VST による銀河面とバルジの測光 Hα サーベイ (VPHAS+) は角分解能
1 秒で南天銀河を u, g, r, i, Hα でサーベイする。その範囲は赤道
より南の銀河面、 b = [-5, 5] である。l = [10, -10] のバルジでは範囲を
拡張した。この ESO 公開観測は 2011 に開始され、10σ で 20 等に達
した。全体では 3 億星の可視測光データを与えるであろう。 観測戦略とデータ処理パイプライン、分割 Hα フィルターの評価も述 べた。モデル大気とライブラリースペクトルを用いて、主系列の (u-g), (g-r), (r-i), (r-Hα) を計算した。また、SDSS 観測と重複した 2 領域での データを用いて測光の妥当性も調べた。 | VPHAS+ 全領域の (U-g, g-r), (r-Hα, r-i) 二色図を示す。画像の性能 から、小さくまとまった星雲と星雲形態に対する研究機会に注意が払われる。 サーベイデータから NGC 2899 中心星を発見したことで u-バンドの価値が明らか にされた。このサーベイで用いられた VLT サーベイ望遠鏡と OmegaCam との組み 合わせは赤化を受けた早期型星の自動探査に理想的であることが判った。この観測 から将来、近接連星、白色矮星、急速変光天体の発見と解析が期待される。 |
"+" なしの VPHAS から VPHAT+ へ VPHAS は 2003 に始まった IPHAS = INT/WFC Photometric H&lpha; Survey of the Northern Galactic Plane の南天版として提案された。IPHAS は r, i, Hα で 20 mag まで達するサーベイである。観測範囲は赤道より 北の銀河面、 b = [-5, 5] である。約 2 億の星を含む。VST 公開サーベイ 検討会において、VPHAT に u, g バンドを加えて、早期型天体の探査が有効 になるよう拡大された。その結果、 VPHAT は VPHAT+ と改名された。 UVEXとの関係 VPHAT+ は IPHAS と UVEX = UV Excess Survey of the Northern Galactic Plane 双方の南天対応観測である。UVEX ( Groot et al. 2009 ) は La Palma INT において観測が実施中である。 |
VVV とのマッチ VPHAS+ の最後の拡大案は 2010 に VVV との関係で提案された。 VVV は バルジ領域で l = [-10, 10], b = [-10, 10] の z, Y, J, H, Ks サーベイを 狙っている。VPHAS+ もバルジ領域ではそれに合わせた観測を行うことになった。 GAIA との関係 IPHAS, UVEX, VPHAS+ は可視銀河系の星とダストの分布を明らかにする強力 な手段を提供する。そのような 3-D マップの試みは既に Sale et al 2009, Sale 2012 などで開始されている。 GAIA の力学構造に関するデータとこれら 星の SED に関する研究は相補う関係にある。 |
観測領域 VPHAS+ の観測領域を図1に示す。 VST に搭載した OmegaCAM は 4×8 CCD モザイクで1平方度の視野を持つ。 等級 深さは Sloan u, g, r, i と Hα フィルターで 20 mag (10σ) に達する。明るい限界は 12 - 13 mag で ある。現在 VPHAS+ 測光結果はベガ等級で表されている。 |
観測オフセット モザイクの間隙を消し、測光精度を安定化するため、各フィールドは2か 3回のオフセットで撮像された。 |
![]() 図2. VPHAS+ フィルター透過曲線。 |
![]() 図3.VPHAS+ で、分割 Hα フィルターを使う際のオフセットパターン. |
2.3.データパイプラインシステム変換は以下のように得られた。uVST = U + 0.035(U-B) gVST = B - 0.405(B-V) rVST = R + 0.255(V-R) iVST = I + 0.215(R-I) HαVST = R + 0.025(V-R) 2.4.限界等級 |
![]() 図6.VPHAS+ の測光エラー。データはフィールド 1679 の 0.2 平方度から 採った。そこは Westerlund 2 の 20 分角東である。括弧内の数字は 10σ と 5σ 限界等級。 |
![]() 図7.分割 Hα フィルター。 2x2 分割フィルターの両側には r- フィルターがガイドCCDの前に置かれる。 ![]() 図9.分割フィルター4つの透過率の比較。 ![]() 表2.各分割フィルターの特性。 |
![]() 図8.透過率を測定したフィルター上の位置。 ![]() 表3.NB-659 フィルターの平均透過率。IPHAS に使用されたフィルターと較べ、 中心波長が 20 A 赤く、10 % 巾が広く、透過率が高い。その結果ゼロ点が 0.2 等 上がった。 |
3.2.(r-Hα, r-i) 図上での星の系路![]() 図10.Hα フィルターの全測定位置で、バンドパス積分透過率を 補正した後の r-Hα 変化。データは図8の位置に応じて色分けされている。 最もズレの大きな赤線は全て C, D に属する。 3.3.天体視線速度の効果![]() 図11.上:輝線 EW = 220 A の明るい輝線天体の例。FWHM = 390 km/s. Vr = +35 km/s. 下:EW = 20 A で FWHM = 570 km/s の例。Vr = -50 km/s |
![]() 図12.EW = 220 A 天体の視線速度が変化した場合の出力変化。 ![]() 図13.EW = 20 A 天体の視線速度が変化した場合の出力変化。 ![]() 図14.Hα フィルターのレイアウト。 |
良い点 大部分の目的にはフィルターの性能は要求を満たす。輝線天体の大部分は IPHAS と同じくらい容易に検出できる。 悪い点の1 3.2.で示したように、分割フィルター間で中心波長が変わるので、 中間ー晩期 M型星で経路を太くする。C, D の隅にある天体で、視線速度が負 で大きいと Hα フラックスを低く見積もる。例えば Vr = -200 km/s だと 20 - 30 % 低くなる。[NII] 6548, 6584 輝線の存在がさらにややこしく する。しかし、それらは稀なケースである。 |
悪い点の2 信頼度の高い観測にはフィルター A, B, 及び、 C, D の中央が望ましい。 分割フィルターのケラレ除去のためポインティングを変えてとるので、 最初の観測で画面の端にある天体は次には画面中央で撮られる。 |
主系列と巨星 主系列と巨星を Straizys, Kuriliene 1981 に従い、 (Teff, log g) 空間 内で定義する。次にその系列に沿って太陽メタルのモデル大気を Munari et al 2005 のライブラリーから得る。 カラー カラーは次の式で決める。 ![]() ここに、 T=フィルターと大気の透過率に CCD 感度を掛けたもの、 Fλ,V はベガ (Teff=9550K, log g = 3.5) の Kurucz SED. 必要ならば、 Pickles 1998 の恒星分光測光ライブラリーを参照した。 r-Hα カラー r-Hα カラーの計算は広帯バンドのカラーと同じ方法で行った。ベガは A-型星なので強い Hα 吸収線を持つので、バンド内フラックスは純粋の 連続光の場合より小さい。広帯域とは異なり、狭帯域はバンド強度が標準化され ていない。従って、公的に認められた基準測光系は存在しない。我々は、 VST フィルターの平均プロファイルを適用して、ベガのバンド内フラックスを 1.84 10-7 erg cm-2 s-1 とした。 可視広帯バンド等級とのカラーをゼロとするため、ベガの mHα = 0.03 とする。より幅広の r-バンドと比較して Hα バンド内フラックス をベガの SED に大気減光と検出器感度を補正して計算すると、ゼロ点の降下は 3.01 mag となる。そこで、 zpt(NB-659) = zpt(r) - 3.01 をデフォールト値 とする。 ![]() 図15.(u-g, g-r) 面上の主系列星と巨星の赤化経路。主系列(実線)の減光は A0 = 0, 2, 4, 6, 8 である。u フィルターのリークは Ao = 6 の先(赤線) で u-g を下げることが判る。巨星(破線) は Ao = 0, 2, 4 に対してしか描かれ ない。 |
減光量 Ao 表4には主系列星と巨星の固有カラーを示す。付録Aには Rv = 2.5 と 3.1 の場合の赤化を受けたカラーを示す。減光が大きな幅に亘る時、赤化の方向は 少し曲がる (Sale et al 2009) ことが知られている。この論文では、通常用 いられる Av の代わりに 5500 A での単波長減光 Ao を減光量として使用する。 g-r = 3 で u レッドリークが効く 図15と図16には主系列星と巨星の赤化経路を示す。重要な注意点は OmegaCAM u フィルターは赤側に 10-5 - 10-4 の リークがある。この結果 g - r > 3 の赤化を受けた星では、u 等級が 実際より明るくなる。このため、使用するデータは g-r = 3 を限界とする。 実際にはそこまで赤くなる星は非常に少ない。 VPHAS+ u-g は Ao = 6 までは 信頼できる。 (r-Hα, r-i) 図の赤化 (r-Hα, r-i) 図は u-リークの影響を受けない。図16には Ao = 0, 2, 4, 6, 8, 10 の場合の経路を示した。 (こんなに曲がるのか? ) 主系列星は IPHAS (Sale et al 2009 図6 を見よ)と同じだが、巨星の場合に問題がある。純粋に理論的な大気モデルに 基づく経路は矮星とよく似ている。しかし、Pickles 1998 の分光測光ライブラ リーのデータは巨星経路の平坦化を示す。図16にこの分離が見える。表4を 見ると、i-バンドのシミュレイション等級が原因となっていることが判る。 これが晩期 K-型から M-型で、ライブラリーをモデルの代わりに使ったとき、 (r-i) を大きくしていくのである。 ![]() 図16.(r-Hα, r-i) 面上の赤化経路。実線=主系列。破線=巨星。 赤線= Pickles 1989 分光測光から導いた巨星経路。 |
二色図の比較 フラックス較正したスペクトルによる合成等級の方が M-巨星がよく表される という証拠は図17に示される。この図はまた同一領域の VPHAS+ と IPHAS 観測の比較にもなっている。 r-i = 1.5 までの分布は良く重なっているが、 その先では IPHAS の方がのびている。二つのサーベイでクロスマッチして 調べると、 IPHAS のカラーの方が大きなダイナミックレンジを持つことが 分かった。 (それはどちらかの測光が怪しいという 意味ではないのか? ) IPHAS と VPHAS+ 二色図の比較 図17の (r-i) > 1.5 では VPHAS+ 赤色巨星はほぼ平坦になる。 一方 IPHAS 赤色巨星は上がり続ける。しかし、各望遠鏡に合わせた合成測光系 に準拠すれば二つのデータセットは同じ結論になる。例えば、図17で 合成巨星枝の経路と比較すると、どちらも Ao = 4 付近が上限となる。 Marshall et al 2006 の減光マップと較べると、この方向で AK = -.3 当たりが最大である。これは Ao = 3.3 で矛盾がない。 (Hα 等級がフィルターに依存する ため異なり、それが Hα の入る二色図の形状に影響してくるという 意味なのだろうか? ) IPHAS が化学組成の差を検出で優位 図17を見ると、VPHAS+ 巨星系列が (r-Hα) で太いことが判る。 較べると IPHAS の方が細い。この差の実際上の効果は IPHAS M-巨星測光の方が 化学組成の差を検出するには優れている(Wright et al 2008)ということである。 幸運にも、図17は VST は良いシーイングの恩恵を受けていることを示す。 IPHAS で見つかった二つの輝線星候補は VPHAS+ 図では主要部に埋没している。 画像を調べると、どちらも距離 2 秒角以下の同じくらいの明るさの二重星に あることが判った。 VPHAS+ のシーイング 0.8 arcsec は IPHAS の 0.9 arcsec より少し良いのでパイプラインは各成分の等級決定で良い仕事をしている。 これは成分分離に際して偽の輝線星候補を生み出す理由をよく示している。 明るい方の限界等級 明るい限界等級 12 - 13 mag は G0 より早期の赤化を受けない星を実質的に 排除する。F-型やより早期の明るい星は 1 kpc 以遠にならないと観測可能等級 に入ってこない。しかしそれくらい遠いと、赤化がないことはほぼあり得ない。 この制限により、暗いが固有カラーが青い天体が二色図では青い端に取り残され、 他とはっきり分離される結果となる。この分野では VPHAS+ による選択は重要 である。 |
![]() 図17.赤道での、上=VPHAS+ と下= IPHAS 巨星(r-Hα, r-i) 図の比較。 位置は (l, b) = (35.95, -3.13) の 0.2 deg2 である。 等級は 13 < r < 18 に制限した。望遠鏡に合わせた Pickles 1998 分光測光ライブラリーの巨星経路を Ao = 2, 4 について重ねた。上図には青線 =大気モデルも加えた。黒長破線= 早期 A-型星に対する Ao = 0 - 10 の赤 化線。青四角= IPHAS カタログの輝線星候補。 |
![]() 図18. VST と SDSS(ベガ等級に変換)との等級差の分布。データは銀河面 から離れた2領域での VST 観測を使用。最大差は u バンドで、 VST データは SDSS より中間値で 0.12 mag 暗い。 等級差の分布 SDSS 領域内の 2 点で VST 測光を行った。SDSS との比較は 16 < r < 19 で、測光エラーが 0.03 mag 以下の天体で行った。図18には両者の 等級差分布を示す。もし、 VST フィルターが SDSS と同じであるなら、 それぞれの等級は測定された SDSS 等級に一致するだろう。 ベガの AB 等級 とベガ等級の差は 0.02 - 0.03 mag である。 u の差が大きい g, r, i バンドでは予想された等級と観測等級はよく合っている。差の分布 は 0.03 のランダムエラーと看做せる。しかし、 u では差の中間値が 0.12 mag の大きな差があった。 カラーの影響 図19には差と SDSS カラーとの関係を示す。カラーの影響は見られない。 u 等級の差は主にゼロ点のずれによるものである。 人工等級との比較 サンプル星の SDSS スペクトルを用いて、人工等級と人口カラーを計算した。 スペクトル型は B- から M- 型に亘る。 3800 A 以下の所ではスペクトルが 欠けている部分を Pickler 1998 の見本で補った。得た等級と VST 観測を比較 した結果を表5に示す。両者は 5 % レベルで合っている。 ただ u 等級は ずれも散らばりも大きい。u 等級は他バンドより精度が落ちると考えるべきであろう。 Hα 等級 CCD上の位置によるシフトはなかったが、カラーをいじる必要があった。 |
![]() 図19.VST と SDSS の等級差と SDSS カラーの関係。第2比較領域を使用。 表示は Δu - (u-g)SDSS, Δg - (g-r)SDSS, Δr 対 (g-r)SDSS, Δi 対 (r-i)SDSS. 横線= SDSS と VST のフィルターが同一であり、較正が完全であった場合の 想定値。データはこの横線の周りに分布し、カラーによる差は見られない。 二つのシステム間の変換にカラー項は不必要である。 ( 横線の値がゼロでないのはなぜ?) ![]() 表5.VST と SDSS スペクトルデータベースを使用した人工測光との平均等級差。 |
測光パイプラインの精密化 (i) 明るい星を APASS g, r, i 測光とクロスマッチ (ii) 等級オフセットを計算する。(図18?) (iii) g, r, i 等級オフセットを補正する。 (iv) (u-g, g-r) 図 主系列経路から縦シフトを求めて、u 等級を補正する。 (v) zpt(Hα) = zpt(r) - 3.01 で Hα 補正。 以上の結果、Δi = -0.004, Δr = -0.032(red-shifted filter), Δr = -0.033(blue-shifted filter), Δg = 0.069, Δu = -0.31 となった。予想されていた通り u の補正が大きい。 |
二色図の検討 図20右では、早期 A-型星が恒星経路の下側の縁を形作っている。この縁線は Rv = 3.8 の減光則を適用した方がよく再現される。実際、 Vargas Alvarez et al 2013 はすぐ近くの Wesyerlund 2 OB 星に対してこの値がよいとしている。 主系列星経路の下にばらついているのは Hα で背景光の差引が不正確で あったためである。しかし、上にばらついている星は輝線星であろう。また 下に分布する星の幾つかは白色矮星かも知れない。 |
SHS と VPHAS+ 10 年前に, UK シュミットと乾板を用いた SHS = SuperCOSMOS Hα Survey (Parker et al 2005) が終了した。3時間露光によるシュミット観測の 限界表面輝度は VPHAS+ 3分露出とほぼ同じであった。従って図21で画像 を比較する際の留意点は感度ではなく、 CCD の大きなダイナミックレンジと VPHAS+ サイトのシーイングの良さである。 SHS の残した星雲は? SHS は南天の PNe を包括的に浚ったので、残された発見は星が混んだ領域に おける低表面輝度星雲と SHS の空間分解能 0.5 - 3 arcsec 以下の小さい星雲 である。これは具体的にはバルジ領域を意味し、 2014 に観測が開始される。 外縁部の惑星状星雲 IPHAS は反中心方向を観測し、既に数十の星雲候補を発見している。外縁部の 惑星状星雲は化学組成勾配を求めるのに重要である。 惑星状星雲の形状 IPHAS と VPHAS+ は非常に若い PNe を発見して、この 20 年間の問題、 すなわち PNe の多彩な形状は AGB の性質とどう結びつくのか、を解く のに役立つだろう。Sahai, Morrism Villar 2011, Sanchez-Contreras, Sahai 2012 を見よ? 小さな惑星状星雲の発見 非常に小さな惑星状星雲サンプルは不足している。 MASH カタログ 903 天体 中には 3 秒角より小さな惑星状星雲はない。 Tylenda et al 2003 の 312 天体中に 1.4 - 3 秒角が 8 個あるのみである。大きな Strasbourg Catalogue of PN 1143 天体には 1 秒角以下のバルジ PN が一個だけある。 ところが Sabin et al は IPHAS 画像を眼視チェックして既に約20の直径 1 - 3 秒角 PNe を見つけている。もっと小さい、しかし明るい、 がダストを含む D-型シンビオティック星 IPHAS J193943.36+262933.1 の周りで 見つかっている。 良いシーイングと大きなダイナミックレンジ IPHAS, VPHAS+ の良いシーイングは星雲構造を調べるに大きな利点である。 それは図21を見れば明らかで、特に下段 NGC 2899 の明るいローブの構造は CCD の広いダイナミックレンジが働いた結果である。 |
![]() 図21.二つの惑星状星雲 NGC 2438(上) と NGC 2899(下) の SHS(左), VPHAS+ (右) 画像。画像に使用したフィルターは NGC2438/SHS: RGB=Hα/SR/SSS Bj, NGC2438/VPHAS+: RGB=Hα/r/i. NGC2899/SHS: RGB=Hα/SR/SSS Bj, NGC2438/VPHAS+: RGB=Hα/r/g. 画像サイズは NGC 2438 300x300 arcsec2. NGC 2899 200x180 arcsec2. |
![]() 図22.M 8 = 干潟星雲 R/G/B = Hα/i/r 若い星団 若い大質量星団では複雑なダスト帯と広がった拡散電離光が各星の SED 抽出 を困難にしている。単純な解は近赤外や X-線観測であるが、有効温度に鋭敏な 可視域の高精度可視画像はもっと使われるべきである。例えば、 Wright et al 2012 は Cyg OB2 の Proplyd 的構造を明らかにした。図22は干潟星雲の画像 で、グロビュールの形状や、ダスト構造の食い込み状況が明瞭に示されている。 PNe 中心星 u- 画像はこれまで見逃されてきた NGC 2899 中心星を捕えることに成功した。 図23にはその状況を示す。中心星温度は 215 k K と見積もられた。 u の重要性 u バンドに g データを加えて固有カラーが非常に青い天体、PN 中心星、 OB-, WR 星など、を探すことは VPHAS+ サーベイの大きな目的の一つである。 NGC 2899 中心星はよい教訓を与える。 (u-g, g-r) 図ではこの天体の検出は 出来なかった。というのは r 等級が得られないからである。このような 場合、 u - (u-g) 色等級図を調べなければいけない。 |
![]() 図23.NGC 2899 中心星。上:1x1 arcmin2 u-画像. 下:r-画像。青い中心星は r では見えない。 |
爆発以前の画像 IPHAS は 2003 以来観測を行っている。V458 Vul は Hα 画像を撮った 数か月後に新星爆発を起こした。爆発以前に電離星雲が存在することが 分かった。 IPHAS データベースから爆発以前の画像が得られた例が他にも ある。 |
LBV 南天はさらに多くの新星候補が存在する。 Vink et al 2008 は天候不良 なので複数回観測した領域データを使い、G79.29+0.46 の LBV 変光の研究を行った。今後このような使用法は増えるだろう。 |
VPHAS+ の概説とデータ処理について述べた。 | 今回述べた測光は十分良い精度だが、今後さらに改良される筈である。 |