アブストラクトSpitzer の SAGE-SMC プログラムの IRAC 観測から 47 Tuc のダスト生成を調べた。 以前の研究でこの星団の星から色超過が検出された。それらのデータは星の混入や画像の 人工的効果の影響を受けており、 RGB 先端から1等以上暗い星ではダストが形成されて いないと結論した。ダストがあるように見える唯一の星は変光星で、星団中最も明るく、 最も低温であった。1.イントロSpitzer の成果(1)ダストは TRGB か、それより上でしか形成されない。 (2)低メタルでもダスト形成は起こる。 (3)ダスト形成の継続時間は短く、多分脈動に結びついている。 RGB 上でダストは形成されるか? Origlia et al 2007 は 47 Tuc で、Boyer et al は M 15 で赤外超過を持つ RGB 星を 見つけた。低光度、高温大気、脈動の欠如を考えるとそのような星でダストを見出すことは 驚きである。実際、Boyer et al 2009 (NGC 362), Boyer et al 2008, McDonald et al 2009 (ω Cen) では、ほんの数個しかダスト星が見つからなかった。 新しい Spitzer 観測 新しい Spitzer 観測の結果と Origlia データの再検討を報告する。 |
![]() 図1.47 Tuc の DSS 画像。黒枠= SAGE-SMC で偶然撮れた領域。白枠= Rood の範囲。 3.6 と 8 μm の領域は破線と実線で示された。 |
![]() 図2.上:SAGE-SMC データの天体密度分布。 R ≥ 15′ で SMC 星が優勢になる。 測光は R < 10′ に限定した。 下:Rood データの天体密度。破線= Rcore=24&Prime: のキングプロファイル。 3.6μm では 2′.2, 8μm では 1′.8 の内側で混雑の影響で分布がずれる。 |
4.議論4.1.ダスト超過4.2.SAGE-SMC データ3つの変光星を除くと、HB より明るい赤い星は一つだけである。これは外側にあり、 測光は確実であるが、47 Tuc 星でないかも知れない。4.3.Rood 浅いデータこれは Origlia et al 2007 で使われた観測データで Spitzer Archive から採った。 しかし、我々の解析では赤い星の数ははるかに少なく、しかも TRGB 付近に限られる。 この結果は Ita et al 2007 の AKARI の結果と一致する。4.4.ブレンドRood データの再解析は Origlia et al 2007 の見出した 93 赤い天体中 24 個しか 赤くなかった。ではこの赤さは本当か? 8 μm PSF を 3μm 画像に畳み込んで、 測定した。これは ω Cen で成功したテストである。ブレンディングが無ければ、 [3.6]real - [3.6]convolved はゼロだが、あると > 0 に なる。図4にこのテストの結果を示す。4.5.マスロスダストを形成するようなマスロスは TRGB まで起きない。 しかし、HB 形態学は質量欠損を要求する。おそらく、クロモスフィアから吹き出る 星風により、 10-8 に達するマスロスが原因ではないか? |