l = [43, 56], b = [-4.5, 4.5] の 236 点で HI 21-cm 波の観測を行った。 l-v 図と b-v 図上に等輝度温度線を描いた。光学深さラインプロファイルを ガウス型成分の和で表して等高線図にした。 | サジタリウス腕を含む、渦状腕の部分が同定された。サジタリウス腕が cross section で見えるのと同じ個所に水素の別の流れが見えた。それら は腕自身より系統的により高速である。この流れの存在は銀河回転曲線に 影響する。 |
観測 Dwingeloo 25-m 望遠鏡により、 l = [43, 56], b = [-1.5, 1.5] 区間で 0.5 deg 間隔での観測を行った。銀経 1.5 度間隔では b = [-4.5, 4.5] まで 広げた。サーベイは、また W 51 を含むように広げた。そこでは、 l = 49,2, b = -0.4 の周辺では、水素が吸収線として見える。 |
ガウシャン分解 輝度温度を,Tg = 135 K を仮定し、 通常の手続きで光学的深さに直した。 等高線図は図1、3に、ガウス解析の結果は図2、4に示す。三角の大きさは 光学的深さを表す。 |
A と B はサジタリウス腕に付随している。 枝 B の銀緯巾は A より狭く、遠い方の腕と思われる。二つは l = 50° で出会う。 | その先 l = [50, 52] では腕が接線方向を向いている。この区間 AB で腕がそれである。ここでは W 51 の影響があり、解析が複雑である。枝A の l = 49 に見える窪みはその影響かも知れない。 |
![]() 図6.l = [49, 54] におけるガウス成分の速度分散。高速ストリームの 運動学的性質が他と異なることが明らかである。 高速流 通常の円周運動を仮定する水素輝線の解析では、ある視線方向で観測される 最高速度=接点速度と看做される。今回の観測では、腕自体より 5 - 10 km/s 高速側にかなりの量の中性水素が観測されるのが興味を引く。それらは、最高速 ガウス成分として図中で C とマークされている。l = [49, 53] ではそれらが 特に強い。そこは腕を接線方向に見ている個所である。 観測はそこに二つのストリームが存在することを示す。一つはサジタリウス腕 を示す、枝 A と B である。この二つは l = 50 で合体する。 その脇、5 - 10 km/s 高速側に低強度の成分がある。 図6 その二つのストリームの性質の差をはっきり示すのが図6である。 (V = 75, 80 km/s のところ? ) 解釈 観測に合う解釈は、水素ガスが腕に沿って流れているというものである。しかし、 ガスが腕から離れる、または流れ込むという解釈もあり得るし、両者の結合も可能 である。いずれにせよ、腕には二種類の流れがあることは確実である。 |
![]() 図7.サジタリウス腕と付随高速ストリームの模式図。矢印は腕に対して のストリームの運動を示す。腕のどの部分でも、腕と垂直な方向に流れる ガス流があり得る。また、ガスが腕に沿って観測者から遠ざかる方向に 流れ去る可能性もある。 |
高めの回転曲線 Shane, Biege-Smith 1966 は観測プロファイルの端点速度をモデルプロファ イルと比べて、回転曲線を得た。高速流が観測される接点付近では、この ストリームの速度がプロファイル端点となる。すると、回転曲線が高くなる。 |
剛体回転 面白いのは、腕の断面を見るところ、AB 部が剛体回転の兆候を示している ことである。図5の破線がそれを示す。 |