Cloud Structure in the Galactic Plane: A Cosmic Bubble Bath ?


Brand, Zealey
1975 AA 38, 363 - 371




 アブストラクト

 天の川銀河写真を調べるとダストとガスが円弧上の構造を示していることが分かる。 多くは既に報告されているが、それらのリストを載せる。星間物質の大部分は 糸状であり、これらの糸が円弧構造に関係するのではないか?星間物質は超新星 衝撃波に曝され、そのエネルギーは観測される星間物質の運動を引き起こすに十分 である。  超新星が原因かどうかは別として、銀河の星形成領域の周りにはダストシェルの例が 多い。これらのシェルが円盤面から外に広がると、レーリーテイラー不安定を引き起こし、 元の円盤へ降り注ぐであろう。そのストリームへのダストの拡散が糸状構造を維持している のではないか。





図1.パロマ―レッドプリント、 l = 358°, b = 4° 中心の 2° × 3° 領域。ダスト構造が引き伸ばされていて、塊の集まりと言うよりは、糸の切れ端のように 見える。




図2.ESO/SRCスカイサーベイより。(a) NGC 1566 中心核の西側の特に明るい領域が 細いダストの筋で囲まれている。(b) IC 5052. 横向き銀河。銀河面から遠くまで 減光の筋が延びている。もし銀河が真に横向きでなかったら、多数の不規則なダストの 筋で取り囲まれているように見えただろう。(c) NGC 5236 連続するダストレーンが 輝線電離領域を取り囲んでいる。

 6.結論 

 円弧と糸 

 星間物質の構造に円弧と糸の2種類あるという証拠を示した。それらは 超新星残骸の異なる進化時期に対応するのではないか。

 原因 

 そのような糸は超新星の膨張か、銀河面への落下の途中で起こる レーリーテイラー不安定性によるものであろう。
COSMOS

 将来は ESO/SRC 乾板の COSMOS マシンによる処理が期待される。



表1.円弧リスト

 個々の円弧 

 ARA 1, 2 

 Westerlund 1960 は Ara OB1 アソシエイションのメンバー HD 148937 の まわりの明るい星雲に注意した。NGC 6164, 6165 はこの星の 3' 以内に位置する。 そして、星の 14' SE に円弧状の星雲が見える。また、この星を中心に、直径 2° のほぼ円形の明るい円弧状星雲が存在する。この星雲は NGC 6188 を 横切っている。Ara OB1 と Sco OB1 は どちらも距離 1.4 kpc である。Ara1,2 と Sco1,2,3 は空間でつながっているらしい。

 Car 1 

 Rodgers et al 1960 の Hα マップには直径 10° の大きなダスト 円弧が見える。ここにはアソシエイションが見当たらない。このアークと 「石炭袋」の間に何か関係がありそうだ。

 Ceph 1 

 半円形のダスト帯が直径 6° の円の南半分を形造っている。 北半分は弱い放射星雲でなぞれる。 van der Bergh 1967 は HIIR 痕跡 領域と分類した。Simonson III 1973 はここで HI が減少していると 報告した。西側でダストは IC 1396 とぶつかり明るい縁線が見える。 この星雲は 820 pc 離れており、 Cep OB2 と同伴している。 Blaauw 1961 はここからの暴走星 6809 Cyg と λ Ceph を見つけた。

 CMa 1 

 Rodgers et al 1960 には直径 3° の半円可視光星雲が見える。この 領域には距離 1315 pc に CMa OB1 アソシエイションと星団 NGC 2353 がある。 このアソシエイションは van den Bergh 1966 の反射星雲リストに載っている。

 Cyg 1 

 パロマ―チャートでは直径 3° Hα の完全な円環が見える。この 領域は Cyg OB1 と同じ方向にある。円環の内部には WR-星 HD192163 とそれに 付随する星雲 NGC 6888 がある。この領域にはまた P Cyg もあり、OB-星の 多くがここにある。距離 (Ruprecht 1964) は 1.7 kpc.

Cyg 2

 パロマ―チャートには直径 2° の糸状放射が見える。電波では可視構造 と重なる円環が見える。距離は 1170 pc で Cyg OB9 にある。

 Cyg 3 

 Cyg 1 と近く、Hα では直径 2° の円環が見える。その北縁は Cyg 1 にも触れている吸収帯と一致する。この領域には距離 2.3 kpc に Cyg OB3 がある。

 Cyg4, Cyg5 

 銀河面から 7° までに達する大きな Hα 放射円環が Dickel, Wendker 1969 に指摘された。その中心には雲に隠されたアソシエイション Cyg OB2 がある。NGC 7000 を横切り、直径 8° のダスト円環が 見える。特に Morgan et al 1955 の写真にはっきり見える。Johnson 1971 は 全シグナス複合をベラ複合と比較した。
 Mon1, 2

 モノセロス複合の完全な記述は Morgan et al 1955 にある。ロゼッタ = NGC 2244 は直径 3° の放射円環の南縁に位置している。北には 第2の直径 4° 放射円環の一部が NGC 2264 を中心に見える。NGC 2264 は 距離 715 pc であり、これは Mon OB1 アソシエイションの一部である。一方  NGC 2244 は距離 1.4 kpc (Ruprecht 1964) とされているが、最近の Morgan, Osterbrock et al 1965 は 0.8 kpc としている。NGC 2244 は Mon OB2 の一部である。

 Ori 1 

 この複合の最も目立つ特徴はバーナードループである。これは Hα で 14° × 12° の楕円環を成している。楕円環の外側に HI がある らしいと O'Dell,York 1967 は述べた。Isobe 1973 は HI 領域の内側に HII 楕円環が位置することを見出した。楕円環中心にはトラペジウムと σ Ori を囲む星雲がある。トラペジウムには幾つかの CHIIR があり非常に若いと思わ れている。 σ Ori はもっと隠されているが直径 2° のストレーム グレン球を示す。Ori OB1 はこの領域にあり、距離 300 pc (Ruprecht 1964) である。アソシエイション内には 3 つの副集団がある。それらはトラペジウム、 ベルト、それに第3の最も古い副集団である。

 Ori2 

 λ Ori を中心とする。直径 7° の球形 Hα 星雲を囲んで 厚さ 1.5° の暗い遮光域がある。この円環に重なって 45,000 Mo の HI シェルが 8 km/s で膨張している。一方、 HII は 2000 Mo である。もし、 λ Ori 距離を 400 pc とすると、シェル直径は 50 pc である。

 Per1 

 Lynds 1969, Khavtassi 1960 のダストマップは直径 10° の減光低下 領域が遮光円環に囲まれていることを示した。 Heeschen 1951 は星計数を 用いて、遮光域までの距離を 200 - 300 pc とした。ダスト円環の内部には OB アソシエイション Per OB2 がある。放射星雲 NGC 1499 が同伴している。

 Sco 1,2,3 

 Gum 1955 は NGC 6231 が Sco OB1 の中心であり、その周りに大きなほぼ 円形の Hα 環があることに注意した。この放射円環の外側には、直径 7° と 14° のダストシェルがある。パロマ―チャートではダスト は糸状に見える。NGC 6231 の 2° 以内に Morgan et al 1953 は 70 個 の OB-星を発見した。これらは Sco OB1 に属す。Ruprecht 1964 距離は 1.4 kpc である。

 Sco 4, 5 

 Sco 4 は Rodgers et al 1960 では RCW 123 とされている。円環状 放射星雲である。その周りに 8° 直径の遮光環がある。空間的に Sco 1, 2, 3 と近い点で Ara 1, 2 と似ている。

 Scu 1 

 ダスト弧が Rodgers et al 1960 の Hα アトラスに見える。 Scu OB2 アソシエイションを囲んでいる。

 Vul 1 

  Katgert 1969 の 21 cm 観測で、直径 4° の円環が見えた。距離は 2 kpc である。 この方向には Vul OB1 が 2.05 kpc の所にある。パロマ―チャートでは 糸状のダストが数度に渡り多数見える。