何十年に渡って、アンドロメダ銀河には激しい活動の証拠が殆ど見られないと
看做されてきた。しかし、M31 の 10 kpc 外側リングは中心が銀河中心からずれている。
それに加え、銀河の外側円盤は可視でも電波でもウォープが観察されている。ハロー
には多数のループやさざ波が見える。ここでは過去に得られたデータ(Barmby
et al 2006) の解析から、第2のダストリングの発見を報告する。
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このリングは投影長さ 1.5 × 1 kpc で、銀河中心と
0.5 kpc ずれている。二つのリングは円盤上を伝搬する密度波のように見える。
数値シミュレーションはそれに全く新しい解釈を提示した。二つのリングは
衛星銀河が M31 中心付近に正面衝突した結果であるというのだ。最も怪しい
のは M32 である。銀河の正面衝突は稀な現象である。しかし、それが 二億一千
万年前に起きたのである。
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図1.スピツアー 8 μm 画像。星成分を消去するため、 3.6 μm 画像
の強度を調整して除去した。 残りは暖かいダストとPAH放射と考えられるが、
二つのリングがはっきりと見える。これらは、M32 が M31 に正面衝突した
結果の密度波と解釈される。M32 にはダストが殆どないので、この図では M32 は
微かにしか見えない。
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図2.M31, M32 の星、星間物質、ダークマターを考慮した正面衝突シミュレーション
の結果のガス成分の分布。星間物質のエネルギー散逸効果は星間物質「粒子」の
「接着性」で表現した。星形成も考慮している。赤破線= M32 軌道。衝突の
インパクトパラメターは 4 kpc, 円盤にぶつかる速度は 265 km/s である。現在は
35 kpc 離れている。
(a) = 衝突の 35 Myr 前。 (b) = 衝突の 100 Myr 後。(c) = 衝突の 210 Myr 後。
図は我々が見る M31 の形と合うように、傾斜角 77° で投影した。
(c) が現在を表わす。中心領域が 30° 傾いてまくれている。二つのリングと、
外側リングのホールも再現されている。
(d) 同じ初期条件で、ただし衝突がない場合の現在。
図4.HI 21 cm (Unwin 1983)による等視線速度線図。線の間隔は 10 km/s。
銀河北側は後退回転(赤方変位)、北西が近い側、南東が遠い側という配位である。
見かけ回転は反時計回り。リング外側が外向き速度を持つと、短軸上では S 字型の
よじれが、長軸上では接線速度の抑制が期待される。確かに S 字状のパターンが
見える。白丸はその様子が良く見える箇所。
(図3との関係が良く理解できない)
右図の青部分しか観測がない
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図3.リングが誘引する経度で平均した銀河動径方向速度の予想。実線=
衝突後の動径速度。破線=背後の渦状腕のみの動径速度。
図5.図4と同じだが南側部分。
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