太陽から1kpc 以内の星間減光は銀緯 l に関してサイン関数型であった。
その理由は太陽が大きさ 500 - 600 pc、密度が周辺の3倍のダスト雲の南縁
近くに埋もれているためであろう。 | P/E(B-V) も E(U-B)/E(B-V) も同じようなサイン曲線型変化を示す。 それから推察すると、偏光は銀河磁場の直接効果ではなく、また R=Av/E(B-V) もおそらくサイン曲線型の変化を示すのであろう。 |
北半球から南半球に来ると、銀河中心付近の天の川が明るいのは勿論であるが、
中心から十分離れても北半球側より南半球の天の川が明るいことに驚く。通常、
これは南半球が腕に近いためと説明されていた。しかし、著者は南天星団研究の
過程でそれらの星間減光が北天に比べて著しく低いことに驚いた。そこで、
k = Av/D (mag/kpc) の値が銀経に対し系統的変化を示すかどうかを調べた。
このような研究はこれまでなされていない。 データは OB-星の UBV 測光カタログから取った。スペクトル型から Johnson 1958 の固有カラーを求め、観測値と比較し E(B-V) を決めた。Av の決定には R=Av/E(B-V)=3 を仮定した。距離の決定には Johnson-Iriarte 1958 の Mv 値を用いた。 ![]() 図1.平均星間減光強度の銀経依存性。選択効果の補正はしていない。 |
サンプル数と統計精度のバランスを考えて、 r < 1 kpc の星を Δl=20°
で平均したものを図1に示す。この特徴の説明として、 (A) 太陽が局所腕の内側縁にあるから Morgan,Whitford,Code 1953 は太陽が青く若い星で定義される局所腕の内側縁に 位置することを示した。Sandage 1961 が示したように、Sa, Sb 銀河では腕の内側縁 にダークレーンが延びていることが多い。その場合太陽はダスト腕の中にある こととなる。しかし、それが kv 変動の原因とすると、サンプル平均距離が 0.7 kpc あるので、腕と直交する方向ではダストなし領域に突き抜けてしまい、 その方向では非常に小さな k となる。また、l = 50° と 240° (新銀河座標では l=85° と 275° )に二重極大を持つはずである。 しかし、観測は単極大で合わない。 (B) 太陽は雲片の南の縁近くに埋もれている。 そのような模式図を図5に示す。 ![]() 図5.想定されるダスト雲の大きさと輪郭 |