2MASS 6X プログラムによるアンドロメダ銀河の 2.8 deg2 J, H, K
観測は M31 中心部の、ほとんど減光の影響を受けない、明瞭な画像を与えた。
長軸半径 700″ (2.6 kpc) の箱型等輝度線を有するバルジ
が現れた。内側バルジ (≤ 50″)等輝度線は比較的丸いが、
幾分かよじれている。その先では、 (1)M31 バルジの楕円率が増加する。 (2)位置角は 50° で一定。これは M 31 円盤位置角より 10° 大きい。 (3)ボクシー度は増加して 3 - 4 % に達する。これは他のボックスバルジ NIR 画像の値と一致する。 |
もう一つの論文では、自己無矛盾 N 体計算で、古典バルジ+箱型バルジ 付きのバーが観測された近赤外の特徴を再現することを示す。 箱型バルジの先、円盤上位置角約 40° に沿って細い尾根が伸びている。 これはバーの細い部分と解釈でき、長軸半径 700″ - 1200″ まで達している。J, H, K 間で形態、相対 輝度は変わらない。つまり、カラー勾配は見られない。これらのデータは M31 が天の川銀河と同様に棒状渦巻き銀河であることを示す。 ( バルジとバーは平行に見えないが) |
M31 バーの指摘 Lindblad 1956 M31 等輝度線の形から3軸バルジがある。 Stark 1977 2 kpc 以内の等輝度線からバーの存在。 Stark, Binney 1994, Berman 2001, Berman, Loinard 2002 ガスの運動はバーと合う。 Kent 1983 そのようなよじれは存在しない。しかし、ボックスバルジ? |
近赤外観測 Skrutskie et al 2001, Cole, Weinberg 2002 2MASS で選んだ炭素星の分布は明らかなバーを示す。 同様な観測を M 31 で行うことは、遠い距離と広い領域のために これまで試みられてこなかった。しかし、2MASS の深い探査により それが可能となった。 |
![]() 図2.上:Ks 画像の等輝度線。中:Ks データへの楕円フィット。 下:残差。スケールは 1″/ピクセル。X, Y 軸は 赤経と赤緯。 バルジ 6X 画像で最も著しい特徴は箱型バルジである。これは可視光画像には見られ ない。J が少し減光の影響でゆがむが、近赤外の中心画像は大体同じである。 バルジの長径は 700″ である。 バー バルジの先に、円盤の長径とほぼ平行な薄い尾根が伸びている。 |
![]() 図3.A4, B4, 楕円率、位置角の主軸(arcsec) に沿った変化。青 = J, 緑 = H, 赤 = Ks. 楕円フィットの定量化 等輝度線を定量化するため、ELLIPSE/IRAF コードで楕円フィットを行った。 このコードはフーリエ展開をフィットする。その第4次係数 A4 と B4 は等輝度線が真の楕円形からどうずれているかを知る よい指標である。 箱型 : A4 > 0, B4 < 0 円盤型: A4 < 0, B4 > 0 M 31 箱型バルジは図3に見えるフーリエ係数からも、楕円との残差(図2) からも明らかである。 バルジ形状の変化 1.r < 3″ 円形。独立な中心核領域と見なされる。 2.3″ - 50″. 中心核を囲むほぼ円形域。 位置角が 20° 変わる。 3.50″ - 700″. 箱型バルジ。 B4 /B < 0 で、r ∼ 300″ で箱型度は最大である。 4.r &> 700″ で内側円盤へと遷移する。それは、フー リエ成分が円盤型になることから分かる、 第4領域には箱型バルジの端から細いバー状の構造が 1200″ まで突き出ているのがはっきりと見える。 特徴のまとめ 1.バルジ/バー領域ではカラー変化がない。図1の色合成図でも同色。 2.近赤外中心核は可視中心核と同じものに見える。 3.バルジの方位角 50° は外側円盤の見かけ方位角に較べ 10° 大きい。 4.M 31 バルジの箱型度は他の銀河の箱型度と同じ程度である。 |
箱型バルジの確認 今回の 2MASS X6 観測により、M 31 が箱型バルジを持つことがはっきりした。 バーからバルジへ Combes et al 1990 などの N-体計算は、バーが厚くなって箱型/ピーナッツ バルジを形成することを示している。このように、箱型バルジはバーの一部 が盛り上がったものと解釈される。これは天の川銀河でも同様である。 |
M 31 は棒渦状銀河である 6X 画像には r = 1200″ まで伸びている薄いバーが 現れている。この特徴と、N-体計算によりこの構造の再現に成功したことから M 31 は棒渦状銀河と分類できる。 |