Unveiling the Boxy Bulge and Bar of the Andromeda Spiral Galaxy


Beaton, Steven, Majewski, Guhathakurta, Skrutskie, Cutri, Good, Patterson, Athanassoula, Bureau
2006 ApJ 658, L91 - L94




 アブストラクト

 2MASS 6X プログラムによるアンドロメダ銀河の 2.8 deg2 J, H, K 観測は M31 中心部の、ほとんど減光の影響を受けない、明瞭な画像を与えた。 長軸半径 700 (2.6 kpc) の箱型等輝度線を有するバルジ が現れた。内側バルジ (≤ 50)等輝度線は比較的丸いが、 幾分かよじれている。その先では、
(1)M31 バルジの楕円率が増加する。
(2)位置角は 50° で一定。これは M 31 円盤位置角より 10° 大きい。
(3)ボクシー度は増加して 3 - 4 % に達する。これは他のボックスバルジ NIR 画像の値と一致する。

 もう一つの論文では、自己無矛盾 N 体計算で、古典バルジ+箱型バルジ 付きのバーが観測された近赤外の特徴を再現することを示す。 箱型バルジの先、円盤上位置角約 40° に沿って細い尾根が伸びている。 これはバーの細い部分と解釈でき、長軸半径 700 - 1200 まで達している。J, H, K 間で形態、相対 輝度は変わらない。つまり、カラー勾配は見られない。これらのデータは M31 が天の川銀河と同様に棒状渦巻き銀河であることを示す。
( バルジとバーは平行に見えないが)


 1.イントロダクション 

 M31 バーの指摘 

Lindblad 1956
M31 等輝度線の形から3軸バルジがある。

  Stark 1977
2 kpc 以内の等輝度線からバーの存在。

Stark, Binney 1994, Berman 2001, Berman, Loinard 2002
ガスの運動はバーと合う。

Kent 1983
そのようなよじれは存在しない。しかし、ボックスバルジ?

近赤外観測 

Skrutskie et al 2001, Cole, Weinberg 2002
2MASS で選んだ炭素星の分布は明らかなバーを示す。

同様な観測を M 31 で行うことは、遠い距離と広い領域のために これまで試みられてこなかった。しかし、2MASS の深い探査により それが可能となった。



図1.背景=2MASS 6X 観測の J, H, Ks 合成画像。斜め青線= 2400 = 40 = 8 kpc で薄いバーに平行。 枠画像は 30 % 縮小されている。

 2.M 31 の 6X 観測 

 6X 観測 

 2MASS の通常露出時間の6倍かけた特定領域の観測を 6X 観測と呼ぶ。 今回は M 31 6X 観測を使用する。

 3.M 31 の 近赤外構造 


図2.上:Ks 画像の等輝度線。中:Ks データへの楕円フィット。 下:残差。スケールは 1/ピクセル。X, Y 軸は 赤経と赤緯。

バルジ 

 6X 画像で最も著しい特徴は箱型バルジである。これは可視光画像には見られ ない。J が少し減光の影響でゆがむが、近赤外の中心画像は大体同じである。 バルジの長径は 700 である。

 バー 

 バルジの先に、円盤の長径とほぼ平行な薄い尾根が伸びている。

図3.A4, B4, 楕円率、位置角の主軸(arcsec) に沿った変化。青 = J, 緑 = H, 赤 = Ks.

楕円フィットの定量化 

 等輝度線を定量化するため、ELLIPSE/IRAF コードで楕円フィットを行った。 このコードはフーリエ展開をフィットする。その第4次係数 A4 と B4 は等輝度線が真の楕円形からどうずれているかを知る よい指標である。
箱型 : A4 > 0, B4 < 0
円盤型: A4 < 0, B4 > 0
M 31 箱型バルジは図3に見えるフーリエ係数からも、楕円との残差(図2) からも明らかである。

 バルジ形状の変化 

1.r < 3 円形。独立な中心核領域と見なされる。 
2.3 - 50. 中心核を囲むほぼ円形域。 位置角が 20° 変わる。 
3.50 - 700. 箱型バルジ。 B4 /B < 0 で、r ∼ 300 で箱型度は最大である。
4.r &> 700 で内側円盤へと遷移する。それは、フー リエ成分が円盤型になることから分かる、
 第4領域には箱型バルジの端から細いバー状の構造が 1200 まで突き出ているのがはっきりと見える。


 特徴のまとめ 

1.バルジ/バー領域ではカラー変化がない。図1の色合成図でも同色。
2.近赤外中心核は可視中心核と同じものに見える。
3.バルジの方位角 50° は外側円盤の見かけ方位角に較べ 10° 大きい。
4.M 31 バルジの箱型度は他の銀河の箱型度と同じ程度である。

 4.議論 

 箱型バルジの確認 

 今回の 2MASS X6 観測により、M 31 が箱型バルジを持つことがはっきりした。

 バーからバルジへ 

 Combes et al 1990 などの N-体計算は、バーが厚くなって箱型/ピーナッツ バルジを形成することを示している。このように、箱型バルジはバーの一部 が盛り上がったものと解釈される。これは天の川銀河でも同様である。
M 31 は棒渦状銀河である 

 6X 画像には r = 1200 まで伸びている薄いバーが 現れている。この特徴と、N-体計算によりこの構造の再現に成功したことから M 31 は棒渦状銀河と分類できる。