The Kinetic Footprints of Five Stellar Streams in Andromeda's Halo

  Chapman, Ibata, Irwin, Koch, Letarte, Martin, Collins, Lewis, McConnachie, Penarrubia, Rich, Trethewey, Ferguson, Huxor, Tanvir 2009 MN 390, 1437 - 1452

 CFHT/MegaCam サーベイで M31 ハローに見つけた、ストリーム A, B, Cr, Cp, D, とストリーム C 中の広がった星団 EC4 の分光観測を行った。当初は Keck II/DEIMOS に存在していたデータを使って解析が行われ、観測領域内の星の 70 % がストリーム に所属するという結果を得た。その後の観測はストリーム C, D に対し実行され、 ストリームに沿っての速度勾配が調べられた。
  9 つの高メタル [Fe/H] ∼ -0.7 星が、vhel = -349.5 km/s, σv,corr = 5.1 km/s に入り、ストリーム Cr 領域 の検出と提案された。6 つの低メタル[Fe/H] ∼ -1.3 星が、vhel = -285.6 km/s, σv,corr = 4.3 km/s に入り、ストリーム Cp 領域 の検出と提案された。




図1.赤丸=分光観測。ストリーム B, C, D は投影距離 80 kpc, 60 kpc, 35 kpc で短軸とほぼ直交する。水色区角は CFHT サーベイ領域。水色破線 =100 kpc 円。黒楕円= b/a=0.6 の50kpc 楕円。And XII と And XV も示す。


図3.図2と同じだが、ストリーム C に沿ってさらに遠く。図2のような目立つ ピークはない。図2の Cr, Cp 速度範囲に入った星を潜在候補として色付けした。 ハローから選別するのは困難である。


図5.図4と同じだが さらに遠い F37 領域。測光メタル -1.7 < [Fe/H] < -0.7 を強調。


図7.図の意味は同じ。ストリーム A 領域


図9.ストリーム C の運動学的構造。(上)Cr 星の Vr と σV の尤度分布。
(下)Cp の同じ図。


図11.ストリーム C 領域の拡大図。(左) -0.7 < [Fe/H] < 0.0 (右)-1.7 < [Fe/H] < -0.7

 EC4 星団メンバー星は平均メタル量 [Fe/H] ∼ -1.4、vhel = -285 km/s に見つかり、Cp ストリームとの関係を示唆している。ストリーム D では 明らかに運動学的に冷たいと言える成分は発見されなかった。しかし、分光観測領域 に沿って候補星がふたつ提案された。どちらもvhel = -400 km/s である。

 ストリーム B の縁で行った分光は vhel = -330 km/s, σv,corr = 6.9 km/s の検出を報告した。ストリーム A は vhel = -170 km/s, σv,corr = 12.5 km/s で、 M31 よりは M33 に付随しているらしい。

ストリームで見つかった速度、厚み、メタル量の分散の小ささはそれらのストリーム 構造が全体としてジャイアントサザンストリームと関連するというシナリオとの 折り合いが付けにくい。我々は M31 のハローは運動学的に冷たい複数のストリーム から構成されていると結論する。




図2.(左)Cp/Cr フィールドの MegaCam 色等級図。赤点= Cr、シアン= Cp、青=EC4 所属の星。 非常に青くて明るい Cp 星は異常で本文で論じる。 RGB 線は左から NGC6397([Fe/H]=-1.91), NGC1851([Fe/H]=-1.29), 47 Tuc([Fe/H]=-0.71), NGC6553([Fe/H]=-0.2) で、(m-M)=24.47 にシフト してある。
(右)上段:F25/F26 領域の速度分布。中段:EC4 中心からの距離。下段:メタル量 は測光法による。


図4.(左)ストリーム D の F7 領域。RGB 線は図2と同じ。大きなシンボルは vhel < -150 km/s で MW の混入はないと思われる。測光 メタル量がストリーム D に相当する星は赤で強調した。
 (右)ストリーム D 領域の星の視線速度。D 星と考えられる星は黒くした。


図6.図5と同じ。ストリーム B フィールド。Gilnert et al (2006), Koch et al 2008 で M6 と名付けられている。


図8.F25, F26 の星の視線速度。


図10.Cr と Cp の重ね合わせスペクトル。[Fe/H] の違いが現れている。


図12.M31 ストリーム, サジタリウスストリーム、矮小銀河の質量光度比 M/L と Mv の関係。