Infrared Observations of a Bpk Globule in the Southern Coalsack


Jones, Hyland, Robinson, Smith, Thomas
1980 ApJ 242, 132 - 140




 アブストラクト

 南の石炭袋 "the Southern Coalsack" 中央に位置する Bok globule 2 の 200 arcmin2 における 75 星の JHK 測光を行った。若い星団の存在の兆候は なく、サンプルは主にフィールド星と考えられる。  E(J-K) を用いて、グロビュール内部の密度分布を調べた。内部領域では密度は 一定で、周辺部で急激に低下することが判った。この観測から globule 2 の質量は 11 Mo 程度と見積もられる。やや不確かだが、ガス/ダスト比が非常に低いらしい。



 赤外観測 


図1.JHK ラスター観測がされた領域の UK Scmidt IV-N 画像(&lammbda;≈8000A)。
 赤外観測 
 赤外観測は AAT 3.9m 望遠鏡で行われた。アパーチャ直径 = 14" である。ラスターは 10" 間隔で引いた。 CVF による分解能 60 の 2 μm スペクトルもとられた。表1には 測光結果を示す。

 二色図 
 図2には (J-H) - (H-K) 二色図を示す。直線は Jones, Hyland 1979 が決めた 赤化ベクトルである。曲線は様々なスペクトル型星の固有カラーを示す。図2には 赤化ラインの右側、赤外超過のある星が期待される箇所に星が一つもない。これは 若い星を伴う暗黒雲と異なる点である。実際のところ今回の二色図は これまでに得られたどの暗黒雲の2色図ともちがう。


図2.全サンプルの (H-K) - (J-H) 図。Dはグロビュール中心からの距離。



表1.測光結果


 サンプル星は主に晩期型巨星だろう 
 おそらくサンプルは G0 より晩期型のフィールド星で占められているのであろう。 図3を見ると、検出限界に向かい星の数が増加している。図4の累積光度関数の 勾配は 0.42 で、Elias 1978 が得た値と一致する。この値はまた、彼が決めた 光度関数モデルとも合うが、それは晩期型巨星を主な寄与天体としている。


図3.K 等級分布



図4.累積光度関数。実線の勾配は 0.42。破線は V-k=+4.0 に対する Nm(V)



 CVF でスペクトル型の散らばりを検証した 
 10 個の星については CVF 2 μm スペクトル観測を行った。CO バンド強度は以下の式で 定義され、スペクトル型の指標となる。

   [CO] = 2.5 log[Fλ(2.2)/Fλ(2.4)] -0.38 + 0.19 E(H-K)

ここに、第2項は A0 星でゼロとなるように、第3項は減光則 ∝λ-2.5 を仮定しての赤化補正である。


図5.3つの CVF スペクトルがスペクトル型の広がりを示す。
 前景星の数
 Bok 1977 PASP 89, 597 はグロビュールまでの距離と前景星の数との関係を与えた。

   距離(pc)   直径 5' の円内の前景星数
   100         0.1
   200         0.3
   400         2
   800        15

南の石炭袋までの 距離を 175 pc とするとサーベイした 200 arcmin2 には 約 3 個の前景星が 期待される。実際、図2を見ると 4 星が 固有 (J-H) カラーの 0.2 mag 以内にある。 そこでこの 4 星は前景星と見なし、解析からはずす。


表3.CVFを撮った 10 星の [CO] とスペクトル型



 グロビュール内の減光 

 E(J-K) の決定 
 Elias 1978 の "平均" スペクトルタイプ M3III を採用して、(J-K)o = 1.1 と する。観測した星の多くは (J-K)o = 0.8 - 1.4 の間に入るであろう。中心から 5' 以内の星は表3のスペクトル型が分かった 10 星を除いて全て M3III 型と仮定 され、図6では、その E(J-K) = (J-K) - 1.1 を距離に対してプロットされた。

 このやり方の問題 
(1)石炭袋の背後の星間吸収を既に受けている。従って分布の下側の縁を石炭袋分 の吸収とみなすべきである。
(2)ただし、下側縁の星は近距離の固有カラーが青い星を多く含んでいる 可能性がある。この場合、それらの E(J-K) は過小評価されている。
(3)グロビュールの中心の決定精度


 そういう制約はあるが 
  もしスペクトル型まで決められれば精度はさらに上がる。分布は n = 1.0 - 1.5 のポリトロープでよく表される。それは、 Schmidt 1975 がもっと薄くて広い B361 で得た結果と一致する。


図6.色超過 E(J-K) 対距離のプロット。

表4.各星のE(J-K) とグロビュール中心からの距離