Molecular Gas in the Andromeda Galaxy

  Nienten, Neininger, Guelin, Ungerechts, Lucas, Berkhuijsen, Beck, Wielebinski
   2006 AA 453, 459 - 475

 IRAM 30 m で 12CO(J=1-0) 23"(85 pc) 分解能観測を M31 2° × 0°.5 で行った。速度分解能は 2.6 km/s である。 幾つかの領域では 12CO(J=2-1) 観測も行った。

 R = 3 - 16 kpc で 12CO(J=1-0) が検出された。強度のピークは 10 kpc であった。 12CO(J=1-0) 強度は巾の狭い腕のような 形のフィラメントに集中している。そのフィラメントは多くの場合、ダーク レーンと場所が一致している。 R = 4 - 12 kpc では、明るい CO フィラメント は 2 本腕の渦状パターンを形成している。その形はピッチ角 7 - 8° の 対数渦巻でよく表現される。西側腕に沿って、(腕/腕間) の強度比は 20 に 達し、HI の場合(分解能 45")の 4 より大分大きい。

 H2/CO強度 変換ファクター XCO を一定 と仮定した時、中性ガス中の分子の割り合いは腕の内部では増加している。その値 は内側腕で 0.6, R = 10 kpc の腕で 0.3 である。見かけ (ガス/ダスト) 比 = N(HI)/I175 と[ N(HI) + 2N(H2]/I175 は中心から R = 14 kpc にかけて 20 倍に増加する。 一方、[2N(H2/I175] はわずか 4 倍の増加である。

 [中性ガス/ダスト]比が 20 倍に増えたか、ダストが周辺に行くに従い低温に なったかである。XCO が距離で大きく変化することは考えにくい。 観測されたガス・ダスト比はガス、ダストの相関に影響している。 R = 8 - 14 kpc では、ガス総量と冷たいダストとの相関は良い。特に分子ガスは HI よりダスト との相関が良い。18 kpc 内の M31 分子ガス総量は M(H2) = 3.6 × 108 Mo で、 中性ガスの 7 % となる。




図1.上: 12CO(J=1-0) 強度マップ。X, Y 軸は長軸と短軸。方位角 は Dressel, Condon 1976 採用。最低ラインは 1.5 K km/s で、S/N > 4 である。
下:CO LSR 速度場。

図2. 12CO(J=1-0) スペクトルの例。点線は 12CO(J=2-1) スペクトル(見やすさのため 0.1 K 下げて描いた)。
(a) (X, Y) = (46'.1, -15'.6) R = 19.4 kpc の弱い輝線
(b) (X, Y) = (-46'.08, 9'.35) 5 km/s 巾の狭い輝線
(c) (X, Y) = (-0'.33, -3'.49)短軸近く、 40 km/s 巾の広い線。
(d) (X, Y) = (3'.01, -4'.97) 40 km/s 離れた二つのピーク。
(e) (X, Y) = (-16'.528, -8'.728) ダスト雲 D84。10 kpc 腕上最強の雲。
(f) (X, Y) = (-17'.8, -3'.85) ダスト雲近くからの放射。
(g) (X, Y) = (-22'.48, -7'.53) ダスト雲 D 47 近くの3つのピーク。
(h) (X, Y) = (-7'.57, 5'.115) 内側腕からの二重ピーク。
(i) (X, Y) = (-41'.9, 8'.54) ダスト雲 D 39 付近の3重ピーク。
(j) (X, Y) = (24'.85, 1'.62) ダスト雲 D 615 付近からの放射。

図3b.lnR - φ 図上の腕。ピッチ角 = 8°(実線), 7°(破線)


図4b.左:(上)図4a に示した北西部分の平均強度の距離 R = 5 - 10 kpc での 変化。(中)から(下)へ、図中の方角の平均強度。矢印は二組の螺旋が短軸、 長軸と交わる位置。
右:北西四半部の CO, HI, 20cm 連続波, 175 μm 平均プロファイルの比較。



図3 a.(上):M31 170 個の CO 雲(CLUMPFIND による)にフィットした R = 4 - 12 kpc の二本の対数螺旋。ただし、らせん中心は中心核からずれる。
CO では見えない NGC 206(X, Y)=(-40', +2') 位置で Vr に乱れ。
   c. (下):R = 9 - 12 kpc 分子雲にフィットしたリング(Haas et al 1998)。 は対数螺旋よりフィットが悪いことに注意。


図4a.M31 北西部 CO 強度マップに重ねた対数螺旋の一群。




図5a.




図5b.


分解能 12" の12CO(J=2-1) マップ。
左(5a) 中心から北 5.5 kpc の渦状腕での強度マップ。 上(5b)中心から 9 kpc 離れた渦状腕での強度マップ。



図612CO(J=1-0) の 23" 分解能マップ。Walterbors/Kennicutt 1988 の U バンド画像に重ねた。




図7(左).中心バルジでの λ7.7μm ダスト放射(Willaime et al 2001) に重ねた 12CO(J=1-0) の 23" 分解能マップ。中心付近の 白点が中心核。CO 雲が中心核南側の弱い楕円リングに沿っていることに注意。



図8(下).
(a) 12CO(J=1-0) 強度マップ
(b) HI ライン強度マップ
(c) 中性ガス全体=N(HI) + 2N(H2). XCO = 1.9 × 1020 mol cm-2
(d) λ 176 μm 冷たいダスト放射。
(e) λ 20 cm 連続電波。




図8.




図9.実線=I1-0 プロファイル。破線=IHI プロファイル。 (上)北半分。(中)南半分。(下)全体。




図10.分子ガスの割り合い=2N(H2)/[N(HI)+2N(H2)] の動径プロファイル。N = 北。 S = 南。N+S = 全体。



図11.2N(H2)/[N(HI)+2N(H2)]のマップ。




図12.Ngas)= [N(HI)+2N(H2)], N(HI), 2N(H2) の動径プロファイル。左 = 北。 右 = 南。




図13.ガス/ダスト比の動径プロファイル。



図14.ガス/ダスト比=I175>/Ngas) のマップ。 白い穴はN(H2)が高くなって起きた。




図15.諸量の相関。




図16.長軸沿いの 位置速度ダイアグラム (PVD)