G, K, M 型星の写真赤外域における中間分解能スペクトルの特徴を述べる。 観測は Cima Ekar 天文台でレチコンシステムにより行われた。 | 分解能 6 A のスペクトルには原子、分子吸収線が確認された。それらは スペクトル分類に有用である。同時に連続光の情報も保存された。 |
ここでは G, K, M 型星27個のレチコン分光計観測結果を述べる。
![]() 図1. 観測星の H-R 図上の位置 |
表1には星の名前、スペクトル型、等級などを載せた。表1と2には
HR 図と二色図を示す。
![]() 図2.観測星の (U-B, V-B) 二色図上の位置 |
スペクトル微分比 differential cueve = 一対の星の強度比スペクトル、はゼロ点不定性 を付けた上で、 ΔM(λ) = M1(λ) - M2(λ) として定義される。 G型星 OI λ7774 は A0 - G3 でよい光度指標であり、G0Ia スペクトルで 大変強い。また、同じスペクトルにはパッシェン系列、 Ca II 三重線、 FeI λ8688, CaII 二重線 λ8912/8927 が強い。全体として メタルラインは光度が低下するにつれ強度が弱くなっていくが、逆の 傾向を持つのが FeI+MgIλ8922 ブレンドで G5V で強い。 |
光度クラスによる変化 これら全ては図8に良く現れている。G0I は G0III、G0V より低温であり、 G0III は G0V よりわずかに温度が高い。 この点は Keenan 1963 の温度 スケールに反するのでさらに正確な観測が必要である。 矮星の吸収線は巨星に比べてわずかに弱い。 |
ラインの性質 図6を見るとスペクトル型に温度の相関が良いことが判る。 7800 と 8000 A の CN バンド, FeI+TiI の二つのブレンド λ 8514, 8468 は光度の良い指標である。CN バンドが M-型星で有用であることは Sharpless 1956 が既に述べている。逆に FeI λ8612 は温度と光度の 双方に依存して複雑である。 |
微分スペクトル 微分スペクトルの性質は G-型星と似る:超巨星は明らかに巨星や矮星より 温度が低い。 |
M0 型星の微分スペクトル 図7にスペクトル例を示す。M より早期型星では CaII 三重線、 Fe λ8612, FeI + TiI ブレンド λ8630 が光度のよい 指標となっていた。図10を見ると分かるように M-型星でもそれは 定性的には成り立つ。 |
TiO と VO M4 より晩期になると、スペクトルは TiO と VO が支配的となる。それらは フラックスの大部分をブロックし、温度に敏感な指標となる。それを よく知るために。図11に A バンド付近のスペクトルを示す。 |
M4 より晩期 TiO λλ7054 と λλ7667 は成長していき、 A バンドより強くなる。そのため連続光はバンドの短波長側に僅かに 30 A 巾くらいしか残らなくなる。 M8 同様に M8型では 7600 - 7900 A の間で残されたフラックスは λ 8150 A の狭い「窓」連続光の 20 % 以下となる。 |