F-型超巨星 HD 101584 赤外放射を大気中ダストの熱放射で説明する のは困難である。 | F-型超巨星が伴星に M-型超巨星を持つのではないか? |
ダスト放射説の問題 特異 F-型超巨星 HD 101584 を研究していて、我々はこの星の 特異な赤外超過には二つの解釈が可能であることに気づいた。 10, 20 μm シリケイト放射帯に加え、 1.6 - 8 μm には 1100 K 黒体 放射で近似できる明るい赤外放射がある。もしこれが星周シェルに起因する なら、非常に考えにくい性質がダストに必要となる。最も深刻な問題は、 2 - 20 μm で放射される輻射エネルギーが F-型超巨星から得られる値を上回る ことである。 |
連星 もう一つの解決案は 2000 - 3000 K の低温伴星が存在することである。 この論文の目的はそう考えると、89 Her, υ Sgr, R CrB など の特異星の赤外特性が説明できると示すことである。 |
SED フィット HD 101584 の BVRI 測光と分光は 4 年間に亘り CTIO で、赤外観測は ラスカンパナスで行われた。 分光から F2p Iap と分かった。 Hδ 線は P Cyg 型であり、2年間の間 H, K 線の視線速度は他の線に比べ 30 km/s マイナスであった。 図1に HD 101584 の連続スペクトルを示す。そのフラックスは 7000 K 黒体 + 1100 K 黒体で再現可能である。シリケイトバンドを除くと、HD 101584 は 図2の 89 Her (F2e Ia)と非常によく似ている。 図1には比較のため、星間減光のみしか受けていない F-型超巨星 HD 97534 も示す。 赤化なし HD 101584 は実質的には星間減光を受けていない。それは 7000 K 黒体が 良くフィットすることからも明らかである。測光距離は 絶対実施等級を -8.4 mag (F2Ia) とすると 9.6 kpc, よく似た 89 Her と同じ-7.1 mag と すると 5.2 kpc である。 |
![]() 図1.HD 101584, HD 97534, CIT 7 のスペクトル。 HD 101584 のフラックスは 7000 K 黒体 + M-超巨星 (例えば WX Ser ) で再現可能である。 |
![]() 図2.89 Her, υ Sgr, CIT 3 のスペクトル。 89 Her のフラックスは 7000 K 黒体 + 例えば CIT 3 のような星 で再現可能である。 星周赤化がない HD 101584 は赤外輻射エネルギーの方が可視より大きい。もし星がシェルに エネルギーを分配しているなら、星は短波長側で約 1 mag 明るくなければ ならない。したがって星周シェルが星の減光に寄与するなら、その減光は グレイである必要がある。そのためにはグレインサイズが大きくなくてはなら ない。これは我々の星間減光の理解に反するし、おそらく星周減光に対しても そうである。 f−f放射? HD 101584 は 3.5 - 8 &mu:m で Fν = 一定、図1の λFλ ∝ λ-1 であるが、これは f-f 放射の特徴でもある。 もし F-超巨星に f-f 放射があるなら 1 - 2 μm で平坦で長波長側と連続 になるだろう。しかし、実際にはそこが二つの異なる成分の分かれ目である。 |
![]() 図3.R CrB, CIT 6 のスペクトル。 R CrB のフラックスは 7000 K 黒体 + 例えば CIT 6 のような星 で再現可能である。 低温伴星説 図1にはTaurid 型星の WX Ser = CIT 7 = M8e 星もプロットした。 この星は 1.6 - 20 μm で HD 101584 とよk似ている。この星の星間減光は 小さい。我々は、 HD 101584 = F-超巨星 + M8 - M10 伴星説を提案する。 伴星は強い TiO 吸収のため可視では見えない。赤外エネルギーは可視の2倍 あるから、この伴星も M = 20 - 30 Mo の超巨星である。 これらもそう 図2と3は 89 Hrt, υ Sgr, R CrB を示す。これらの星も双峰性 の SED を示す。それらは全て、二つの星の SEDs の重ね合わせでフィット 出来ることを示したい。 |