The PHAT XI. The Spatially Resolved Recent SFH of M31


Lewis, Dolphin, Dalcanton + 13
2015 ApJ 805, 183 - 203




 アブストラクト 

 M31 PHAT 可視画像を使い, 100pc x 100pc の 9000 領域で CMDs にフィットして、 SFH を 500 Myr 前まで調べた。10 kpc リングは少なくとも 400 Myr まで遡る。 リング位置はこの期間安定していた。星から円盤への浸透により古い種族ほど 広がっている。リング位置の安定性はその起源が衝突による説を疑わしくする。  外側の 15 kpc リングは 80Myr 前から星形成が盛んになった。内側 5 kpc リングの星形成度はもっと低い。200 Myr 前にはもっと輪郭がはっきりしていたが、 今では拡散して薄まっている。全体の星形成は過去 500 Myr ほぼ一定であった。 50 Myr 前に過去 100 Myr 平均の 1.3 倍という小さな高まりがあった。過去  500 Myr の間、全星形成の 60 % が 10 kpc リングで起きた。過去 100 Myr の PHAT 領域での星形成率は 7.3 10-4 Mo yr-1kpc-2 で、領域全体で 0.7 Mo/yr である。



図1.20 μm 画像に重ねた PHAT 領域。赤= SFH を求めた領域。黒破線 =混み合いが強く除いたバルジ領域。  

表1.50 % 完全性限界と等時線シフト量。  


 3.SFH の導出 

 3.1.SFH のフィット 




図2.画像は GALEX FUV. B15 = リング活発な星形成領域の真上。 B17 = もっと静かな 10 kpc リング上。CMD の黒点=フィットに使う星。 SFH は 100 Myr 前までは 25 Myr で, その先は 50 Myr で区分されている。 どちらの領域も最近まで活発な星形成が行われていたことが分かる。 特に B 15 では現在も星形成が進行中なことが主系列から見て取れる。 表面密度は inclination 77°: で計算した。




図3.B 15 領域=10 kpc リング星形成域でのフィット例。左:データ。中:モデル。 右:残差。青破線の内側はフィットには使われない。

 MATCH 

 星軽視は Dolphin 2002 の MATCH コードを使って、 SFH を導いた。 利用者は 年齢、メタル量、距離、減光の巾を指定する。コードは IMF と連星比率も要求する。合成 CMD と観測 CMD との比較は、 ポアソン尤度極大法で行われる。

 入力パラメター 

 DM =24.47, 連星率 = 0.35, 伴星の質量分布はフラット、IMF =Kroupa01 を用いた。log t = [6.5, 9.9] を 0.1 dex 区分、[9.9, 10.15] を1区分に 分けて SFH を求めた。等時線には Padova モデル Marigo08 に Girardi10 の 改訂 AGB モデルを足して求めた。[M/H] = [-2.3, 0.1] としたが、「M/H] は 時間と共に増加するとした。
 減光 

 減光は3つの成分から成る。

(1)前景減光 一定値

(2)円盤中心面減光 Av

(3)領域内での減光の散らばり dAv

(3)成分が主系列と古い進化した星とで異なる。そこで、サンプルを  F475W-F814 =1.25で切り、主系列に限定する。それが 図2、3の斜線部である。

 年齢・メタル量縮退 

 年齢・メタル量縮退は SFH の頭痛の種であった。しかし、主系列ではそれに よるエラーは小さく、測光エラーに比べて無視できる。さらに、M31 のメタル量 動径勾配は小さく、我々が扱う年齢幅は小さい。このため、この問題は大した ことはない。





図4.モデルCMDs. 一定 SFH、Z = Zo 仮定。左から右へ、[Av, dAv] = (0,0), (0.3, 0.8), (0.6, 1.8) を想定。一番上は 630 Myr 等時線。




図5.SFH マップ。


図6.SFR 表面密度の時間変化  

図8.過去 400 Myr 累積星形成量/総質量のマップ。  





図7.累積星形成量マップ。




図9.過去 100 Myr の平均 SFR マップ。

  


図11.総 SFH。  

表2.総星形成史。  





図11.図10と同じだが、時間スケールを対数からリニアに変えた。