渦状銀河と S0 銀河の大部分は二つの成分を持つ:楕円体成分と指数関数型
円盤成分。円盤の表面輝度は、I(R) = Io exp(-αR) の形を取る。
この論文では円盤成分を扱う。輝度分布に円軌道の力学平衡を考えて、角運動
累積分布 M(h) を導いた。指数型円盤の M(h) は、一様密度剛体回転球のそれと
殆ど同じである。36個の渦状銀河と S0 銀河の測光データから以下の結果を
得た。 (i) 28/36 銀河は全等級の幅は 5 等もあるが、 Io は 21.65 B mag./arcsec 2, 標準偏差 0.3 mag./arcsec2 で一定値を取る。 |
Io が一定であることから、ハッブルが見出した見かけ等級と角直径の間の関係
が導かれる。 (ii) S0 - Sbc 銀河の円盤スケール長 α-1 は 1 - 5 kpc に広く分布するが、晩期型銀河では主に < 2 kpc に集中する。 (iii) 楕円体成分の占める明るさと大きさは形態型と弱い相関しか持たない もし結論 (i) が柱密度 μ0 一定を意味するなら、円盤の総質量 M と総角運動量 Dの間に、D ∝ M 7/4 の関係が成立する。もし M(h) が原始銀河の収縮期に保存され るなら、 渦状銀河と SO 銀河になる原始銀河の全ては類似した M(h) を持って いたことになる。少なくとも円盤に対応する h に関しては。もし M(h が 非保存であるなら、現在見られる M(h) に転移する非常に効率的な機構が 存在するはずである。 銀河系がタイプ II であるとする、表面密度分布を Innanen 1966 から採った 図で示している。この図では太陽円周から内側が密度欠落部になり、指数型 円盤は太陽円周外側ということになっている。 |
円盤型銀河の2成分 De Vaucouleurs 1959 は 円盤型銀河=マゼラン型+渦状銀河+S0 銀河 の 輝度分布 I(R) = 内側楕円体成分 + 外側指数関数成分 で表されると述べた。 楕円体成分は log I ∝ R1/4, 円盤成分は I(R) ∝ Io exp(-αR) の形を取る。円盤銀河は、このように2成分 系であることで、楕円銀河と分かたれる。 |
この先のドロップ この先、タイプ II に関する記述に絞る。 |
二つのタイプ 輝度分布には二つのタイプがある。その例を図1に示す。 タイプI:観測可能な全 R 領域に渡り、 I(R) ≥ Io exp(-αR)。 タイプII:R = [R1, R2] 領域で、 I(R) < Io exp(-αR)。 タイプ II は星間減光が原因ではない。 8/17 S0 がタイプ II である。 タイプ I タイプ I は指数関数型円盤+より急な楕円体である。指数関数円盤が R = 0 まで伸びていると信ずべき理由はない。 タイプ II タイプ II では指数関数型円盤は明らかに R = 0 まで達していない。この タイプでは指数関数型円盤に比べ、中央部に欠損がある。角運動量分布で言うと、 h = [h(R1), h(R2)] に対応する。タイプ II の中には 非常に明るい B(0)c を持つサブグループがあるらしい。B(0)c が 21.65 より ずっと明るい銀河の内、6/7 はタイプ II である。 それらは図5に示されている。 もし、 Innanen 1966 の銀河系太陽円周外のモデルが正しいなら、 銀河系もこのサブグループに属する。 しかし、8/14 タイプ II は正常な B(0)c を有することを忘れてはいけない。タイプ II の特徴が著しい 3つの円盤銀河 M 31, M 83, NGC 7793 では、渦状腕の外側で指数関数円盤が 発達するのは興味深い。例えば、 M 83 では、真に明るい腕が見られるのは [R1, R2] 区間である。円盤は R > R1 になって、はっきり定義されるようになる。M83 と天の川銀河は非常に良く似た 構造を有するのではないか。 タイプ II の起源 原始銀河雲の角運動量が、その質量が指数関数円盤に正常に留まるよりも 大きいと、すると、円盤は低角運動量を持つ質量を少なくするという調節を取り、 その結果、タイプ II のような配置が生まれるのでないか。特に、非常に明るい B(0)c と、小さな α-1 を持つ銀河はタイプ II の可能性が高い。 |
![]() 図5.B(0)c = 36銀河の指数関数型円盤に対する中心輝度。 B(0)c = 21.65 の水平破線は 28 銀河の平均値。数字は NGC 番号。 G = 天の川の推定値。黒丸=タイプ I.白丸=タイプII。図1を見よ。 |
幾つかの銀河系質量分布モデルが回転曲線、局所密度、その他の観測量の 再現に成功している。図11に、 Innanen 1966 のモデルに依る表面密度 分布を示す。このモデルに依ると、銀河系はタイプ II である。そのパラメ タ―は、α-1 = 1.6 kpc, B(0)c = 17.8 mag arcsec -2 である。 |
![]() 図11.天の川銀河の表面密度分布。Innanenn (1966) による。μ は Mo /pc2 単位である。破線=指数関数円盤の延長。μo = 円盤の外挿中心表面密度。 |