Is Dust Forming on the Red Giant Branch in 47 Tuc


Boyer, Jacco, van Loon, McDonald, Gordon, Babler, Block, Bracker, Engelbracht, Hora, Indebetouw, Mead, Meixner, Misselt, Sewilo, Shiao, Whitney


2010 ApJ 711, L99 - L103


 アブストラクト

 Spitzer の SAGE-SMC プログラムの IRAC 観測から 47 Tuc のダスト生成を調べた。 以前の研究でこの星団の星から色超過が検出された。それらのデータは星の混入や画像の 人工的効果の影響を受けており、 RGB 先端から1等以上暗い星ではダストが形成されて いないと結論した。ダストがあるように見える唯一の星は変光星で、星団中最も明るく、 最も低温であった。

 1.イントロ 

 Spitzer の成果 
(1)ダストは TRGB か、それより上でしか形成されない。
(2)低メタルでもダスト形成は起こる。
(3)ダスト形成の継続時間は短く、多分脈動に結びついている。


RGB 上でダストは形成されるか? 
 Origlia et al 2007 は 47 Tuc で、Boyer et al は M 15 で赤外超過を持つ RGB 星を 見つけた。低光度、高温大気、脈動の欠如を考えるとそのような星でダストを見出すことは 驚きである。実際、Boyer et al 2009 (NGC 362), Boyer et al 2008, McDonald et al 2009 (ω Cen) では、ほんの数個しかダスト星が見つからなかった。

 新しい Spitzer 観測 
 新しい Spitzer 観測の結果と Origlia データの再検討を報告する。


図1.47 Tuc の DSS 画像。黒枠= SAGE-SMC で偶然撮れた領域。白枠= Rood の範囲。 3.6 と 8 μm の領域は破線と実線で示された。






図2.上:SAGE-SMC データの天体密度分布。 R ≥ 15′ で SMC 星が優勢になる。 測光は R < 10′ に限定した。
下:Rood データの天体密度。破線= Rcore=24&Prime: のキングプロファイル。 3.6μm では 2′.2, 8μm では 1′.8 の内側で混雑の影響で分布がずれる。

 4.議論 

 4.1.ダスト超過 

 4.2.SAGE-SMC データ 

 3つの変光星を除くと、HB より明るい赤い星は一つだけである。これは外側にあり、 測光は確実であるが、47 Tuc 星でないかも知れない。

 4.3.Rood 浅いデータ 

 これは Origlia et al 2007 で使われた観測データで Spitzer Archive から採った。 しかし、我々の解析では赤い星の数ははるかに少なく、しかも TRGB 付近に限られる。 この結果は Ita et al 2007 の AKARI の結果と一致する。

 4.4.ブレンド 

 Rood データの再解析は Origlia et al 2007 の見出した 93 赤い天体中 24 個しか 赤くなかった。ではこの赤さは本当か? 8 μm PSF を 3μm 画像に畳み込んで、 測定した。これは ω Cen で成功したテストである。ブレンディングが無ければ、 [3.6]real - [3.6]convolved はゼロだが、あると > 0 に なる。図4にこのテストの結果を示す。

 4.5.マスロス 

 ダストを形成するようなマスロスは TRGB まで起きない。 しかし、HB 形態学は質量欠損を要求する。おそらく、クロモスフィアから吹き出る 星風により、 10-8 に達するマスロスが原因ではないか?


図3.47 Tuc の色等級図。左:SAGE-SMC データ。中:Rood データ。 右:Rood 深いデータ。赤い天体の数が Origlia et al 2007 より遥かに少ないことに注意。 青線= Marigo et al 2008 の等時線。変光星 LW10, V26 は AGB をなぞり、その他の 変光星は RGB をなぞると考える。





図4.上段:HB より上でのブレンディング。 下段:色等級図。ブレンドの一致を示す。点線=3σ色超過の限界