First GAIA Local Group Dynamics: Magellanic Clouds Proper Motion and Rotation


van der Marel, Sahlmann
2016 ApJL 832, L23 - L28




 アブストラクト 

 Gaia DR1 を用いて LMC/SMC の固有運動(PM)を調べた。そのために LMC で 29 個、SMC で 8 個のヒッパルコス星の Tyco-Gaia Astrometric Solution (TGAS) 固有運動を用いた。西、北方向の固有運動は LMC が (μW, μN) = (-1.872±0.045, 0.224±0.054) mas/yr, SMC が (μW, μN) = (-0.874±0.066, -1.229±0.047) mas/yr である。これらの結果は HST が得た結果と大体等しい。 TGAS の値は HST と独立な手法で求めたもので、この結果は両者の解析の確実性を 示す。  また、HST の結果と一致することだが、TGAS LMC PM 速度場は時計回りの 回転を示す。LMC 円盤の回転には 108 年以上かかる。若い星の回転曲線の振幅 は視線速度観測から予期されていたものと一致する。固有運動と視線速度の比較から 運動学的 LMC 距離指数 m-M = 18.54±0.39 が得られた。


 1.イントロダクション 

 TGAS カタログ 

 Gaia DR1 では ガイアとヒッパルコス Tycho-2 カタログに共通する星の固有 運動(PM)を載せている。この共通星のみを集めたカタログは Tycho-Gaia Astrometry Solution (TGAS) カタログと呼ばれる。

 HST固有運動 

 Kallivayalil et al. 2006a,b は HST の2時期データから LMC 26 領域の 固有運動を求めた。その内 12 領域に対してはさらに第3観測が行われ、 Kallivayalil et al. 2013 は計 7 年間の時間巾観測に基づいた固有運動を 与えた。その median percoordinate uncertainty は 0.03mad/yr = 7 km/s で ある。

 マゼラン雲の公転運動 

 HST 固有運動はマゼラン雲の銀河系を巡る運動が、以前想定されていた よりも大きいことを示す。Besla et al 2007 はマゼラン雲の銀河系への現在 の接近は、両者の初遭遇であると述べている。これはマゼラン雲不規則銀河の 形成に関して重要な情報 Besla et al 2012 である。
 マゼラン雲の自転運動 

 van der Marel, Kallvayalil 2014 は HST PM の LMC 円盤表面での変化を 調べた。彼らは PM 回転曲線を測り、それが視線速度(LOS) 回転曲線と整合 することを示した。PM回転曲線はヒッパルコスデータのみから Kroupa, Bastian 1997 が 36 LMC 星と 11 SMC 星の観測に基づいて求めた。それらは Mv < -6.5, V = 9 - 12 の若くて明るい星である。TGAS には 29 LMC と 8 SMC 星が載っている。我々は Gaia データ庫から pygacs (http://github.com/Johannes-Sahlmann/pygacs) を用いてデータを入手した。

 エラーの比較 

 ヒッパルコスの PM エラーは 数 mas/yr になるが、 TGAS PM エラーは メディアンで 0.15 mas/yr である。これは HST の Kallivayalil et al. 2013 エラーに匹敵する。今回の結果は HST をしのぐ精度ではないが、 HST と独立 な確認を与える意味がある。そこで、今回 Kallivayalil et al. 2013 と van der Marel, Kallvayalil 2014 と同じ方法で TGAS データを解析した。



表1.マゼラン雲星の TGAS 固有運動 (PM)






図1.矢印= TGAS PM (表1)から表2,3に載せた COM PM(左下隅) を引いた ベクトル。矢印の長さは(勝手に取った)7.2 Myr の動きを示す。左:LMC. 右:SMC.バツ印=回転中心。LMC の時計回り運動は明らかである。各図右下 =メディアン PM エラー。モデルフィットの χ2 値から見ると TGAS の固有運動エラーは 1.85 倍過大評価されているようである。

 2.LMC固有運動場 

 回転円盤モデル 

 図1a は LMC 固有運動場を示す。表1の各星毎に (PM) - (Com PM) を計算 した。時計回りの回転が認められる。我々は LMC が円回転する平坦な円盤と 仮定する。横断速度 vt(km/s), 固有運動 μ(mas/yr), 距離 D (kpc) の関係は, 大体

     vt = 5×D×μ

である。回転円盤の議論は van der Marel 2002 を見よ

 データ間の比較 

 表2にモデル化の結果を示す。第2列は新しい TGAS PM データのみを用いた。 LMC 南東側に LMC サンプル星が少ないため、LMC 重心運動はあまり良く決まら ない。そこでこのモデルでは、 COM PM は van der Marel, Kallvayalil 2014 の値を適用した。第3列は van der Marel, Kallvayalil 2014 から採った HST PM データを用いた。このデータは V = 16 - 24 の若い星と古い星の混成で ある。第4列は両者を合体させたデータにフィットした結果である。第5列 では、 van der Marel, Kallvayalil 2014 中の赤色超巨星 723 個の視線速度に TGAS 固有速度を合わせてフィットした。
(重みはどう配分?)


 線形モデル 

 線形モデルは

     V = a R     (R ≤ Ro)
      = Vo      (Ro < R)

と仮定して、 (a, Vo) を決める。我々はノンパラメトリックモデルを van der Marel, Kallvayalil 2014 と同じように求めた。図2の緑点は TGAS データをノンパラメトリックモデルで評価した結果、黒点はエラーを下げるた めに区間平均を取ってからのモデル化の結果である。

図2.LMC 円盤回転曲線。V(回転速度) - R(軸半径) 関係. 左軸は mas/yr, 下軸は R/Do 単位表示に注意。赤点=若い星の視線速度。青点=古い星の 視線速度。(van der Marel, Kallvayalil 2014 より)。緑点=TGAS 星固有運 動。黒点=ΔR=0.8 kpc 区分でのTGAS平均固有運動。  



表2.モデルからのベストフィット値。(α0, δ0) = 回転中心。i = 軌道傾斜角。Θ = 円盤ノード線の方位角。 (μW0, μN0) = COM PM. vLOS,0 = 視線速度。Vo = 回転曲線振幅。Ro = ターンオーバー半径。Do = 距離。第2列では、 (α0, δ0) は van der Marel, Kallvayalil 2014 から、Do は Freedman et al 2001 から、 vLOS,0 は van der Marel 2002 から採った。

 3.SMC固有運動場 

 SMC 固有運動場 

 図1b は COM PM を引いた後の SMC 固有運動場を示す。明らかな回転運動 は見えない。これには二つの訳がある。第1に SMC は LMC より小さく TGAS 星が中心付近にあるため回転速度が小さい。第2に視線速度解析から分かった ように SMC は垂直方向に長く伸びていて、LMC より緩い回転を示す。
 モデル 

 我々は SMC に対しては単純に全ての星が一定の回転速度 Vo を有する と仮定する。表3には SMC モデルのパラメタ―を載せた。



表3.SMCの回転モデル

 4.議論 

 5.結論 

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.

  

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図.


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