Chemical Abundances in the Old LMC Glubular Cluster Hodge 11


Mateluna, Geisler, Villanova, Carraro, Grocholski, Sarajedini, Colem Smith
2012 AA 548, 82 - 92




 アブストラクト 

 Hodge 11 は LMC 内の高齢低メタル球状星団 Hodge 11 の赤色巨星枝星を調べ、 なるべく多くの元素組成を決めようとした。目的はそれを銀河系や矮小楕円銀河の 赤色巨星枝星と比較して、LMC や銀河系の形成史を理解することである。データ は VLT/FLAMES により Hodge 11 内の8個の赤色巨星枝星から取った。 調べた元素は Fe, Mg, Ca Ti, Si, Na, O, Ni, Cr, Sc, Mn, Co, Zn, Ba, La, Eu, Y である。  平均して [Fe/H] = -2.00±0.04 であった。[α/Fe] は低く、 銀河系ハローよりも矮小銀河に近い傾向を持つ。これは Hodge 11 が LMC の古い種族 を代表するとすると、 LMC は銀河系ハローを建設する部品ではなかったことを 意味する。我々の [Ca/Fe] 比は、Ca 三重線からメタル量を導く較正に使われる ハロー星での値より 0.3 dex 低い。Na 比の広がりが微かに見える。Hodge 11 星は 異常なまでに O が高く、Na が低い。これは 銀河系、LMC の球状星団で見られる Na:O 逆相関の極端な例となっている。




表1.天体の物理量

 2.観測 




図1.UVES スペクトル例。TARG.6 の 6220 - 6270 A. 7本の吸収線が見える。

図2.GIRAFFE と UVES の視線速度ダイアグラム。赤= Hodge 11 星。 RV では星団に近いが吸収線の数が多く、よりメタルリッチでフィールド星と 判断されたものが3つあった。


 3.測光と組成解析 


図3.Hodge 11 のCMD.黒点= Grocholski et al 2006 FORS2/VLT 測光。 青三角=ラスカンパナスの Swope Tel. による我々のデータ。赤三角=分光 観測星(Swope データ)、赤点=観測星(FORS2 データ)。  

図4.スペクトル合成法の例。Fe 量を 5.12 から 5.52 まで5通り変えた スペクトルを TARG6 の FeI 6335.3 A ラインにフィットした。  



表2.[X/Fe] エラー


表3.Hodge 11 星の [X/Fe]




図6.α 元素比を文献値と比較。マゼンタ点=我々の Hodge 11 データ。 三角=Johnson,Ivans, Stetson 2006. 白丸=Pompeia et al 2008. 星印= Mucciarelli et al 2008. 黒点=銀河系星。青四角=矮小楕円銀河。

 4.結果 


図5.鉄ピーク元素の存在比。マゼンタ点=我々の Hodge 11 データ。 赤色=LMCデータ。黒=銀河系。青=矮小楕円銀河。

図7.[α/Fe] と [Fe/H] の関係。シンボルは図6と同じ。追加は 白丸=Nissen, Schuster 2010




図8.中性子捕獲元素の存在比。マゼンタ点=我々の Hodge 11. 赤= LMC. 黒=銀河系。青=矮小楕円銀河。


図9.マゼンタ=Hodge 11 星の [Ba/Y] 対 [Fe/H]. 赤= LMC. 黒=銀河系。青=矮小楕円銀河。  

図10.マゼンタ=Hodge 11 星の [Ba/Eu] 対 [Fe/H]. 赤= LMC. 黒=銀河系。青=矮小楕円銀河。  


 5.まとめ 




図11.左:[Na/Fe], [O/Fe] 対 [Fe/H]. 右:[Na/Fe] 対 [O/Fe]]. マゼンタ=Hodge 11 星。赤= LMC. 黒=銀河系。青=矮小楕円銀河。