Multiple-Shell Planetary Nebulae I. Morphologies and Frequency of Occurrence


Chu, Jacoby, Arendt
1987 ApJS 64, 529 - 544




 アブストラクト 

 我々の新しい CCD 画像、パロマースカイサーベイ、 ESO/SRC 南天スカイア トラス、その他文献中から採った 126 PN サンプルの中に多重シェル PNs を探 した。距離と星雲進化のバイアスを補正すると、PNs の多重シェル形成率は 0.5 となる。  知られている 41 の多重シェル PNs は二つに分類される。タイプI =暗く て分離したシェル、タイプII = 明るく、接続した外側シェルである。 この二つは、外径、外径/内径、外側輝度/内側輝度が違う。ただ、この二つは 完全に分離しているわけでもなく、4天体では外側がタイプI二重シェルで 内側がタイプII ダブルシェルである。Kaler が "giant halo nebulae" と呼 んだ星雲は大部分タイプI で、特に他のタイプI 多重シェル PNs と異なるわ けではなく、進化段階の差である。


 1.イントロダクション 

 PNs 外側に広がる構造 

 Perek, Kohoutrk 1967 の Catalogue of Galactic Planetary Nebulae に載 っている 1036 PNs 中 90 が "outer envelopes" を持つとされている。このカ タログ中 66 % は 10" 以下か大きさが測れないほど小さいので、90 個と言う 数字は角度分解された星雲の中ではかなりの比率になる。Jewitt, Danielson, Kupferman 1986 は 44 PNs の深い CCD 撮像を行い、その 2/3 にその 10 % isophotal boundary の外側に広がった構造を発見した。これらから、PNs の 25 - 60 % は広がった構造を持つと考えられる。

 PN の形状タイプ 

 Hromov, Kohoutek 1968 PNs の形状分類を提案した。それは中心部構造 I, II, III と周辺構造 a, b, c の組み合わせから成る。

中心部構造
I. 円形またはリング形。 例 NGC 6337.
II. 楕円形で輝度ピークが短軸端にある。 例 NGC 6720
III. 非楕円形状で輝度極大の二つの対称点を持つ。 例 NGC650-651

周辺部構造
a. 規則的な弧。 例 NGC 2474-2475
b. 裂けたフィラメントまたは斑点。 例 NGC 2346
d. 暗く、幾分か規則的なリング 例 NGC 2392

 d-タイプはしばしば多重シェル構造と呼ばれてきたので興味深い天体である。 このような星雲はしばしば、 Curtis 1918, Duncan 1937, Minkowski, Osterbrock 1960, Millikan 1974 により、「二つの同心リング」、「弱い外 層」、「広がったハロー」などと記述されてきた。

 多重シェルの原因 1. 

 質量放出の繰り返しが多重シェルの原因である Kaler 1974 と提案されてき た。Trimble, Sckman 1978, Tuchman, Barkat 1980 は中間質量星が全ての外層 を失うのはこのような多重放出過程を通じての可能性があると指摘した。
 多重シェルの原因 2. 

 Kwok, Purton, FitzGerald 1978 は、赤色巨星時の遅い星風をその後の高速 風が掃き集めて、濃いシェルを作ると考えた。勿論、Renzini 1981 の「超星 風」は赤色巨星期に放出された外層の内部にシェルを形成するだろう。このよ うなモデルでは、内側の濃いシェルが光学的に薄くなると二重シェルとして見 えるようになる。

 モデルで見かけは異なる 

 Tuchman, Barkat 1980 のモデルでは、放出は千年から一万年に数回起き、 次第に激しくなる。Tuchman 1983 はさらに PNs の 15 % 以上が多重シェルを 有すると予想した。Kwok, Purton, FitzGerald 1978 の2星風モデルでは、内 側シェルは外側シェルよりずっと濃く、速い。その上、シェル間には空隙がない。 超星風による内側シェル形成ではシェルの性質に対する拘束はない。このような モデル間の差は内側部の運動と形態から区別できる。

 多重シェルの頻度 

 Hromov-Kohoutek (HK) タイプ 1 は全体の 1/3 であり、その大部分が二重 シェルを有するという事実に基づき、 Kaler 1974 は多重シェルの頻度を 1/3 とした。しかし、タイプ1の大部分が二重シェルを有するという仮定には疑問 がある。Kaler はこの結論を、小さく(r<0.16pc)、近い(D<3kpc) 11/18 PNs から導いた。しかし、もっと大きい単一シェルの近傍 タイプ1 PNs が存 在する。したがって、 1/3 の比率は下がる。ただし、他のタイプの多重シェル PNs 例えば NGC6720 や NGC 6891 が逆効果を持つが。

  

 多重シェルをきちんと調べるために、PN 画像サーベイを調べる。





表1.多重シェル惑星状星雲

 2.画像サーベイ 



 図1.24 多重シェル PNsの Hα 輝度輪郭 


図1.図左上=断面の位置角。P.A.90 は左がE、右がWを意味する。通常、断 面は MA=長軸とMI=短軸に沿って行われる。













 図2.多重シェル PNs 画像 


図2.上=北。右上=出典:PSSP = パロマースカイサーベイ。ITC = イメージ チューブ。CCD = CCD. SSA = ESO/SRC 南天アトラス。カッコ内=バンド: E = PSSP レッド乾板。 O = PSSP ブルー乾板。O = [OIII]λ5007. H = Hα. J = ESO/SRC ブルー乾板。 R = ESO/SRC レッド乾板。
































 図3.多重シェル PN のヒストグラム。 




図3.(a) 外側シェルの直径。(b) 外側と内側のシェル半径比:Ro/Ri. (c) 5 GHz 電波光度。

 表2.画像の性能 









 図4.25 PNs の CCD 狭帯フィルター画像 


図4.上=北。右上=フィルター名。IC 2120 と NGC 6842 の層模様は CCD の フリンジ。