アブストラクトK型巨星1個のDDO観測から、赤化と (B-V)o を導く方法を述べる。 種族I星ではこの方法は上手く働き、組成に依らない。種族IIには うまく働かない。1.イントロDDO測光の較正は光度クラスIIIの星に行われてきた。しかし、それは DDO指数と(B-V)値は赤化の評価に役立つことを示した。2.方法2.1.手続きその重要性から、赤化の問題を最解析することにした。まず、(B-V) を DDO指数 C(42-45), C(45-48) の関数として表わす。その手続きは、 (1)DDO指数 C(42-45) の平均値の関数として (B-V) を表わす。 光度クラスI,II,III毎にこれを行う。赤化の影響を抑えるため、IIIの 星はmv < 4 から選ぶ。I, II は幾分赤化が入り込む。 (2)赤化はスペクトル型から期待される (B-V) 値と観測値との差で評価す る。結果として得られる平均ラインは赤化の影響がない。 (3)平均 C(42-45):(B-V) ラインから、C(45-48)-(B-V) 面上に C(42-45) 一定ラインを引く。図1を見よ。表1はC(45-48) - C(42-45) 面上での (B-V) が与えられている。 (1)は何を言っているか不明だが、最終的には観測した 星を C(42-45), C(45-48), (B-V) 空間内の曲面として表わすことらしい。二つ のパラメターで星が指定されるのだが、それは温度と表面重力に対応する ものだろう。メタル量を変えると別の膜になるということか? 2.2.赤化ベクトル 赤化ベクトルの方向は次の式で決まる。 E[(45-48)] = 0.354 E(B-V) E[(42-45)] = 0.234 E(B-V) E[(41-42)] = 0.066 E(B-V) 赤化を持つ星は先ほど3次元区間内で膜から離れた所にプロットされる。観測点から 赤化ベクトルを伸ばして、膜との交点を決める。交点の C(42-45), C(45-48), (B-V) がその星の固有な値になる。 |
![]() 図1 C(45-48) - (B-V) 面上での C(42-45) 一定ライン。このラインから表1 [C(45-48)、C(42-45)]の関数として (B-V) を与える、が作られた。 2.3.赤化の計算例 表の利用法を示すため、仮想の星、C(45-48) = 1.235、C(42-45) = 1.023, (B-V) = 1.23 を考える。 表1を見ると、(B-V) = 1.18 が第1近似値として得られる。これは色超過の第1 近似 E(B-V) = 1.23 - 1.18 = 0.05 を与える。続いて他のカラー指数第一近似とし て、C(45-48) = 1.235 - 0.05 × 0.354 = 1.217, C(42-45) = 1.023 - 0.05 × 0.234 = 1.011 が得られる。 再び表1に戻ると、第2近似として、(B-V) = 1.15, E(B-V) = 0.08 を得る。 カラー指数の第2近似は、C(45-48) = 1.207, C(42-45) = 1.004 となる。 第3近似は、(B-V) = 1.14, E(B-V) = 0.09, C(45-48) = 1.200, C(42-45) = 1.00. 第4近似は、(B-V) = 1.13, E(B-V) = 0.10, C(45-48) = 1.200, C(42-45) = 1.00. これで計算は収束した。 三つの量から減光フリー指数を二つ作ってるんだよな。 |
近傍星の赤化分布 図2は論文1に使った 100 pc 以内の明るい星の E(B-V) 分布である。この分布 は 0 の周囲に細いピークをなしている。分布が非対称なのは、殆どの星が色超過 = 0 で幾つか小さな色超過を持つ星が混ざっている時に期待される形である。 ![]() 図2 100 pc 以内の星の E(B-V) 分布 星団の赤化を標準法と比較 これまでに、星団中の青い星から決めた E(B-V) が赤い星から決めた値と異なる ことが指摘されてきた。今や多数の星団の赤化が決定された(論文I)ので、これら を標準法で決めた赤化の値と較べることができる。図4は UBV 法で決めた赤化を DDO法での値と比較したものである。実線の勾配は1である。 標準法では多くの場合青い星を使って赤化を決定している。図4に見られる良い 一致は DDO 法が青い星赤化を与えることを示す。また、図4の差は、± 0.033 である。 ![]() 図4 散開星団の標準手法による E(B-V) 対 ここで決めたE(B-V)DDO | この分布の標準偏差は 0.03 である。(B-V) データの出所が色々なことを考慮すると、 この赤化決定法は満足すべきものである。 赤化と δCN 赤化決定法をさらにチェックするため、図3では E(B-V) 対 δCN をプロッ トした。使ったのは図2と同じ 100 pc 以内の星である。 相関がないことはこの赤化決定法がメタル量に無関係であることを示す。 δCN は円盤星が張る範囲を覆っている。したがって、この方法は円盤星の 成分を調べるのに使える。 ![]() 図3 図2と同じ星の E(B-V) 対 δCN. 種族IIは不適当 残念ながら、この手法は種族II の星には上手く働かない。図5は、16個の球状 星団中の星に対して、DDO 法と標準法の E(B-V) の差を (B-V)o に対してプロット したものである。ΔE(B-V) が赤い星ほど大きくなっていくようにも見えるが データの分散が大きすぎて確実なことは言えない。種族Iであれほどうまくいった ことを考えると、種族 I と種族 II との間に大きな差があると考えざるを得ない。 較正の表1は太陽組成の場合で、低メタルで較正すれば 種族IIでも上手くいくかも知れない。しかし、それは4次元空間で考えること になる。 ![]() 図5 球状星団の星の公表された赤化とDDO 赤化の差 ΔE(B-V). 大きな分散は種族II 星に DDO 法を適用する危険を示す。 |
DDO カラー指数と(B-V) を使えば、種族I のK型巨星は有効温度、絶対等級、 メタル量、赤化を個々に決められることが示せた。赤化精度は0.03 等である。 |