The Intrinsic Colours of Stars and Two-Colour Reddening Lines


FitzGerald
1970 AA 4, 234 - 243




 アブストラクト

 固有カラーの決定法 
 Photoelectric Catalogue (Blanco et al 1968) を用い、 Johnson UBV と Cape UcBV システムの双方で、全ての MK クラスの星 の固有カラーを求めた。ある MK クラスの星の固有カラーを求める方法は
(1).A - M III, IV, V 星は無赤化星の平均カラー
(2).A - M I, II は2色図上系列の最も青いカラー
(3).O - B 型星は 2色図上の赤化直線
赤化直線の傾き 
 赤化直線、Eu = αEy + β Ey2 の勾配は早期型星から決めた。UBV システムでの 値は、Cygnus 領域で α = 0.75±0.01, 残りの天域で α = 0.70±0.01 であった。曲げ率 β はどちらでも β = 0.05 であった。UcBV では α = 0.37±0.01, β = 0.00 で、スペクトル型依存はなかった。


 1.イントロ 

 光電測光カタログ 
 Blanco 1968 の Photoelectric Catalogue には 17,000 星の Johnson UBV, Cape UcBV 等級が載っている。そのうち 7000 星は MK 分類が与えられている。

 固有カラー 
 理想的には無赤化星のカラーが得られればよい。これは A0 より晩期の 矮星と巨星では可能である。しかし、他の種類の星では同種類の星の2色図 を作り、その青端を固有カラーと仮定して求める。この方法は Feinstein 1959, Kraft, Hiltner 1961 が用いた方法である。Johnson 1963 は O-, B- 型星の 固有カラーを求めるため、より晩期の星で赤化が決まっている星団メンバーを 用いた。この方法は O-, B-型星にはうまく行ったが、A - M 型超巨星の場合は 星団中にサンプルが存在しないために働かなかった。

 無赤化星のカラー 
 スペクトル型 A0 より晩期、光度クラス III, IV, V の星は 100 pc 以内に 多数見つかる。 FitzGerald 1968, Eggen 1963 はこれ等の星の赤化が小さいことを示した。図1の V - (B-V) 図は 100 pc 以内で赤化が無視できることを示している。このような方法で  A0 III-V - M6 III-V の星の固有カラーが決められた。一般的には 固有カラーは 50 - 100 pc 以内の 10 - 40 星の平均として決まる。

固有カラー二色図 
 得たカラーから (U-B)o - (B-V)o, (Uc-B) - (B-V) 二色図が作られる。

図1.A3V 星の (B-V) 対 mv 図。このグループの星の 固有カラーは 0.080 となる。



表4.固有カラー (B-V)o 決定に使用された星の数。

 明るい巨星と超巨星 
 明るい巨星と超巨星は二色図の青端で固有カラーを決める。この方法の エラーは、
(1)無赤化の星がないと、青端でも赤化を受けている。
(2)無赤化星が多すぎると測定エラーで、端のカラーは青すぎる。
その効果を示すため、図2に既に固有カラーが決まっている K2 III の 二色図を示す。実線は既に決まった巨星の系列である。これで見ると青端法は K2III に対して、 0.04 mag 青い値を与えることが判る。
 二色図法は G5 より晩期の明るい巨星、超巨星に対して用いられる。それ より早期だと赤化ベクトルが固有ラインと複数回まじわるので、スペクトル 型ーカラー図を用いるべきである。

 光度グループ 
 三つの光度グループ、 (i) II - III, (ii) II, (iii) Ia, Iab, Ib が用いられる。A - G5 型星はスペクトル型ーカラー図から固有カラーを 決めた。

 O-,B-型星の赤化線と固有カラー 
 O-, B-型星のカラーは通常減光が既知の星団(Johnson 1963) から決める。 そうすると、フィールド O, B 星は使われない。それらの星を二色図に 並べ、固有 (B-V)o カラーと交わる点から (U-B)o を決めることが出来る。

図2.K2 III 星の二色図。実線=近傍星から決めた III 巨星の経路。 その上に K1, K2, K3 をプロットした。破線=分布青端のライン。 丸バツ印=最青端にあたる星の位置。
(何のことなのか?丸バツはどうして 実線K2とこんなに離れるのか? )


  α の変化? 

 赤化勾配 
  Eu = δu + αEy + βEy2
ここに、Eu = E(U-B), Ey = E(B-V) である。
 β = 0.05 を過去の研究やモデル計算から採用して、 α の 決定を行った。

 天空の分割 
 まず銀経を、l = 0° - 72°, 72° - 90°, 90° - 170°, 170° - 270°, 270° - 320°, 320° - 360° の6領域に分け、スペクトル型は O5-O7, O8, O9-O9.5, B0-B0.5, B1-B1.5, B2, B3-B4, B5-B6, B7-B8, B9-B0.5, B1-B1.5, B2, B3-B4, B5-B6, B7-B8, B9-B9.5, A0-A1, A2-A6 に分けた。O9-A5 はさらに光度クラス で Ia-II, III-IV, V の3クラスに分けた。こうしてできた 198 区間ごとに α を決めた。Wampler 1961 が述べたように、α の弱い l 依存 が認められるが、パラメターが大きく変わるのはシグナス領域である。 それで、空をシグナス領域とその他とに二分した。その結果、分割は 66 に なった。

α の変化 
 表2の (U-B)o と β = 0.05 の仮定に基づいて、上の各区間で α を決めた。O9 - B1 主系列星に対しては、
  &alpha: = 0.752±0.011   Cygnus region
       0.699±0.006   他領域
であった。表5にはシグナス領域外での α をスペクトル型毎に与えた。 また、表6には (U-B)o に対する変化を示した。シグナス領域に対する 値は 0.053 を加えると得られる。

 Cape UcBV システム 
 Cape UcBV システムでの赤化軌跡も同じように求めた。こちらには、 銀経による変化は認められなかった。また、曲がり β = 0.00 で あった。MK 分類による変化もなかった。勾配の平均値は、

   α = 0.368 ±0.014    O - B1 星

であった。



表5.MK 群ごとの赤化勾配 α 値


表6.M赤化勾配 α 値の (U-B)o による変化


 結果 

 赤化線 
 O, B 型 2000 星、A - M 型 4500 星のデータから、 O9 - B1 主系列星に対し、

   Eu = 0.75(±0.01)Ey + 0.05 Ey2     72° ≤ l ≤ 90°

   Eu = 0.70(±0.01)Ey + 0.05 Ey2     残りの空

   EuC = 0.37(±0.01)Ey







表1.採用した (B-V)o





表2.採用した (U-B)o





表3.採用した (Uc-B)o