IRC+10420 と AFGL2343 は厚いダストシェルを有するYHG=黄色ハイパー巨星 である。IRAM 30-m 鏡と干渉計により、12CO J=2-1, 1-0 のマップ を作った。共に大体円形である。IRC+10420 シェルは明るい中心領域の周りに 広がったハローを示す。中心は輝度の極小を示す。 | AFGL2343 のシェルは分離型である。シェルは 35 km/s で膨張している。これ は AGB 星の典型値の 2 - 3 倍の速度である。IRC+10420 の最内側部温度は 200 K という高温であった。一方 AFGL2343 ではより濃くて冷たい T=30K ガス が検出された。 |
黄色ハイパー巨星=YHG は log(L/Lo) = 5.3 - 5.9, Mi = 20 Mo の星である。 それらはポスト赤色超巨星で、温度が上がりつつある。例えば、IRC+10420 の スペクトル型は 20 年間に F8Ia から A5Ia へと変化した。 (Klochkova et al 1997)赤色、黄色時代に初期質量の半分くらいが放出 されると考えられている。しかし、YHG のほとんどはその痕跡が薄く、 ダスト散乱光、赤外などではっきり見えるのは IRC+10420=IRAS19244+1115 と AFGL2343=IRAS19114+0002+HD179821 だけである。. マスロス率 13CO 観測からはシェルマスとして数Mo と算出された。 時間を1万年とするとマスロスは 10-3 Mo/yr の大きさになる。 しかし、形や大きさはまだ調べられていない。 |
AFGL2343 の分離シェル 赤外マップ(Hawkins et al 1995, Jura, Werner 1999)によるとAFGL2343 はサイズ 5" の明らかな分離シェルを示す。分離シェルは偏光によるダスト 散乱画像や OH メーザースポットでもはっきり見える。 IRC+10420 の構造 しかし、 IRC+10420 の構造は観測により異なる。IR 画像と SED からは、 1" 内に物質が詰まっているとされる。しかし、HST 画像は 1"-2" 内の質量 は少なく、マスロスが過去1000 年で減少してきたことを示唆する。 post-AGB? 距離が怪しいため、この二つが近くにある post-AGB ではないかという説も ある。ヒッパルコスは AFGL 2343 = 5.6 kpc を与えた。IRC+10420 の距離は de Jager 1998, Jones et al 1993 により 5 kpc とされた。ここではそれらの 値を採用する。 |
![]() 図6.IRC+10420 の左=CO J=2-1 と右=CO J=1-0 の, 65 km/s と 70 km/s の平均マップ。 SW方向に明るいコブが見える。 ![]() 図7.IRC+10420 の PA 72° に沿った CO J=2-1 位置-速度図。 |
![]() 図8.IRC+10420 E,W,C の各領域における CO J=2-1 平均スペクトル。左実線= 全輻射の平均スペクトル。左点線=中心領域Cの平均スペクトル。 |
![]() 図11.IRC+10420 の輝度プロファイル。上:CO J=2-1.下:CO J=1-0. 左:破線=SE 方向に PA 5°, 305°, 245°. 実線=平均。 右:破線=SE 方向に PA 65°, 125°, 185°. 実線=平均。 |
![]() 表3.各マスロス期の運動年齢。 ![]() 表4.YHGs の F60. |
1.マップ 二つの YHGs AFGL 2343 と IRC+10420 の 12CO J=1-0, 2-1 マップを作製した。 2.分離シェル マップから、AFGL 2343 に分離シェルの存在が明らかになった。IRC+10420 では、最内側のシェルが分離していることが分かった。その位置は、 Castro-Carrizo et al 2001a が見つけた SiO 放射シェルと一致する。 さらに加えて、広がった強い星周成分が発見された。内側の明るい細長い 領域と、南側に広がるフラックス欠如部分ははっきりと目立つ。 3.モデル LVG コードでモデル化を行った。強いマスロス期が観測された分離シェルを 説明する。導かれた値は 10-4 - 3 10-3 Mo/yr と 極めて大きい。 |
繰り返しマスロス期間 同様の強いマスロスは過去に何回か起きている。その期間は数千年である。 "yellow void"? YHGs のマスロスは "yellow void" と呼ばれる不安定が原因と思われる。 |