アブストラクト古い 14 散開星団の観測反中心方向にある14個の銀河星団の測光結果を提示する。パドヴァ等時線のフィット により星団の年齢、メタル量、距離、赤化を導いた。13/14 星団は 1 - 3.6 Gyr で あった。年齢の知られている星団 500 個中、わずか 40 個が 1 Gyr より古いことを 考えるとこの結果は古い星団のサンプルを大幅に増やしたことになる。 |
メタル年齢関係からのずれ 4 星団は メタル量勾配カーブとメタル量年齢曲線の上にある。特に、3つの高メタル星団は Twarog 1997 が提唱した r = 10 kpc で メタル量勾配に折れ曲がりがあり、 外側円盤は化学進化の点で内側より未進化という考えへの反証となる。 Ro = 8.5 kpc 本文中に書いていない。表4脚注にあった。 |
1.イントロ古い(> 0.6 Gyr : ヒアデス )散開星団サーベイ1) Phelps,Janes,Montgomery 1994, AJ, 107, 1079 : 74星団(内19星団>5Gyr) 2) Friel 1995, ARAA, 33,381 上に基づき、ヒアデスより古いか同年齢の星団リスト。 3) Twarog,Ashma,Anthiny-Twarog 1997, AJ,114,2556 : 76星団のメタル量(内 32 個は Friel 95と重なる) 4) Kaluzny 1998 AAS133, 25 より最近のメタル量観測。 サーベイのまとめ 1) CMDフィット==>年齢 簡単な年齢指標=Janes/Phelps 1994, AJ 108, 1773; Carraro/Chiosi 1994 AA 287, 768 2) 年齢分布 74 個の古い(Friel 95)星団中半数は 2 Gyr より若い。 一方、19 星団は M 67 (∼ 5 Gyr) より古い。 NGC6791, Berkley17, Collinder261 は若い球状星団くらい古い 3) スケール高 55 pc 若い星団 375 pc 古い星団 thick disk の古いフィールド星と共通値 4) 距離 反中心方向で最も遠い星団は Berkeley 29 で 18.7 kpc 直角方向では、 Berkeley 20 で 2.4 kpc 近すぎない? これらの位置は、星形成史に重要な情報である。 6) 垂直メタル勾配 なし Friel 95 −0.34 dex/kpc Piatti,Claria,Abadi 1995 AJ 110, 2813 7) 年齢メタル量関係 なし Friel,Janes 1993 AA 267, 75 高メタル星団は 3 - 5 Gyrになく、5 - 9 Gyr に多い。 星と星団は同じ年齢メタル関係 Carraro et al.1998 MN 296,1045 |
5) メタル勾配
最近開始されたサーベイ 1) WIYN Open Cluster Survey =WOCS 光度関数、WD, 質量分離、リチウム 2) CFHT Open Star Cluster Survey 光度関数、WD 3) Ann グループ 完全測光カタログ、変光星 この観測の目的 数多くの形態学的には古い星団が未だに測光観測がない。そこで、 古い14星団を中心に次のような研究を実施した。 1) 古い星団の測光データを増やし、既存データと共にメタル勾配、年齢メタル 関係を見直す。 2) 遠方(R>15kpc)星団を発見して外円盤を調べる 3) 若い球状星団と同じくらい古い散開星団の発見 4) 古いSMR星団の発見 5) 比較的若い低メタル星団の発見 |
2. 観測2.1.対象天体の選択Catalog of Open Cluster Data 1987 Lynga (Strasburg, COCD) 1154星団 Contrast, Detachment, Richness (Trumpler 1930)を与え直している。 Detachment: メンバーの孤立度。I=最も混んだ星団。IV=最もバラバラな星団。 Contrast: 等級の巾。1=巾が狭い。3=巾が広い(O,B型星を含む) Richness: メンバー数。p=poor, m=medium, r=rich |
Friel 天体で3要素を較べた(表1) --> detachment=IV(疎),contrast=3(等級巾大), richness=p(少数)は少ない。 そこで、COCD中の古い星団選択基準: detachment= I, II, III contrast = 1,2 richness= m, r ――>147 星団 よく判らないが、Collinder に重要な古い星団Collinder26が含まれているので、 Friel 95と似た星団をDSSを眺めて探し、50星団追加。 今回はその中から14天体を観測する。表2に天体情報を載せた。 |
3.星団パラメター3.1.等時線フィットこの論文でのパラメター決定法は客観的でないので、以下にパラメターを決める 方法と、誤差が入る部分を述べる。 年齢推定には、等時線フィットと準定量的計測法の二つがある。 等時線フィットのポイント 等時線フィットは、 モデル(年齢、メタル量、赤化、距離)等時線を探す方法である。 その際に重要な特徴は、Castellani,Chieffi,Strsniero 1992 ApJS 78, 517. (1)上部主系列の勾配(反り具合) (2)blue turn-offすぐ下のgap (3)MS blue turn-off (MSTO) (4)RGB 勾配 (5)Red Clump の光度 (6)巨星対主系列の数の比 RGB と MS の勾配 RGB勾配はメタル量指標となる。勾配は高メタルほど緩い。Zinn, West 1984 は 若い球状星団のメタル量を RGB から求めた。同じ方法が古い散開星団 Be 17 と Be 18 の赤外CMDに適用された( Tiede et al 1997)。 もし明確な主系列が引けるなら、メタル量決定に関しては主系列の勾配と曲率 の方が信頼度が高い。特に古い星団ではそうである。今回のサンプルでは Biu 11 がその良い例である。 RC レッドクランプは特に古い星団で目立つ。Castellani et al 1992 によると、 レッドクランプが最も多いのは 1 - 2 Gyr の星団である。2.5 Gyr より 古くなると、準巨星と暗い赤色巨星が 50 % 以上と支配的になる。 "Marigo"を覗くとそうは見えないが。 δV 類似法 δV 法はレッドクランプと主系列の等級差を測る方法で主に球状星団の 年齢を測るのに用いられている。しかし、3 Gyr より若い星団では δV は メタル量にも影響される。この方法は3.3節で詳しく述べる。 フィットに際しての3つの注意点 1) 連星はMSを明るい方へ広げるので、暗い側の稜線をフィットに使う。 また、MSTOを明るくするのでTW85, CC94は本当の等級を0.25等暗くした。 この論文ではisochroneを丁寧に見て上の方法は採用しなかった。 2) ブルーストラグラー も MSTO を上げる。その結果、実際より 2-3 Gyr 若い 等時線との方がよく合うように見えることになる。また、若い星団では、ブル ーストラグラーや連星の汚染からギャップを区別しなければいけない。 |
質量による分離
3) 対流オーバーシュートなしモデルでは、若い1〜2 Gyr 星団の年齢を 実際より30%低く見積もる。 (Meader?Meynet 1991, Bertelli et al. 1992,Carraro,Chiosi 1994) 4Gyrより古い星団ではどちらでも0.5Gyr以内で一致する。 3)に関し、若い星団でも影響はないという説 Daniel et al 1994 もある。 古い星団の良い例はNGC6791 Carraro etal 1994で、どちらも 8Gyr だった。 非常に古い球状星団では赤色巨星とレッドクランプ星の分布が外側に寄っている。 NGC 188, M67 (Sarajedini et al 1999), 6個の古い散開星団(Hawarden 1975) 今回の例では、Be 57, Biu 7, Biu 8, Biu 13 が相当する。これらの星団では 赤色巨星を多数入れる要求と、フィールド星による汚染を下げる要求のバランスが 難しい。幾つかの例では測光領域外の赤色巨星を加えた。 フィールド星の汚染は Gilmore, Zeilik 2000 のスターカウントから評価した。 それらは、V = 12, 13, 14, 15 等に対し、0.39, 1.31, 3.55, 8.84 個である。 これは、全銀経での平均値でその上カラー選択も入っていないので上の値は 過大評価である。 等時線の豆知識 (1) 上部主系列は若く、低メタルisochrone でより青いほうにカールする (2) 2.5Gyr以上のisochrone の曲率はずっと小さく、逆に高メタルisochrone の勾配は緩くなる。 (3) red turn-off (RTO) は2Gyrより若い星団に顕著。 (4) MSTOすぐ下のギャップは星の核でHがなくなった合図として2−3Gyr 星団に現れる。 (5) MSTOと準巨星ベースの間のカラー差と等級差は若い星団で大きい。 (6) RCのカラーと等級はメタル量で決まり、年齢の影響は小さい。 球状星団:Sarajeini 1994 フィールドRC星:Jane et al 1995, Ryzynsky/Stanek 1998 (7) 同じ(〜2.5Gyr)年齢では低メタルほどδ(V-I)が大。 (8) 若い星団のRGB勾配は高メタルで緩い。 Zinn/West 1984 ApJS, 55, 45 古い散開星団Be17, 18でNIRCMDも同じ Tiede,Martini,Frogel 1997 実際、今回幾つかの星団のメタル量はこの勾配で決めた。ただし、メン バーが多くないとこの方法は使えない。 (9) RCは1〜2Gyr星団で多く、準巨星とRGB下部が>2.5Gyr星団では多い。 Castellani,Chieffi,Straniero1992ApJS,78、517 (10) 合成モデルCMD Tosi,Pulone,Marconi,Bragaglia 1998 今回フィールド星差し引き困難でやらない。 |
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Czer19 l=174, b=-9 (m-M)o=12.01 r=11.00kpc, z=0.39kpc E(V-I)=0.90, E(B-V)=0.85 COCD=IIm2 t = 0.1 Gyr, Z = 0.008 主系列の形は明らかに若い星団のもの。V-I=1.74, V=11.62 の 星はうまく等時線に乗っている。 |
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Biu9 l=211, b=9,(m-M)o=12.68 r = 11.59kpc, z = 0.174kpc E(V-I)=0.45, E(B-V)=0.40 COCD=IIm2 t = 1.0 Gyr, Z = 0.004 RC の存在と浅い δV からあまり古くない。 V-I=1.70, V=13.24 は上手く乗らない。MS の曲がり具合も上手くフィット できない。(B-V,V) CMD で RC がうまく合わない。 Ann et al 1999 は もっと若い年齢を出した。しかし、等時線が TO の上を通ってしまう。 |
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Be64 l=131, b=5, (m-M)o=13.18 r=11.84kpc, z=0.348kpc E(V-I)=1.20, E(B-V)=0.95 COCD=IIm1 t = 1.3 Gyr, Z = 0.008 MS がはっきり定まらない。RC はよく群れている。浅い &lelta;V は 1 - 2 Gyr を示す。Z 0.004 だと V-I=2.59, V=13.63 星が上手く 説明できる。 結果は Ann et al 1999 と同じ。 |
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Rup7 l=225, b=-5, (m-M)o=12.96 r=11.58kpc, z=-0.315kpc E(V-I)=0.50, E(B-V)=0.30 COCD=IIm2 t = 1.3 Gyr, Z = 0.008 フィットがもっとも難しかった星団。ブルーストラグラーの 存在を認め、MSTO を V-I=0.8, V=16.5 とした。RC と MSTO との間のカラー差 が大きいことから若く低メタル星団と分かる。 |
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Be57 l=107, b=-2, (m-M)o=13.09 r=10.53kpc, z=-0.163kpc E(V-I)=0.85, E(B-V)=0.75 COCD=IIm2 t = 1.4 Gyr, Z = 0.004 ブルストラグラーとフィールド星の混入は除けた。MSTO 直下 のギャップが V-I=1.1, V=18 にある。RC が多く、δV が小さいので数Gyr を 示唆する。 RGBがないのでメタルの決定が困難。低メタルだと MS は上手く合うが RC が不満足。MS は (B-V,V) CMD で赤過ぎる。 |
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Be12 l=161, b=-2, (m-M)o=12.90 r=12.16kpc, z=-0.132kpc E(V-I)=1.05, E(B-V)=0.80 COCD=IIm1 t = 1.6 Gyr, Z = 0.008 V-I=1.4, V=17.2 付近の星を MS に入れた。 RC が良く群れ、 RGB がないことから、星団は 2 - 3 Gyr であろう。 Ann et al 2002 は 4 Gyr を 与えている。彼らの下部 MS は合っていない。 |
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Be23 l=192, b=5, (m-M)o=13.81 r=14.18kpc, z=0.39kpc E(V-I)=0.40, E(B-V)=0.30 COCD=IIIm1 t = 1.8 Gyr, Z = 0.004 富んだ RC と小さな δV はあまり年取っていないことを 示す。 Ann et al 2002 は 0.8 Gyr を与えた。彼らの等時線は MS は良く合うが RC がずれている。 |
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Biu11 l=208, b=3, (m-M)o=13.51 r=13.15kpc, z=0.228kpc E(V-I)=0.30, E(B-V)=0.05 COCD=IIIp1 t = 2.0 Gyr, Z = 0.030 RC が貧弱で δV が大きいので古い星団である。 V-I=1.83, V=13.67 星はメタルが太陽であることを示す。 |
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Biu7 l=206, b=5, (m-M)o=14.83 r=17.26kpc, z=0.825kpc E(V-I)=0.15, E(B-V)=0.15 COCD=IIm1 t = 2.2 Gyr, Z = 0.008 数個のRC星から 3 Gyr 程度と判定した。MS と V-I=1.9, V=13.2 の RGB 星も支持する。この星は、Z=0.008 を示す。もっと明るいRGB 星もそれに合う。この後の英語が不明。Guetter 1993, Carraro et al 1998 と距離、年齢で不一致があるらしい。 RC が小さく、RGB が 発達しているのもそれと合う。V-I=2.2, V=12.7 の星が RGB メンバーなら 低メタルを示す。低メタル等時線のみが明るい RGB 合う。Ann et al 2002 は 4 Gyr を与えたが我々の方が良く合っている。 |
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Be70 l=167, b=4, (m-M)o=13.11 r=12.62 kpc, z=0.262 kpc E(V-I)=0.70, E(B-V)=0.50 COCD=IIIm1 t = 2.8 Gyr, Z = 0.004 大きな δV は高年齢を示唆する。 |
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Biu13 l=214, b=2, (m-M)o=14.31 r=15.09kpc, z=0.238kpc E(V-I)=0.60, E(B-V)=0.45 COCD=IVp1 t = 2.8 Gyr, Z = 0.019 MS がかすかでブルーストラグラー汚染が激しい。MSTO を V-I=1.2, V=18.5 とした。RC ははっきりしない。 (1.8,17), (1.6,16.5), (1.8,16) は同じくらい RC に見える。古い星団であろう。 (B-V,V) CMD から (1.6,16.5) は 多分違う。(1.8, 16) だと (2.2, 15.1) を RGB としてフィットしにくい。 (1.8, 17) を RC として、 2.8 Gyr とした。 |
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Be 8 l=127, b=13, (m-M)o=12.5 r=10.8kpc, z=0.8kpc E(V-I)=0.88, E(B-V)=0.75 COCD=IIm2 t=3.2Gyr, Z=0.008 (1.4,17.5)を MSTO, (1.45, 18) を MS ギャップとして 3.2 Gyr としたが、ブルーストラグラーの汚染が激しい。 もっと古くすると MS, RGB は良く合うが、 (1.4, 17.5) の RC が合わなくなる。RGB 勾配は 浅く低メタルを支持する。 |
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Be36 l=227, b=-1, (m-M)o=13.94 r=13.43kpc, z=-0.062 kpc E(V-I)=0.55, E(B-V)=0.40 COCD = IIIm1 t = 3.2 Gyr, Z = 0.019 ブルーストラグラーとフィールド星のため MSTO が はっきりしない。サンプル領域を小さくして、V-I≤1.0, V≤18 に 隙間を見つけた。 これが MSTO 位置を示すと考え、RGB を合わせると、RC 位置が (1.7, 17) になる。しかし、MS が青い方へ伸び過ぎる。また、明るいRGB も合わない。 |
![]() |
Biu8 l=207, b=4, (m-M)o=12.88 r=11.95kpc, z=0.289kpc E(V-I)=0.15, E(B-V)=0.10 COCD = IIr2 t = 3.6 Gyr, Z = 0.008 δV が大きく、RGB が数個見え、RC がまばらなので 古い星団である。RGB 星は Z=0.008 を支持する。 |
Be 8, l=127, b=13, COCD=IIm2 | Be12, l=161, b=-2, COCD=IIm1 | Be23, l=192, b=5, COCD=IIIm1 | |
t=3.2Gyr, Z=0.008 | t=1.6Gyr, Z=0.008 | t=1.8Gyr, Z=0.004 | |
(m-M)o=12.5, r=10.8kpc, z=0.8kpc | (m-M)o=12.9, r=12.1kpc, z=-0.1kpc | (m-M)o=13.8, r=14.2kpc, z=0.5kpc | |
(1.4,17.5)を MSTO, (1.45, 18) を MS ギャップとして 2.3 Gyr としたが、ブルーストラグラーの汚染が激しい。もっと古くすると MS, RGB は良く合うが、 (1.4, 17.5) の RC が合わなくなる。RGB 勾配は 浅く低メタルを支持する。 | V-I=1.4, V=17.2 付近の星を MS に入れた。 RC が良く群れ、 RGB がないことから、星団は 2 - 3 Gyr であろう。Ann et al 2002 は 4 Gyr を 与えている。彼らの下部 MS は合っていない。 | 富んだ RC と小さな δV はあまり年取っていないことを 示す。Ann et al 2002 は 0.8 Gyr を与えた。彼らの等時線は MS は良く合うが RC がずれている。 |
Be36, l=227, b=-1, COCD=IIIm1 | Be57, l=107, b=-2, COCD=IIm2 | Be64, l=131, b=5, COCD=IIm1 | |
t=3.2Gyr, Z=0.019 | t=1.4Gyr, Z=0.004 | t=1.3Gyr, Z=0.004 | |
(m-M)o=12.5, r=13.9kpc, z=-0.1kpc | (m-M)o=13.1, r=10.5kpc, z=-0.2kpc | (m-M)o=13.2, r=11.8kpc, z=0.3kpc | |
ブルーストラグラーとフィールド星のため MSTO が はっきりしない。サンプル領域を小さくして、V-I≤1.0, V≤18 に 隙間を見つけた。これが MSTO 位置を示すと考え、RGB を合わせると、RC 位置が (1.7, 17) になる。しかし、MS が青い方へ伸び過ぎる。また、明るいRGB も合わない。 | ブルストラグラーとフィールド星の混入は除けた。MSTO 直下 のギャップが V-I=1.1, V=18 にある。RC が多く、δV が小さいので数Gyr を 示唆する。RGBがないのでメタルの決定が困難。低メタルだと MS は上手く合うが RC が不満足。MS は (B-V,V) CMD で赤過ぎる。 | MS がはっきり定まらない。RC はよく群れている。浅い &lelta;V は 1 - 2 Gyr を示す。Z 0.004 だと V-I=2.59, V=13.63 星が上手く 説明できる。結果は Ann et al 1999 と同じ。 |
Be70, l=167, b=4, COCD=IIIm1 | Biu7, l=206, b=5, COCD=IIm1 | Biu8, l=207, b=4, COCD=IIr2 | |
t=2.8Gyr, Z=0.004 | t=2.2Gyr, Z=0.008 | t=3.6Gyr, Z=0.008 | |
(m-M)o=13.1, r=12.6kpc, z=0.3kpc | (m-M)o=14.8, r=17.3kpc, z=0.8kpc | (m-M)o=12.9, r=11.9kpc, z=0.3pc | |
大きな δV は高年齢を示唆する。 | 数個のRC星から 3 Gyr 程度と判定した。MS と V-I=1.9, V=13.2 の RGB 星も支持する。この星は、Z=0.008 を示す。もっと明るいRGB 星もそれに合う。この後の英語が不明。Guetter 1993, Carraro et al 1998 と距離、年齢で不一致があるらしい。RC が小さく、RGB が 発達しているのもそれと合う。V-I=2.2, V=12.7 の星が RGB メンバーなら 低メタルを示す。低メタル等時線のみが明るい RGB 合う。Ann et al 2002 は 4 Gyr を与えたが我々の方が良く合っている。 | δV が大きく、RGB が数個見え、RC がまばらなので 古い星団である。RGB 星は Z=0.008 を支持する。 |
Biu9, l=211, b=9, COCD=IIm2 | Biu11, l=208, b=3, COCD=IIIp1 | Biu13, l=214, b=2, COCD=IVp1 | |
t=1.0Gyr, Z=0.004 | t=2.0Gyr, Z=0.030 | t=2.8Gyr, Z=0.019 | |
(m-M)o=12.7, r=11.6kpc, z=0.2kpc | (m-M)o=13.5, r=13.2kpc, z=0.2kpc | (m-M)o=14.3, r=15.1kpc, z=0.2kpc | |
RC の存在と浅い δV からあまり古くない。 V-I=1.70, V=13.24 は上手く乗らない。MS の曲がり具合も上手くフィット できない。(B-V,V) CMD で RC がうまく合わない。Ann et al 1999 は もっと若い年齢を出した。しかし、等時線が TO の上を通ってしまう。 | RC が貧弱で δV が大きいので古い星団である。 V-I=1.83, V=13.67 星はメタルが太陽であることを示す。 | MS がかすかでブルーストラグラー汚染が激しい。MSTO を V-I=1.2, V=18.5 とした。RC ははっきりしない。(1.8,17), (1.6,16.5), (1.8,16) は同じくらい RC に見える。古い星団であろう。(B-V,V) CMD から (1.6,16.5) は 多分違う。(1.8, 16) だと (2.2, 15.1) を RGB としてフィットしにくい。 (1.8, 17) を RC として、 2.8 Gyr とした。 |
Czer19, l=174, b=-9, COCD=IIm1 | Rup7, l=225, b=-5, COCD=IIm2 | ||
t=0.1Gyr, Z=0.004 | t=1.3Gyr, Z=0.008 | ||
(m-M)o=12.0, r=11.0kpc, z=-0.4kpc | (m-M)o=13.0, r=11.6kpc, z=-0.3kpc | ||
主系列の形は明らかに若い星団のもの。V-I=1.74, V=11.62 の 星はうまく等時線に乗っている。 | フィットがもっとも難しかった星団。ブルーストラグラーの 存在を認め、MSTO を V-I=0.8, V=16.5 とした。RC と MSTO との間のカラー差 が大きいことから若く低メタル星団と分かる。 |
3.2.等時線フィットのまとめ (B-V,V), (V-I,V)色等級図に対し、年齢、メタル、(m-M)は共通、E(B-V), E(V-I)は 独立のパラメタ-としてフィットした。E(B-V)と E(V-I) を独立に決めていることに 注意せよ。表4に結果を載せた。付録1に個々の星団に対するフィッティングについて 述べてある。 ![]() |
3.3.δV 法 球状星団に使われていた方法を古い散開星団に適用したのは、Janes,Phelps 1994(JP), Carraro, Chiosi 1994 (CC) である。 δV=V(TO)-V(RC) キャリブレーションは上論文に与えられている。 Janes,Phelps は合わない。 レッドクランプが認められる13星団にδV法を当てはめた結果を表5に載せた。 JPキャリブレーションでは年齢が大幅に古くなる。 Carraro,Chiosi は合う。 図5に等時線フィットと δV 法 で決めた年齢を比較した。太い線は CC キャリブレーション、細い線は JP キャリブレーションである。 CC 線は 比較的良いが、JP 線が年齢を過大に見積もることが明らかである。 Friel 1995 の星団年齢は JP キャリブレーションに基づいており、多くが過大 評価になっている可能性がある。特に 4 Gyr を越える場合は注意が必要である。 CC94はよい。メタルが影響するので、δV法にはメタルの事前評価が必要である。 ![]() |
3.4.銀河系円盤の減光 3.4.1.E(B-V) と E(V-I) の比較 測光のゼロ点は初めから与えられているわけではない。E(B-V) と E(V-I) の比較 には、そのチェックという意味もある。図5には両者をプロットした。強い相関が 見られるが、Biu 11 のみはそこから外れている。この意味は、 (1)測光ゼロ点は比較的よく決まっているので、測光データに基づいて赤化 や距離を決めてよい。 (2)赤化-距離関係を星団メタル量のチェックに適用可能である。 図5にはまたモデルからの関係を3本引いた。実線は Munari, Carraro 1996 の E(V-I) = 1.25 E(B-V), 一点鎖線は Cardelli et al. 1989 の関係、破線は Rieke, Lebofsky 1985 である。 ![]() 図5.E(B-V) と E(V-I) の比較。3本の直線は異なるモデルから。 | 3.4.2.色超過と IRAS 100 μm 強度 銀河系吸収と IRAS 100 μm 強度の関係(Hasegawa et al 2000)があるので、 星団の色超過と IRAS 強度を図6に比較した。IRAS 強度は 5' 角で平均したものを 使った。IRAS 強度と色超過の間によい相関が認められる。 相関を一次式でフィットすると、 E(V-I) = 0.038 ( f100 - 3.84 ) E(B-V) = 0.029 ( f100 - 3.83 ) となる。上の係数は Munari, Carraro 1996 ともよく合う。Rv = 3.1 を採用し、 Av = 0.118 ( f100 - 3.84 ) 括弧内の定数、3.84 (MJy str-1) は星と星間物質からの寄与である。 (減光に無関係な星間物質って?) また、 f100 は円盤全部だが、赤化は星団までの分である。これが図の分散の 原因の一部になっているだろう。(だから本当は上包括線を 取るべき?) ![]() 図6.色超過と IRAS 100 μm 強度の比較。黒丸は E(V-I)で実線でフィット、 白丸は E(B-V)で破線でフィット。 |
4.1.一般的性質 年齢分布 図7は星団年齢分布を表わす。我々の星団には球状星団も M 67 ほど古い 散開星団も含まれていない。しかし、Czer 19 以外の星団は古い。 この年齢は Janes, Adler 1982 が定めた散開星団の寿命に近い。もし、Friel サンプルの年齢をそのまま受け取ると、その約半数 (32/74) は 1.5 Gyr より 若い。一方我々のサンプルは 9/13 がこの値より古い。 空間分布 図8は円盤を縦に断った面上に星団をプロットしたものである。最高で 1 kpc 近く上まで分布していることがわかる。若い星団のスケール高 が ∼ 55 pc である (PJ 94, Phelps et al 1994) のに較べると、 今回のサンプルはスケール高が大きく、 Friel 1995 のそれと合致する。 反中心方向のサンプルなので、銀河中心距離が太陽半径より外側の範囲に 分布している。 年齢分布 図9では、銀河中心距離は年齢と比較されている。Friel 1995 サンプル中の若い 星団は rGC ≤ 12 kpc の内側円盤にのみ分布している。 外側円盤には古い星団しか存在しない。Biu 11 は 例外であるが、測光の不定性が大きい。 メタル量分布 図10にはメタル量の動径分布がプロットされている。メタル量のグリッドは パドヴァ等時線で制限されているため粗い。図を見ると、 9/13 星団は Friel 1995 のメタル量勾配に乗っているが、 rGC ≤ 12 kpc の外側円盤にある 4/13 星団, Be 36, Biu 7, Biu 11, Biu 13 はメタル勾配よりかなり上に位置する。 これらの内3つは Twarog et al 1997 の 10 kpc でメタル量に切断があり、その 内側と外側ではそれぞれ一様なメタル量分布をしているという主張に反している。 ![]() 図7.年齢分布。太い実線=観測した星団 細い実線=球状星団。鎖線= Friel 1995 サンプル。 | ![]() 図.9 年齢と銀河中心距離の関係。黒丸=本論文。白丸=Friel ![]() 図10.メタル量-銀河中心距離関係。黒丸=本論文。白丸=Friel |
メタル量-年齢関係
図11はメタル量-年齢関係を示す。本論文の星団は大部分が太陽以下である。
比較的若い (1 - 1.5 Gyr) 星団、Be 57, Be 64, Biu 9 はメタル量最低グループ
に属する。4星団、Be 36, Biu 7, Biu 11, Biu 13, はメタル量勾配にすれすれで
引っかかる。 何を言おうとしているのか? 4.2.興味深い星団 遠くて高メタルな星団 本論文の星団中で、Biu 7 は2番目に遠い天体で rGC = 17.5 kpc, z = 0.8 kpc である。星団として最も遠いとされている Be 29 はメタル量が観測 されていないので、Biu 7 のメタル量 [Fe/H] = -0.4 は rGC ≥ 14 kpc では極端に高メタルな星団である。ただ、メタル量のステップ巾が 大きいのでより詳細な研究が望まれる。 若い星団 Czer 19 は年齢 0.1 Gyr, rGC = 11 kpc, z = 0.4 kpc である。この 年齢ではスケール高 = 55 pc であり、これほど高い位置にあるのは珍しい。じっさい、 0.15 Gyr より若い星団 ( WEBDA データ) の中でこの星団は 3 番目に高い位置にいる。 また、若い星団の殆どが 10 kpc の内側にいることを考えてもこの星団の位置は 珍しい。 WEBDA: http://www.univie.ac.at/webda/webda.html | ![]() 図11.メタル量-年齢関係。黒丸=本論文。白丸=Friel。 右側エラーバーはパドヴァ等時線の年齢ステップ巾。 |
(1) 13/14 星団は 1 Gyr の古い星団であった。 (2)その銀河面高度分布も若い星団と異なる。 (3)外側円盤の4星団は高メタルである。Friel のメタル量-距離関係には |
辛うじて引っかかる。Twarog et al. 1997 のメタル量2ステップ分布 とは反する。 (4)Biu 7 は距離が分かった星団中第2の銀河中心距離を持つ。Czer 19 は 0.15 Gyr より若い星団中で、銀河面高度第3位である。 |
メタル量-距離関係(RDR)は Pollacco, Ramsay 1992 により、(V-I) 対
(B-V) - (V-I) のプロットから、赤化を推定する試みとして始められた。( この方法は若い星団や惑星状星雲に使われたが、ここではそれを古い星団に 適用する。 何をしているのか分からなかった。 |
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