Catalog of CO Radial Velocities toward Galactic H II Regions


Blitz, Fich, Stark
1982 ApJS 49, 183 - 206




 アブストラクト

 可視 HIIR に付随する 242 分子雲複合のカタログを載せる。Sharpless カタ ログにある HIIR に対しては 5 つを除いて全て、その他に多分 HIIR と思われる 天体 62 個、内 33 個は新観測、の CO 観測を行った。HIIR に付随すると思わ れる分子雲複合の視線速度を表にした。  その内最も強いライン強度を持つ成分のアンテナ温度 Ta とライン巾も提示した。 以前の CO 観測結果、励起星の光学距離も加えた。F(1.4GHz) < 100 mJy の 電波で静かな HIIR は CO が付随しない天体とよく相関している。運動学的に はっきり区別できる複合体は複合体運動を調べる助けになるよう表にした。


 1.イントロダクション 

 HIIR と CO 

 1970 に星間 CO が発見 (Wilson,Jefferts,Penzias 1970) されてから、 HIIR には分子雲が付随することが明らかとなった。Blitz 1979 は HIIR に付随する分子雲の視線速度が銀河回転、特に太陽円外側の、の 決定に有用であることを指摘した。この研究は北天から観測可能な 可視 HIIR の体系的な視線速度サーベイの結果である。
CO の利点 

 (i) 分子雲は複合体構成天体の中で最大。
 (ii)速度の精度が高い。
 (iii)再結合線は放出速度成分を含むが CO にはない。


 2.観測  

 天体選択 

 Sharpless 1959 カタログ中の 90 % を CO で観測した。残りの 10 % は 著名天体で既に多くのデータがある。さらに、パロマ―写真を視察して、 青よりは赤で明るい星雲で、糸状でなく円形に近いものを探した。ただし、 探索は系統だっていず、遠くまで見通せるウィンドウ領域に集中した。従っ てこのカタログは完全とは言えず、視線速度決定のための天体リストと 考えるべきである。
観測 

 ベル研の 7 m 望遠鏡が使われた。主目的は CO 視線速度で、 線幅や強度にはあまり重きを置いていない。小さい円形の HIIR では中心と その四方の5点で観測を行った。もっと大きい HIIR の場合はダスト雲が 電離面とぶつかっているあたりを狙った。

 HIIR と CO の一致 

 どの CO ラインが HIIR と関係しているかを決めるには得られる情報は全て 集めて使用した。


 3.カタログの説明 

 第1列 

 シャープレス番号。惑星状星雲や超新星残骸と判明している天体は省いた。 しかし、観測したものもある。その後にシャープレスカタログに載っていない 65 HIIR のリストが続く。その内 3 つは観測しなかった。他のカタログに 載っていた 29 天体については第5列に記載した。

 第2,3列 

 HIIR 中心位置の赤経、赤緯をエポック 1950 で載せた。シャープレスカタログの 3 - 32 番は位置に誤りがあるものが多い。

 第4,5列 

 銀河系座標。

第6列 

 CO 速度の観測点での強度加重平均。

 第7列 

 観測点でのアンテナ温度。天体のピークではない。
 第8列 

 COラインの FWHM.

第9、10列 

 ライン強度のピーク位置。

 第11列 

 レファレンス。

 第12列 

 文献から集めた励起星の測光距離。多くの場合、他の星団メンバー星 の距離が使われている。

 第13列 

 シャープレスカタログから取った可視 HIIR の直径。新しい HIIR は パロマ―写真から測った。

 第14列 

 マッピングの程度。空白は数点の意味。

 第15列 

 他の同定。


 4.議論 

 統計 

 シャープレスカタログ中の 313 天体の内訳は、
 194(68%)   検出
  9(03%)   怪しい検出。
  38(13%)   非検出。
  21(07%)   確実な検出がない。
  26(09%)   随伴を確定できない。
  5      観測無し。
 11      惑星状星雲
  8      超新星残骸
  1      見つからず。 


 追加 65 天体については、
 47      検出
  4      怪しい検出
  4      非検出
  4      確実な検出なし
  3      随伴確定なし
  3      観測無し


 分子雲との随伴 

 シャープレス HIIR が分子雲と随伴する割合の下限は 70 % である。 随伴確定なし天体の多くには分子雲があるが、観測点が足りないので物理的な 随伴が確定できなかった。それらを考えると 70 % はもっと上がるだろう。
 裸の HIIR 

 CO 非検出の「裸の HIIR」は電波でも静かである。これら「裸の HIIR」 は全体の 20 % を占めている。Felli, Churchwell 1972 はシャープレス天体 168 個の観測から 34 個(20%) が電波で静かであることを発見した。これら 電波静謐HIIR の内の 19 個(56%) が裸の HIIR であった。Felli, Perinotto 1974 は電波静謐 HIIR の大部分は近傍の暗い HIIR であって、励起星が 比較的晩期型であると結論付けた。これら B1 - B9 型星は寿命が長く、 母分子雲から離れてしまっているのである。
(「裸の HIIR」励起星のスペクトル型 が晩期に片寄っているかどうか? )

随伴の問題。孤立形成? 

 電波静謐 HIIR 34 個(Felli, Churchwell 1972)のうち 12 個は CO で分子雲の随伴が確認された。F(1.45GHz) > 100 mJy の電波で明るい HIIR (= 168 - 34 = 134) のうち 17 個(13%) は裸の HIIR である。 これらの星は普通の大質量星と形成メカニズムが異なるのかも知れない。

 追加 HIIR

 追加 65 天体の大部分は強い CO が検出され、実際に HIIR であることが 確認された。

 分子雲複合体 

 幾つかの場合、複数個の HIIR が一つの分子雲複合体に属していた。複合体の 銀河系内運動を調べるため、運動学的にはっきり区別される天体の無バイアス サンプルが必要である。表1にそれらのリストを載せた。


 表A.シャープレスカタログ HIIR の CO 視線速度  



























 表B.追加 HIIR の CO 視線速度  











 表1.分子雲複合体