Kinematics and Metallicity of M31 Red Giants: The Giant Southern Stream and Discovery of a Second Cold Component at R = 20 kpc

  Kalirai, Guhathakurta, Gilbert, Reitzel, Majewski, Rich, Cooper    2006 ApJ 641, 268 - 280

 Keck II/DEIMOS によるアンドロメダ銀河赤色巨星の分光観測を報告する。 M31 楕円体、外側円盤、ジャイアントサザンストリーム内に計3か所の 観測領域が取られた。この論文では中心から投影距離 20 kpc にあるストリ ーム赤色巨星の運動学と化学組成を論ずる。

 この領域では複数の星種族がまざっていることが判った。測光と分光を組み 合わせた手法で、M31 赤色巨星と MW 矮星を分離した。赤色巨星の速度分布 は双峰的で、主ピークは -513 km/s, 副ピークは -417 km/s である。さらに その下に一般楕円体と思われる幅広の成分が横たわっている。




図1.分光観測域、H11s, H11, H13d の位置。背景は Ibata et al 2005 による 星計数マップ。


図3.ストリーム領域の 20.7 ≤ Io ≤ 22.2 Q = 4 星の 30 スペクトル。 矢印= CaII 三重線 8498, 8542, 8662 A
(右)適当に選んだ星の CaII 三重線 拡大図。


図5. 図4の4つの尤度の和 ΣLi の正負から決めた個々の星 が RGB である確率。


図7.t = 12.6 Gyr, Z = 0.0001 - 0.03 の等時線(Girardi et al 2002) から 決める測光メタル。黒丸=確認された赤色巨星。白丸=銀河系矮星。


図9.3領域の速度分布。それぞれの特徴は明らかである。


図11.V 表面輝度


図13.副ピーク星/主ピーク星の位置変化。

 どちらのピークも速度分散 16 km/s 程度で運動学的に冷たい。平均メタル量と メタル量分散は二つの成分間で同じで、⟨[Fe/H]⟩ ∼ -0.45, &sig;([Fe/H]) = 0.2 である。

 主ピークの速度はストリームモデルからの予想値と一致する。しかし第二ピーク の性質は不明である。考えられる幾つかの説明として、(1)ジャイアントストリームと 無関係なマージャーからの潮汐デブリ、(2)ジャイアントストリームの中の M31 拘束成分、(3)M31 の Rdisk > 50 km/s の円盤ウォープ または密度超過、などがある。




図2.H13s ストリーム領域内対象天体の Io 分布。分高精度 Q = 2, 3, 4 で区分してある。暗くなると視線速度決定精度が落ちることが判る。


図4.赤色巨星と矮星の測光、分光的な分離図。太い実線=トレイニングセット から決めた赤色巨星の確率分布関数。破線=同じく矮星の分布。

図6.(上)H13s 領域の CMD. (下) H11 領域。
(左)黒丸=M31 RGB (右)白丸=銀河系矮星。バツ=銀河。黒四角= Q=2 で視線速度の精度が低いもの。


図8.測光メタル量の分布。(上)M31 RGB 全て。(中)速度分布の主ピーク星。 (下)副ピーク。


図10.主ピークと副ピークの(上)視線速度頻度、(中)測光メタル、 (下)分光メタル。分光メタル分布の巾が大きいのは CaT 等値幅測定の 精度のため。


図12.諸文献から集めた、ジャイアントストリーム速度の位置変化。 破線=副ピークの位置。