせている。 そこで、個々の星について平均値からの分散の Δ C∗(42-45) = C∗(42-45) - C∗(42-45)[図1実線: B-V の関数] = 図1上、星と実線との縦の差 Δ C(42-45) = C(42-45) - [図2実線: C(45-48) の関数] = 図2上、星と実線との縦の差 を求め、図3に示した。これらの星は赤化なしと考えるので、星の固有カラーの 間の関係として次の近似式を得る。 Δ C∗(42-45) = 0.430 Δ C(42-45) (2) 図に見られるこのタイトな関係は、図1,2のプロットが示す分散が強く相関しており、 やはり、表面重力が分散の共通の原因であることを強く示唆する。 Δ - Δ 関係 図3の鎖線は、クラス III-IV, III, II-III 間の境界である。したがって、これを 使って光度クラスを決めることができる。クラス II, IV の星の観測は図3の相関 を確認したが、(1)暗い星は赤化調査に役立たない、(2)明るいが数が少ない 理由により扱わない。 赤化の導出 メタル量効果を得るため、図1,2に [Fe/H]<-0.4 の低メタル星を白丸で示 した。強ライン星はクロスである。図1、2、3で、これら低メタル、高メタル星 は通常星と同じ平均ラインに乗る。したがって、図3で星から実線へ赤化ベクトル を引いて赤化を決める方法はメタル量によって影響を受けない。図3で、メタル量 効果は表面重力効果と同じ方向に沿って星をずらすのである。 しかし、Δ - Δ 図にプロットするためには 赤化を戻した、 (B-V), C(45-48) が必要じゃないのか? いいのかなあ。 UBV が不十分なわけ 図4には同じ星を, U-B, B-V 面上にプロットした。低メタル星と高メタル星が Scmidt-Kaler 1065 のクラスIII固有直線を挟んで両側に分かれて位置することが 判る。これが、何故 UBV 測光のみでは高緯度晩期型星の赤化を決められないかと いう問いに対する解答である。 Δ C(42-45) と式(2)を用いると、 Δ C∗(42-45) が得られる。この値を表面重力効果をによるズレと考えて、補正した C∗ (42-45) を (B-V) に対して図5でプロットした。図5はこの補正した Δ C∗(42-45) と B-V の関係が非常にタイトであることを 示す。 この「補正」の意味が判らない。なぜいきなり図2から Δ C∗(42-45) へ行かないで、 Δ C(42-45) を経る のかもはっきりしないが、Δ C∗(42-45) で戻したら、 そりゃ、平均線に戻るということだから、分散は消えてしまうだろうけど。 ![]() 表1 赤化のまとめ。 |
![]() 図1 赤化フリー G バンドブレーク指数 C∗(42-45) 対 (B-V) プロット。 黒点:光度クラスIII。白丸:[Fe/H] < -0.4 の巨星。 クロス:吸収線の強い星, μ Leo, α Ser. 実線は論文Iより。鎖線はクラス V と Ib 星を近似。矢印:E(B-V)=0.2 ![]() 図2 G バンド指数 C(42-45) 対 連続光指数 C(45-48)。 図1と同じ星をプロットした。マークの意味は図1に同じ。 ![]() 図3 クラスIIIの星に対する平均線、からの残差 Δ C∗ (42-45) と Δ (42-45) の比較。黒点はクラス II-IV,III, II-III, クロスは強吸収線星。 矢印は E(B-V) = 0.2 の赤化ベクトル。 星の赤化は、赤化ベクトルと平行な直線を (Δ,Δ)平均線まで 伸ばして求める。 ![]() 図4 同じ星の U-B, B-V プロット。実線は Schmidt-Kaler のクラス III ライン。 ![]() 図5 図3から出した残差 Δ C∗(42-45) を用いて表面重力 効果を補正した C∗(42-45) を (B-V) に対してプロット。 マークの意味は前図に同じ。 |
図1,2の実線がクラスIIIの星に対応する関係である。以下のように変数を定義 してまとめる。 変数の定義, o は赤化を受ける前の値を意味する。 X=CIII(42-45), Y=CIII(45-48), Z=(B-V) x=[CIII(42-45)]o, y=[CIII(45-48)]o, z=(B-V)o Δx = x の赤化, Δy = y の赤化, Δz = z の赤化 δx = x のクラス変化, δy = y のクラス変化 これらの間には、 x = a・z + b 図1 y = c・z + d 図?(多分) Δx = e・Δz 減光則 Δy = f・Δz 減光則 X = x + Δx + δx 観測値 Y = y + Δy + δy 観測値 Z = z + Δz 観測値 という関係がある(らしい) |
図3が理解できないので、(勾配1になぜならない?)それがキーかも知れない 左のままだと、観測値から、x,y,z,Δx,Δy,Δz,δx,δy の8個を決めることはできない。 何が悪いのか? そうか、 δx と δy の間に線形の関係をおくべきなんだ。 δx = g・δy 論文ではこの連立方程式をグラフで解いているんだろうか? 今気付いたが、y が入っているのは重要で、これを落とすと、式が4つ減り、変数は 3つしか減らないので解けなくなる。 |
減光フリー指数で考えると分かりやすい。 x - e・z = (a-e)・z + b y - f・z = (c-f)・z + d X - e・Z = (x - e・z) + δx Y - f・Z = (y - f・z) + δy δx = g・δy |
この式は、X-eZ, Y-fZ 面に観測点を打ち、左の初めの2式からzを
消去したIII直線を引く。観測点から最後の式の勾配で線を引いて、III
と交わらせると解が解けたことになる。図解すればいいんだけど。
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