LMC ハローの球状星団 G1C0435-59 の深い CCD 測光 (Vlim = 24.4) を 行った。色等級図と光度関数を作り議論する。水平枝には多数の RR Lyr 星 〈V〉 = 19.07±0.06 が存在する。ターンオフは V = 22.45 ±0.1, B-V = 0.35±0.05 である。 |
水平枝光度での巨星枝カラー (B-V)g = 0.71±0.04 から導いたメタル
量は、赤化 E(B-V) = 0.02 を仮定して、 [Fe/H] = -2.0±0.2 である。
この低いメタル量は星団 RR Lyr が Oosterhoff I 型であることと矛盾する。
VandenBerg, Bell 1985 等時線からの年齢は 16 - 18 Gyr である。
(年齢はその後、どこを調整したのか? ) 多数のブルーストラグラーが存在するらしい。光度関数は M5 と似る。それは、 銀河系球状星団に比べ、もう少し若い年齢か、大きな O/Fe 比を示唆する。 |
GIC0435-59 とは? GIC0435-59 はレチクル座にある非常に薄い球状星団か、あるいは小さな矮小 楕円銀河である。V = 19.5 までの色等級図は Demers, Kunkel 1976 が与えた。 彼らはまた RR Lyr を 22 星発見した。彼らはこの星団が非常に低メタルであり、 距離指標が共通であることから、おそらく LMC に属しているとした。 |
RR Lyr がちょっと変 RR Lyr 周期から GIC0435-59 は Oosterhoff I 星団で、LMC 中の他の低 メタル星団 NGC 1466, NGC 2257 と似て、 NGC 1841 や低メタル銀河系球状星 団の大部分と異なると考えられる。 こういう訳で GIC0435-59 は、年齢、その RR Lyr の起源などで興味ある天体 である。そのため、深い CCD 測光でターンオフまで達することに意義がある。 |
![]() 表1.観測まとめ |
![]() 表2.観測内部エラー |
![]() 図1.GIC0435-59 フィールド1の同定チャート。2.5 arcmin x 4 arcmin. |
![]() 図2.GIC0435-59 フィールド2の同定チャート。2.5 arcmin x 4 arcmin. |
表3=測光結果 第1列=星の番号。第6列の数字の意味は、(1)=フレーム1のみ、 (2)=フレーム2のみ、(3)=フレーム1、2で測光、(4)= 変光、(5)=飽和星 ![]() 図5.色等級図。点=フレーム1の星。十字=フレーム2のみで観測。 V=変光星。 |
図5,6=色等級図 図5は GIC0435-59 色等級図である。図6はそれを M92 ([Fe/H]=-2.2), M3 ([Fe/H]=-1.6) と比較した。 この比較から GIC0435-59 は低メタル球状星団と推測される。 ![]() 図6.GIC0435-59 色等級図と M92, M3 との比較。 |
4.1.変光星表3に示す変光星は Demers, Kunkel 1976 のリストにあったものに、今回の 測光と彼らの測光との間に等級差が大きい星を加えた。それらの新変光星は おそらく RR Lyr である。4.2.赤化前景星の UBVR 測光から決めた GIC0435-59 までの赤化量は E(B-V) = 0.02 と小さい。Burstein, Heiles 1982 の減光マップも E(B-V) < 0.03 を示す。4.3.メタル量GIC0435-59 のメタル量は水平枝等級における赤色巨星枝カラーから定めた。 その値は、図5から (B-V)g = 0.71±0.04 である。前節の赤化量を使う と、(B-V)o,g = 0.69±0.04 で、Zinn, West 1984 の較正を使うと、 [Fe/H] = -2.0±0.2 である。この値は RGB の傾き、ターンオフのカラー とも合致する。4.4.距離RR Lyr の平均等級は 〈V〉 = 19.07±0.06 である。 その平均周期シフトは、M15 で 〈Ps〉 = 0.041 として、 〈Ps〉 = 0.003±0.005 である。M15 RR Lyr の平均等級を Mv = +0.4 mag、Sandage et al 1981 の Ps = 3 Mbol を使うと、GIC0435-59 に 対して、〈Mv(RRLyr)〉 +0.52 となる。したがって、その距離指数は (m-M)v = 18.55 または、(m-M)o = 18.49±0.1 である。この値は Demers, Kunkel 1976 の求めた値と近い。彼らはこの一致から GIC0435-59 と LMC の間につながりがあると述べた。4.5.ターンオフと年齢ターンオフ点は (V, B-V) = (22.45±0.1, 0.35±0.05) である。 等級誤差は理論等時線と観測天分布との比較の不定性からである。これは (V, B-V) = (22.6, 0.33) から (22.1, 0.45) にかけての斜めの領域に星が欠けて いることではっきりした構造が示されている。図7には等時線と観測色等級図が 比較されている。Z = 0.0001 の等時線を赤い方にずらせたのは Fahlman et al 1985 が M15 で行った処置である。これは Teff - (B-V) 較正のエラーのためかも 知れないし、相対太陽組成比の仮定が間違っているからかも知れない。ベスト解 は t = 16 - 18 Gyr で得られる。 |
![]() 図7.GIC0435-59 色等級図と VandenBerg, Bell 1985 等時線。(a): Y=0.20, Z=0.0001. [Fe/H] = -2.3. (b): Y=0.20, Z=0.0003. [Fe/H] = -1.8. 年齢は Z=8, 10, 12, 14, 16, 18 Gyr. (a) の等時線は 0.05 mag 赤い方へ移動してある。 |
4.6.水平枝表4には水平枝の星を示す。RR Lyr 星は水平枝星の 80 % を占める。赤い 水平枝星の青端 B-V =0.47 と青い水平枝星の赤端 B-V =0.09 が不安定帯の位置を 示す。赤化補正すると不安定帯は、B-V = [0.07, 0.47] である。 |
![]() 表4.水平枝星の分布 |
![]() 表5.光度関数。 |
![]() 図8.AGB,RGB, subgiants, MS の累積光度関数。黒丸=GIC0435-59。 点線= M92, 実線= M5, 破線= M13. |
Demers, Kunkel 1976 測光に系統誤差 Demers, Kunkel 1976 には V > 19.2 で等級依存の系統誤差がある。その ため、赤色巨星枝の勾配が正しくなかった。 RR Lyr 新たに5個の RR Lyr 星が同定された。水平枝星の 80 % が RR Lyr である。 赤色巨星枝のカラー 水平枝レベルでの赤色巨星枝のカラーは (B-V)o,g = 0.71 で、これから [Fe/H] = -2.0 となる。 |
距離 RR Lyr の平均等級から (m-M)o = 18.49 である。これは LMC の距離と合致する。 年齢 ターンオフ点の等級は VTO = 22.45 である。これは 16 - 18 Gyr に相当する。 光度関数 V = 23 までの光度関数を導いた。それからの結論は O/Fe が大きいか、 年齢が銀河系球状星団ほどでないかである。 |