ミラ型星の変光サイクルの異なる位相で得られた個々の IRAS LRS スペク トルを見ると、幾つかの星では 10 μm 放射帯の強度が位相と共に変化 している。 | 放射帯強度は極大付近で強く、極小付近で弱い。 IRAS データの位相分布 は疎ら過ぎて位相遅れまでは出ない。 |
AGB 星には大きな変光、強い質量放出、星周シェルの発達が見られる。 星の温度が変光の間に変化すると、シェル内側縁での輻射フラックスも 変化する。 | 内縁輻射は凝結、蒸発するダストの量を決定する。こうして、ダスト 放射の特徴は時間と共に変化するに違いない。 |
コントラスト IRAS は天体の LRS スペクトルを数回撮っているが、平均スペクトル のみが出版されている。そこで、extended LRS = XIRASX データベース から幾つかのミラの個々の観測 LRS を抜き出して調べた。 その解析から、 10 μm シリケイト帯強度と、F12, F25 が可視変光位相と 共に変化することが判った。放射帯強度=コントラストは、 コントラスト=放射帯のピークフラックス/黒体フラックス で定義する。バンドがない時コントラスト=1である。 R LMi 図1に R LMi M5e-9e, P=372 d の 3 つの LRS スキャンを示す。 位相は 0.98, 0.00, 0.47 である。フラックスとコントラストの変化が はっきり分かる。コントラストは 1.51 と 1.36 である。 図2(a) には R LMi の F12, F25, F60, F100 と コントラストの 可視変光曲線 (AAVSO) との比較を示す。可視等級が 5 等暗くなる際に F12 と F25 は 25 % 減少し、コントラストは 10 % 減った。 R Cet R Cet M4e-9, P=166 d の LRS スキャンは可視変光位相 0.67, 0.73, 0.85 の星が増光する期間に行われた。この星では F12 と F25 はこの間 にほぼ倍増し、コントラストも 2.3 から 3.1 に増加した。 可視変光との比較 一般に IRAS フラックスと放射帯コントラストは可視変光曲線を 追尾しているようである。この変化は、10 μm 放射帯が形成されるのは 比較的薄い層で、おそらくショックによる非均一構造を持つのであろう。 |
![]() 図1.R LMi の 3本の LMS スキャン 炭素星 3つの炭素星も調べたが、その SiC 放射帯コントラストの変化は シリケイト帯よりずっと小さかった。 |