VLA を用いて、赤色巨星と超巨星の 20 個を取り巻く OH メーザー雲の絶対 位置(±1 arcsec) と広がり形状を測った。多くの天体で、系統的膨張 星周シェルモデルと合致する結果を得た。しかし、約半数は arcsec レベルで はより複雑な構造を示した。 | 1612 MHz メーザー領域のサイズ、膨張速度、とマスロス率の間に相関が 見出された。 U Ori では、大規模マスロスの開始がごく最近であり、 OH スペクトルの激しい変化は進化した星において OH メーザーが始まる 時期を表現しているのかも知れない。 |
![]() 図1.R Aql の 1612 MHz ビジビリティ。 概説 OH メーザー放射領域の全体としてのサイズと構造を調べるために、 VLA を用い、VLBI より低分解 (ビーム HPBW = 1.2 arcsec) の観測を行った。 表1に観測天体のリストを示す。 |
![]() 図2.R Aql のマップ。等高線はピークの -5, 5, 10, 20, ... 90 %. R Aql = 構造が単純な例 図1には比較的構造が単純な例として、 R Aql のフリンジビジビリティ を、図2には強度マップを示す。僅かな非対称性が見えるが有意ではない。 |
NML Cyg =複雑な構造の例 NML Cyg の速度成分別のマップは単純な膨張シェルモデルとは合わない。 それは、 (i)低速成分の中心位置 (ii)L-, H- 成分の位置の分離 (iii)H- 成分の伸びた形状。その位置角は 135° サイズ 表1にはメーザー雲のサイズを載せた。 |
![]() 図3.複雑な構造の例=NML Cyg. 上:V = [-32.8, 1.3] km/s マップ。 下:V = [2.5, 23.3] km/s マップ。 |
距離 D 表1の D は様々な文献から得た。可視ミラや IRC 天体の大部分の距離は 文献7から、 OH 星は文献3から、IRC*10420, NML Cyg, VY CMa は文献8 から、U Ori は周期光度関係から得た。距離の精度は良くてファクター2である。 マスロス率 サンプル中12星のマスロス率は 10 μm 吸収帯深さ、輻射圧、赤外超過 のモデルフィットから決めた。 Hyland et al 1972 の観測星では 10,000 Lo を仮定した。 光学的深さ τ 一様に膨張するシェルでは, n ∝ (dM/dt)/(r2Ve) である。 ポンピングモデルに依れば、OH 逆転のパラメタ―は τOH で、 τOH ∝ nr/Ve ∝ (dM/dt)/(DVe2) である。 図4を勾配1でフィットすると、 log[D(AU)Ve2(km/s)] = 10.44 + log (dM/dt) (Mo/yr) 他の星はこの式で dM/dt を求めた。 |
![]() 図4.マスロス率とDVe2 の関係。 |
U Ori のシェルは VLA で分解できない。この星は 150 年という若い シェルに囲まれているのではないか? | 注意深い観測が必要である。 |