Stothers 1963 は球状星団中の長周期変光星は一般空間のそれらより 1.5 mag 以上明るいと主張した。そこで、新たなデータを基に再検討した。 | ストザーズが用いた球状星団の距離を訂正すると、球状星団のミラ型星 3個の絶対等級は一般空間のミラ型星と観測誤差内で一致した。 |
ストザーズの提案 ストザーズは球状星団中で周期 220 日以上の変光星 11 個をリストした。 しかし、 M 68 内の変光星 27 番の視線速度はこの星がメンバーでないことを 示す。また他の幾つかは星団中心から遠すぎてメンバーかどうか不確かである。 表1にはストザーズが使用した星団変光星を示す。それらを順に検討すると。 ω Cen Var. 2 周期 484 d とされているが、Martin は 242 d が正しいとし、今は この値が認められている。星は正常な Me 変光星で視線速度は -43 km/s. 星団の視線速度は +238 km/s なので、明らかにメンバーでない。 Var 19 NGC 7006 Rosino は表の周期が誤りで、周期 92 d と述べた。ここではもっと 長周期の星を扱うので外す。 |
![]() 表1.Stothers が使用した球状星団中の長周期変光星。r は星団中心からの 距離/星団半径 WY Cas NGC 7789 は球状星団でない。 WY Cas は Se 変光星。この二つ から外す。 Var 1 NGC6397 と Var 2 NGC 4833 これら二つもフィールド星の可能性が高い |
ストザーズの候補星 ストザーズは P = [170, 220] d 球状星団変光星候補に9つの星を上げた。 しかし、Var 6 M80 と Var 4 M22 は視線速度が違うので外れる。 かれが使用したのは 47 Tuc 内の3つの変光星であった。 |
47 Tuc の距離 ストザーズは 47 Tuc の距離指数に 14.3 mag を使ったが、主系列フィット による最近の値は 13.3 ±0.3 である。この値から極大可視等級 10.3 は絶対等級 -3.0±0.3 となる。Osvald, Risley 1961 の フィールド星周期光度関係は P = 200 d に対して -2.5 mag を与える。一致 は良い。 |
図1(下)= Osvald, Risley 1961 図1(下)には Osvald, Risley 1961 の統計視差から求めたフィールド星 の周期光度関係を示す。図1(上)には Feast (1963) による銀河回転方向平均速度と周期との関係を示す。この結果は、 150 日 以下の変光星は大部分が第1倍音振動をし、周期それ以上の星は基本振動を しているという仮説に合っている。 SRd 当然、基本振動しているミラ型変光星の系列にある周期 150 d 以下の 変光星を探したくなる。 SRd 星がそれであろう。これらの星は周期 70 - 140 日で、スペクトル型は M 型より早期である。ミラ型星の系列では周期が 短くなるとスペクトル型は早期となるので、この傾向も良い。 さらに、Preston et al は SRd が強いバルマー輝線を持つことを示した。 彼らの図4(b)では SRd の Hε が弱いか、存在しないが、これも ミラ型星に共通で、輝線の発生源が大気の深い箇所であることに由来する。 GCVS 中の SRd GCVS には視線速度既知の SRd が 18 個ある。しかし内 4つはバルマー 輝線を持たないので解析から外す。残りの14個で出した V が図1(a) に 示されている。この図は SRd がミラ系列の短周期側への拡張であることを 物語る。 |
![]() 図1.上:銀河回転方向の平均速度 V と周期の関係。 下:絶対等級 Mv と周期の関係。黒丸= Me. バツ= SRd. 白丸=球状星団 の星 (Kinman 1959)。 |
まず RV Tau 型星はここの議論から外す。多くの非 RV Tau 型変光星で 周期 50 - 170 d が球状星団付近に見出される。しかし、それらの星は 同じ周期の Me 変光星とは光度、スペクトルの双方で異なる。 | これらの星はおそらくいろいろな種類の種族の混合であろう。 |
それらは多分 SRa か SRb である。これらの星は周期 45 - 165 日を持つ。 これ等の星の存在と、 47 Tuc 内に 200 d 周期のミラが3つあることから、 星が巨星枝先端に近づくと小振幅の脈動が始まることが判る。 | 周期と振幅は 増大し、ミラになるのだろう。SRa と SRb がこのシナリオに組み込めるか どうかより研究が必要である。 |