渦状銀河の形態分類は波長に大きく依存する。というのは、可視光画像は 他のタイプの星を抑えて若い種族 I や電離ガス、ダストの影響が大きいから である。分類を波長数ミクロンへまで伸ばすには、現在より大きなフォーマット の近赤外カメラの登場を待たなければならない。本論文ではグランドデザイン 渦状銀河 (ScI) の中でも最大のものの一つ NGC 309 の 2.1 μm 画像を提示 する。これは、HST/NICMOS 256×256 カメラで撮られた。 | 可視光では NGC 309 は古典的な多重腕形態を示す。しかし、近赤外 2.1 μm では二本腕と明るい中心バーが現れるのを見る。これは SBa 銀河 NGC 1358 と 似ている。これらの研究から、渦状銀河の円盤構造と一過性の種族 I で決められる ハッブルタイプとの間には関係がないという考えを支持するものである。 |
近赤外で古い星種族を抽出 Zwicky 1955, 1957 によるグランドデザイン銀河 M 51 (NGC 5194) 内の "赤い" 滑らかな腕の研究は進化した(古い?)星種族の形態は、若い種族 明らかにした。Strom,Jensen, Strom 1976 は、「基底にある密度波を調べるには 種族Iの影響が小さい近赤外像が良い。」と述べた。 NGC 309 NGC 309 は Revised Shapley Ames Catalog (RSC) の中では最も明るい渦状銀河の 一つである。Ho = 50 km/s/Mpc を仮定して赤方偏移距離 116 Mpc にあり、 MB = -23.25 である。Sandage は NGC 309 を多重腕銀河 NGC 101 タイプ とした。光度クラスは I である。ほぼ完全な若い星による内側リングを持つことを 考慮すると、完全分類は Sc(r)I となる。 NGC 309 可視光像 図1(a) は NGC 309 増感した IIIa-J+GG385 乾板をアンシャープマスクした結果 である。方法は Block 1990 Nature 347 にある。原乾板は Mayall 4 m 望遠鏡主 焦点で撮られた。構造のコントラストが弱いので光学的マスクが必要であった。 このような操作で、 NGC 309 は 100 kpc まで広がっていることが分かった。 多数の "segments" や "spurs" が渦状腕から発したり、隣の腕とつながったり していることが見える。"Color Atlas of Galaxies" や "Hubble Atlas" ではこの 銀河の腕は細く見える。しかし、絶対値で見るとこの銀河の巾は知られている中で もっとも太いものである。 |
K′ 画像 UH 256×256 NIR カメラは K′ フィルターで 中心波長 2.1 μm 画像を撮る。 K′ 円盤スケール長 は 18.34 arcsec = 10.3 kpc である。 g-, i- 画像 Hale 反射鏡のガン4色フィルターの g-, i- 画像を撮った。図1(c) は パロマ― i-画像である。基盤円盤は赤で示されている。最も表面輝度が 高い密度波頂点部分は黄色である。羽毛(flocullent) 銀河では古い種族の 構造がほとんど見えないが、それと違って NGC 309 のようなグランドデザイン 渦状銀河は古い種族にも立派な構造が見える。 |
可視と近赤外で変わる形態 種族I構造ではなく、円盤構造を求めると銀河の全体構造が変化するのは 興味深い。若い星の内側リングはもはや支配的な特徴ではなくなり、 形もリング状 (r) から S-字型 (s) となる。さらに、 B(IIIa-J) バンド (図1a)では三本腕に見えたのが、K′(図1b) では二本の 短い主要腕しか見えない。渦状腕は二本腕グランドデザインとなり、 立派なバー構造が現れた。これは SBa 銀河 NGC 1358(図1d) とそっくり である。 2 μm は質量の分布を見る Johnson 1966 は異なるバンド U, B, V, I, K, L で 合成銀河の中でどの割合で放射されるかを調べた。2 μm では、基本的には K-, M-巨星を見ることになる。この波長帯は質量の分布を見ている。NGC 309 の質量分布はそのハッブルタイプからの予測と大きく異なる。 |
赤外二本腕 2 μm で現れた二本腕は 65±10 % の密度超過に相当する。 赤外腕は半径 17 kpc 内で認められる。これらは M 51 の”赤い”腕と 良く似ている。 質量密度波は永続する 円盤の形態は一過性ではない。密度波パターンはハッブルタイムの長き に渡って持続するであろう。それは、短期間の種族 I のパターンと異なる。 NGC 309 では明るいバーに結びついた二本の腕が存在する。 赤外で分類したら もし NGC 309 を K′ 画像で分類したら、大分異なる タイプになっただろう。 |