GAIA DR1 TGAS カタログの中に含まれる LMC ヒッパルコス超巨星の中からランアウェイ
星を探した。GAIA TGAS 固有運動カタログに含まれる LMC 中の可視光で明るい星の
空間速度を計算した。選ばれた 31 星は LBV, 輝線星、青色、黄色超巨星、SgB[e] である。
固有運動と文献から得た視線速度を合わせて、空間速度を導いた。さらに円盤の力学
モデルで決まる局所速度に対する特異速度を求めた。 31星の内、2星は異常に大きな固有運動を示した。残りは円盤回転速度に良く合う速度 を示した。実際、モデルとの一致は非常に良く、 TGAS の誤差評価は過大であることを 示唆する。 | それら29星の中で一番速い星は LBV R71 で、他によく知られた輝線星が 含まれる。ただし、それらは 100 km/s のランアウェイ星速度には合わない。 R 71 は局所回転速度 40 km/s からややずれている。この天体が通常の孤立星進化 を遂げるには大質量形成領域から離れすぎているという考えを支持している。 我々の発見はこの LBV が連星進化の結果であるという仮説を強化する。 ランアウェイ星の一つ, 超巨星 Sk-672 (HIP22237) B1.5 Ia+ の 360 km/s という大きな横断速度は LMC 銀河を去り、そこで超新星となるだろう。 |
TGASカタログから Gaia DR1 の Tycho-Gaia (TGAS) カタログにある29のヒッパルコスLMC 星の固有運動を用いて、LMC 恒星力学の新しいモデルが van der Marel, Sahlmann 2016 (vdMS モデル)によって提案された。これらは LMC 速度場の テスト粒子としての意味以外に、それら自体が天文学的に興味深い対象である。 |
相対速度 この論文では Gaia TGAS カタログからの固有運動に文献にある視線速度を 合わせて、局所平均速度に対する相対速度を導く。 |
![]() 図1.白丸=HR 図上のサンプル星。表示用なので精度は保証しない。 黒丸=ZAMS系列。実線= Humphreys-Davidson 限界。 ![]() 図3.速度成分の残差ヒストグラム。ビン巾= 10 km/s. モデルの変化 vdMS モデルでは 29 ヒッパルコス星の固有運動を、回転運動の3次元 モデルの改善に用いた。van der Marel, Kallivayalil 2014 では回転平坦 円盤モデルを、 6790 の視線速度データとハッブル望遠鏡による LMC 22 領域の 平均固有運動に基づいて作った。 速度残差 速度残差=固有運動ーvdMSモデル予想速度、を求め、それをLMC 平均速度から のズレと看做す。我々はまた、van der Marel, Kallivayalil 2014 モデルからの 視線速度のズレも計算した。それらは、表1に載せた。なお、LMC 距離=50.1 kpc を仮定した。表1にはもう二つ Sk-67 2 と Sk-71 42 も加えた。図2には 固有運動を表示した。 |
![]() 図2.黒矢印= vdMS の 29 星固有運動。青矢印= Sk-67 2 と Sk-71 42. 背景=Gaia カタログの恒星分布。 ![]() 図4.表1の残差速度の極座標表示。残差に特に特徴的な方向はない。 |
![]() 図5.超高速度星 Sk-67 2 のSED. |