渦状銀河が系外銀河であることが判ってから 25 年経過した。赤方偏移の 発見により、現在銀河の研究は宇宙論の方向に大きな比重が掛かっている。 しかし、この論文では個々の銀河を研究する分野でどんな問題が重要かを論じる。 | 特に、天の川銀河では、腕の存在を実証する段階に来ている。そのためには 腕の追跡天体である O-, B-型星の配置を調べる必要がある。その絶対等級を 定める研究が Morgan, Nassau により進行中で、間もなく腕の位置がわかるで あろう。 |
銀河系は渦状銀河であろう 我々の銀河系は平坦で、回転している。種族IとIIの双方を含む。銀河とし ては大きい。これらの事実から、我々の銀河系は渦状銀河である可能性が 高い。 サジタリウス雲の観測 銀河系が Sb 型ならバルジは高くそそり立ち、中心核部分が見えなくとも、 銀緯が高い低減光部分が観測可能である。100インチ望遠鏡の赤乾板写真から、 サジタリウス雲がバルジの一部であることは明らかである。バルジが種族IIであ るなら、星団型変光星を使い、距離を定められるだろう。そこで、過去数年 100インチ望遠鏡を用いて、NGC6522 を中心とするサジタリウス雲の変光星観測 を続けた。その結果、 (i) 600 - 1000 変光星/平方度が存在する。 (ii) その中で星団型変光星が最も多い。図6にその等級分布を示す。 mpg = 17.5 への著しい集中は我々が実際に中心核に到 達したばかりでなく、その先まで至っていることを示す。この乾板の 限界等級は mpg = 17.5 である。 (iii) NGC 6522 自身には 4 つの星団型変光星を含む。その見かけ距離指数は m-M = 17.77 である。従ってこの球状星団が実際にバルジ内に存在することが 確認された。 (iv) さらに NGC 652 の色超過から減光 Δmpg = 2.8 が導か れる。従って、真の距離指数は m-M = 17.5 - 2.8 = 14.7、D = 8.7 kpc とな る。 |
![]() 図6.サジタリウス雲の NGC 6522 から 16 分角以内 76 星団型変光星の等級 mpg 分布。この領域は減光が比較的一様である。 横軸は見かけ等級。縦軸は 0.2 等区間内の星数。 |
現在我々が挑める問題の一つが銀河系の渦状構造である。その手順は明白で、 種族 I の超巨星は腕に密着して存在するから、その空間配置を研究すればよい。 最も有望なのは、腕上での存在数の多さから、疑いもなく O-, B-型星である。 δ -30° では mv < 7.5 の O-型星と早期 B-型星の 見かけ等級と色超過は分かっている。 | 従って残る問題は、絶対等級である。 モルガンの O-, B-型星に対する分光的光度基準がこのギャップを埋めるだろう。 Morgan と Nassau が既にこの方法で、 O-, B-型星の絶対等級を決める大型計画 が進んでいる。近い将来に、我々が観測できる範囲内を腕が通っているのかどうか という、多くの議論を呼んでいる問題に決着が付くであろう。確かなことは 円盤内の強い吸収のために、腕が見えるとしてもその一部だけのはずである。 また、明るい B-型星とダストが太陽の周りに多いことから、太陽は腕の中に 存在するのであろう。 |