Mid-Infrared Extinction Coefficients of Amorphous Silicates


Koike, Hasegawa
1987 ApSS 134, 361 - 379




 アブストラクト 

 天然非晶シリケイト5種と合成ガラス7種の中間赤外減光係数を測った。全て のサンプルが 10, 12, 20 μm バンドが存在した。バンドパラメタ―は SiO2 量と良い相関がある。相関が最も顕著なのは 10 μm バンド である。SiO2 量が減ると、ピーク波長 λm は 長波長側に移り、ピーク強度 κm は下がり、バンド FWHM W が広がる。λmκmW は 15 % の範囲で一定 である。経験的に次の式が成り立つ。
   λm(μm) = 11.10 - 2.30 10-2[SiO2] ±0.15
   W (μm) = 5.14 - 4.68 10-2[SiO2] ±0.30
[SiO2]=SiO2 のパーセント重量比である。
 このように、非晶シリケイトでは、λm と W の間に相関 がある。12 μm バンドでは相関は弱い。[SiO2] が 50 % 以下に 下がると 12 μm バンドはもはやバンドとして認めがたくなる。20μm バ ンドでは λm は [SiO2] と無関係であり、 κm は [SiO2] が下がると弱くなる。
この結果を天体観測と比較して、ピーク波長 λm = 9.7 μm, バンド幅 W = 2.5 - 3.0 μm から、[SiO2] = 48 ±8 % を得た。




表2a.天然の非晶シリケイトの化学組成




表2b.合成ガラスの化学組成




表1.天然の非晶シリケイトの特性

 透過率測定 

 サンプルは磨り潰してから、KBr に混ぜてペレットにして透過率 T を測定 した。減光係数 κ は次の式で定義される。S = ペレット面積、 M = ペレット内のサンプル質量として、

   κ = (S/M) ln(1/T)











図1.天然非晶質シリケイトと溶融ガラスの密度。黒丸=天然ガラス。 白丸=溶融シリカ [SiO2] = 100 %. と 玄武ガラス [SiO2] = 45.21 %.
 



図2a.天然非晶質シリケイトの減光係数  

図2b.溶融ガラスの減光係数  


 [SiO2] とバンドパラメタ―の関係 


図3a.上:ピーク強度 κm と [SiO2]. 下:ピーク波長 λm と [SiO2].  

図3b.バンド幅 W と [SiO2].


図3c.λmκmW と [SiO2].




図4.上:12 μm バンドのピーク強度 κm と [SiO2]. 下:12 μm バンドのピーク波長 λm と [SiO2].  

図5.上:20 μm バンドのピーク強度 κm と [SiO2]. 下:20 μm バンドのピーク波長 λm と [SiO2].



図6.ピーク強度の比 κm(10μm)κm (20μm) と [SiO2].  

図7.10 μm バンドピーク波長 λm と [SiO2]. 黒丸=天然非晶シリケイト。白丸=合成ガラス。バツ=合成非晶シリケイトの 他のデータ。 実線はフィット直線と ±0.15μm



図8.10 μm バンド巾 W と [SiO2]. 黒丸=天然非晶シリケイト。白丸=合成ガラス。バツ=合成非晶シリケイトの 他のデータ。 実線はフィット直線と ±0.3μm  

図9.10 μm バンド巾 W と 10 μm バンドピーク波長 λm 黒丸=天然非晶シリケイト。白丸=合成ガラス。バツ=合成非晶シリケイトの 他のデータ。 四角=含水シリケイト。 実線はフィット直線と ±0.3μm