Keck/DEIMOS による M31 赤色巨星大規模分光サーベイの第1報告をする。
事前に行った中間帯域 DDO51 バンド、Mgb/MgH 吸収帯に合わせた、測光により、
赤色巨星候補が選ばれた。中心からの投影距離 31 kpc のジャイアントサザン
ストリーム内の小領域を観測した。前景の銀河系矮星と背景銀河を除いた後、
68 個のきれいなサンプルが残った。Na II 二重線が表面重力による分離の点で
特に有用であった。
![]() 図1.細長い箱=DEIMOS 分光スリットマスク。背景は Ferguson et al 2002 による高メタル RGB 星計数マップ。DEIMOS マスクは 16' × 4' である。 挿入枠= KPNO 4m モザイクサーベイ Ostheimer 2002 の a3 領域。今回のター ゲット選択はこのフィールドの DDO51-, M-, T2- バンド測光カタログ で行った。ジャイアントストリームのはっきりした北東縁が a3 領域の対角線 沿いに横切っている。このため a3 領域の南西半分、DEMOS マスク部分はストリ ーム内にある。 ![]() 図3.M31 RGB と MW 矮星の DEIMOS スペクトル。スペクトルは 3A 箱型で 平滑化され、ゼロ速度に直している。右端の数字は (V - I)o である。大気 A バンド部分は 削除した。一番下は夜光スペクトル。TiO バンドヘッド、NaII二重線、Ca III 三重線はマークされている。TiO バンドはカラーと共に強くなり、A バンドに 重なる最も強いバンドの端は残ったスペクトルからも判る。 Na 線は重力に 鋭敏で、(V-I)>2 での巨星と矮星の区別に使われた(三角)。低温矮星は 強い NaII 線を示す。(Spinrad/Taylor 1969, Schiavon et al 1997) ![]() 図5.DDO51 による Pgiant 対 視線速度 v プロット。v > -150 km/s は前景 MW 矮星候補。残りは M31 RGB 星候補。破線= Pgiant > 0.5 で観測優先度を設定した。 ![]() 図7.M31 RGB 星の視線速度に2成分ガウシャンフィットしたときの尤度。 (a) ストリーム平均速度を変える。(b) ストリーム速度分散を変える。 (c) 楕円体平均速度を変える。(c) 楕円体速度分散を変える。矢印がベスト パラメター。破線= 90 % confidence を示す。 ![]() 図9.測光メタル量と Pgiant の関係。 Pgiant は メタル量により影響されないことが判る。 ![]() 図11.足し算スペクトル。下=MW 矮星16個の足し算。その上5個は CaII 強度で分別してから足した M31 RGB 星。一番上はモデル、Teff=4000K, log g = 1.5, [Fe/H] = -0.3 (Schiavon/Barbuy 1999)。速度をゼロにずらし たので大気吸収線(8228A)が MW 矮星で 8231A M31 RGTB で 8250 A にずれた。 |
ストリーム内の速度分散は 15+8-15 km/s (90 %
レベル)である。Font et al による論文ではストリームの軌道、運動学的な
冷たさの意味、母衛星銀河に関する議論を行う。
![]() 図2.(a) DEIMOS スリットマスクが覆った領域内の全天体 CMD。ワシントン システムの M, T2 をジョンソン・カズンズ V, I に変換し (Majewski et al 2002) 減光補正 (Schlegel et al 1998) した。 実線 : パドヴァ 等時線 (Girardi et al 2000) t = 12.6 Gyr, [Fe/H] = -2.3, -1.3, -0.7, -0.4, 0.0 . 破線 : t = 6.3 Gyr, [Fe/H] = -0.7。すべて [α/Fe] = 0 で計算。 (b) DDO51-バンドパラメター Pgiant > 0.5 で RGB を事前 選択したサンプル。銀河を除くため、形態基準 chi < 1.3 と |sharp| < 0.3 を用いた。他は (a) と同じ。 (c) 四角=低 S/N で Vr 不定。三角=吸収線なし。バツ=矮星。丸=銀河。 (d) M31 RGB 星。五角形=多分ストリーム星。四角=多分一般楕円体星。 適当な等時線に囲まれている。9(?)星が RGB 先端、またはその上にある ことに注意。 ![]() 図4.(a) - (c) 3つの DEIMOS マスクからの視線速度。括弧内の数は星数。 (d) 3 マスクの合計。実線=M31 RGB の2成分ガウシャン近似。 高くて狭い方=ストリーム。低くて広い=一般楕円体成分。84 星= 45 ストリーム + 23 一般楕円体星 + 16 前景矮星。 ![]() 図6.Na I 二重線の等値幅対カラーのプロット。速度から M31 RGB(丸)と MW dwarfs (バツ)候補とされた星はマークしてある。 Teff < 4000K または、V-I)o > 1.8 で EW が二分化するのが判る。破線 =両者の分離線。 ![]() 図8.位置と速度の関係。 Δr|| = a3 中心から南西方向に測る。 Δr⊥ = a3 中心から北東方向に測る。 破線=速度勾配。 ![]() 図10.(上)CMD とモデル等時線から決めた測光メタル量と視線速度の関係。 点線より下はストリーム星が支配的。 (下)太い実線=ストリーム星のメタル分布。細い実線=RGB 先端より上の メタル量精度が不明の7星を加えた分布。破線=一般楕円体成分星。 ストリーム星は高メタルで分布は巾狭い。 ![]() 図12.足し算スペクトルの CaII 三重線 EW をモデルと比較。 |