銀河系中心 1′、分解能 2.5″ の 2.2, 10 μm 測光マップを示す。銀河中心 2 pc の 2.2 μm 輻射は大部分が 個々に分かれ、M2.2 μm ≤ -8 の天体から来る。 | 10 μm では個々に区別できる天体が 9 つと、広がった放射の尾根が見える。 個々の天体の 5 つは尾根内にある。その大きさと 10 μm 光度は 惑星状星雲 NGC 7027 と似ている。 |
2.2 μm 観測 2.2 μm 観測はヘール望遠鏡 f/16 カセグレン焦点に 2″ 開孔径で InSb 検出器を用いて行われた。背景キャンセルの参照ビームは 2 ′ 南に向けた。 10 μm 観測 10 μm (Δλ = 5 μm) マップはヘール望遠鏡 f/72 カセ グレン焦点に 2″.3 開孔径で行われた。背景キャンセルの参照 ビームは 10″ 南に向けた。このため本当のシグナルの 1/4 が失われている。 |
位置の決定 位置の決定は図中 X で示した可視星を用いて行った。X の位置はパロマ―乾板 から決めた。 表1 表1にはピーク位置、フラックスを載せた。ピークの同定は将来 訂正される可能性がある。 |
3a. マップの特徴2.2 μm マップ中心 30″ の輻射は3つの天体から来ている。約 1/3 は Becklin,Neugebauer 1968 の IRS 7 から来ている。1/3 はより暗い複数の 天体から、残りの 1/3 は背景光である。 IRS 11, 16 のみは 2.5″ 分解能で広がって見える。 10 μm マップ 9 つの分離した天体が見える。広がった放射の尾根も存在する。巾1″ のスリットスキャンの結果、 IRS 3, 7 以外の全ての天体が分解された。 全フラックスの 1/4 は分離天体から、 1/2 は尾根から、残りは背景光である。 ![]() 図3.IRS 1, 3, 7, 16 の 2.2, 10 μm フラックス。IRS 1 は 10μm で最も明るい。IRS 3 は空間分解できず、最も赤い。 IRS 7 も分解されず、 2.2 μm で最も明るい。 IRS 16 は Balick, Brown 1974が観測した 電波天体の位置に近い。 |
SED 図3は分離天体の幾つかの SED を示す。たった二つの波長で あるが、SED が多様であることが分かる。 ![]() 図2.銀河中心 1′、分解能 2.3″ の 10 μm 測光マップ。X 印は可視星。等高線は 3 × 10-16 W m-2 Hz-1 s-1 間隔。 |
3b. 以前のマップとの比較2.2 μm2.2 μm ではこの分解能のマップは以前にはない。今回のマップは BN 1968 が 5″ 分解能で行ったスキャンの結果と合致する。 10 μm Rieke, Low 1973 の 3.5, 5, 10, 20 μm 5″ 分解能マップ と合致する。彼らは 10 μm マップで IRS 1, 2, 3 に対応する天体を 見つけた。 |
3c. 電波マップとの比較Balick, Sanders 1974 は 8 GHz 連続光マップを作った。はっきりした電波源 の位置が IRS 1, 2, 3, 6 と一致する。Balick, Brown 1974 によりサブ秒 アークとされた強い電波源が (α, δ)1950 = (17h42m29s.3, -28°59′18″) にある。10 μm 尾根の北側 IRS 16 に当たる。 |
1.孤立天体 銀河系中心 2 pc 2.2 μm 放射の大部分は 2.5″ では 分解されない個々の天体から出ている。Av = 30 mag の星間減光を補正すると、 点源のうち最も暗いもので M2.2 = -8 である。これは球状星団 47 Tuc の最も明るい巨星よりさらに明るい。 2.最も明るい 2.2 μm 天体 最も明るい 2.2 μm 天体 IRS 7 は 10 μm でも見える。その強さは Becklin,Neugebauer 1968 が非常に明るい星として提案したものに相当する。 3.10 μm 尾根 10 μm 尾根は熱せられたダストだろう。 2.2 μm 天体が尾根に沿って並んで 見えるのは尾根が光学的に薄いことを示唆する。電波観測でも検出されたことから ダストが混ざった電離ガスかも知れない。 |
4.尾根に沿った 10 μm 天体 尾根に沿って 10 μm 天体が5つ見える。これらの天体の大きさは 0.1 pc で 惑星状星雲 NGC 7027 と大体同じである。その明るさは NGC 7027 の 1 - 3 倍である。 5.IRS 3 IRS 3 は空間的に分解できず、 2 - 10 μm で最も赤いという点で興味深い。 その色温度、サイズ上限は IRC +10216 と似ている。 6.点電波源 Balick, Brown 1974 の点電波源は広がった 2.2 μm の位置と合致する。 そこは恒星密度の極大位置であろう。 |