Integrated J- and H-Band Spectra of Globular Clusters in the LMC: Implications for Stellar Population Models and Galaxy Age Dating


Lyubenova, Kuntschner, Rejkuba, Silva, Kissler-Patig, Tacconi-Garman
2012 AA 543, 75 - 84




 アブストラクト 

 LMC 中間年齢星団6個の積分 J-, H-スペクトルを研究した。観測は SINFONI/VLT 積分フィールド分光器で行われた。波長域は J(1.09-1.41 μm), H(1.43-1.86 μm) である。分解能は J で 6.7 A, H で 6.6 A である。観測は中心部 24"x24" で行わ れた。それ以外に、潮汐半径内にある8個の最も明るい赤色巨星と AGB 星の観測も 行った。星団年齢は 1.3 Gyr (NGC 1806, NGC 2162), 2 Gyr (NGC 2173), 13 Gyr (NGC 1754, NGC 2005, NGC 2019) である。LMC 星団の H-バンド C2 および K-バンド 12CO (2-0) 強度を Maraston 2005 モデルと比較した。 C2 は全年齢でモデルによって良く再現された。   12CO (2-0) は 2 Gyr より古い星に関しては モデルとの一致が良いが、1.3 Gyr 球状星団の星はモデルに従わない。その理由は モデルの観測較正が数個の銀河系炭素星スペクトルのみに基づいているせいであろう。 そして銀河系とマゼラン雲とでは 12CO (2-0) の振る舞いが違う。 C2 強度は年齢と強い相関がある。12CO (2-0) 吸収は 1 - 2 Gyr の星にのみ観測され、より古い種族では存在しない。 はっきり区別される J-. H- SED が中間年齢星団で見出されたが、それは Maraston が予測した熱パルス AGB 星からの寄与の予想と一致する。このパイロット 観測で6つの球状星団の積分近赤外スペクトルの観測ライブラリーを作った。 それは、恒星種族モデルをテストするのに有用である。 H-バンド C2 強度と J-バンド、H-バンドスペクトルの形は銀河や星団の中間年齢種族の 年齢指標として使える。





表1.LMC 球状星団




図1.左:LMC 6球状星団の J-バンド積分スペクトル。斜線部は大気の OH, O2 放射光で汚染されている。右:4つの H-バンド積分スペクトル。 不安定な大気条件のために NGC 1754 と NGC 2005 の H-バンドスペクトルは 使用されない。吸収線の同定は Lancon, Rocca-Volmerange 1992, Wallace et al 2000, Rayner et al 2009 の恒星スペクトルアトラスに基づいている。

 2.観測とデータ整約 

  

 

  

 

  

 
  

 

  

 

  

 



図2.LMC 6つの球状星団の J, H, K バンド SED. 黒実線=Maraston 2005 モデルの最も近いサンプル:t = 13 Gyr, [Z/H] = -1.35 (NGC 1754, NGC 2005, NGC 2019); t = 2 Gyr, [Z/H] = -0.33 (NGC 2173); t = 1.5 Gyr, [Z/H] = -0.33 (NGC 1806, NGC 2162). スペクトルは 1.25 μm で規格化した。老齢と 中間年齢とで J-, H-SED に大きな差があることに注意。斜線=大気の OH, O 輝線による汚染が強い。

 3.赤外 SED 全体の形 

 4.H-バンド C2 指数 


図3.上:NGC 1806 スペクトル。赤=C2 バンド。青= Maraston 2005 が採用した伝統的な連続光部。オレンジ=この論文で採用した 新しい連続光部。
下:C2 赤丸=指数の新しい値と、黒実線=古い値との比較。 オレンジ=Lancon,Mouhcine 2001 の銀河系スペクトルライブラリーより。 黒菱形、緑四角、赤アステリスク=Rayner et al 2009. 破線=一対一対応。実線=フィット線。





表3.DCO と C 指数の測定。

図4. C2 指数の測定と Maraston 2005 モデルとの比較。 上:Lyubeneva et al 2010 の K-バンド DCO の年齢による変化 を参考のために示す。 上、下で矢印= NGC 2173 に炭素星を異なる割合で加えた時にスペクトルが どう変化するかを示す。詳細は本文テキスト。





図5.左:DCO、右:C2 指数と (J-K) の関係。

 5.LMC と MW 内の炭素星 


図6.DCO 指数 対 C2 指数.