こちらにある 2011年1月付けの近況報告もあわせてご覧ください。

速報! KWFCカメラのファーストライト

 木曽観測所では、シュミット望遠鏡の広視野特性を活かすKWFC(Kiso Wide Field Camera)の開発を進めています。現在観測に用いられている観測装置は 2KCCDカメラですが、開発中のカメラでは8枚の2K×4K画素CCDを用いて、「2°×2°」という現在の約6倍の視野で観測することを目指しています。

 これまで、国立天文台や名古屋大学から提供されたCCDを加えて8枚の2K×4K画素CCDを準備し、開発を進めてきました。異なる種類のCCD(現在のKWFCではMITとSITe)を同時に使う必要があるので、CCDの読み出しシステムも独自に開発を行っています。このシステムは、KWFCカメラの他にJAXA、北海道大学、京都大学などの各研究機関で開発中の観測装置でも利用される予定です。

 そして、2010年10月26日、ついにファーストライトの夜を迎えました。以下にご紹介するアンドロメダ銀河・ばら星雲などの画像や、観測装置の性能を評価するためのデータを収集することができました。現在、2枚のCCDでは半分の領域の作動に不具合があり、画像の一部では天体の光をとらえることができていません。

 現在、さまざまな改良や性能の評価を行っているところで、共同利用観測装置として国内外の天文学者に利用してもらえるように準備を進めているところです。新たなカメラでは、超新星の探査や銀河系の変光星の探査、あるいは彗星・小惑星の観測など、広い視野を活かした観測が計画されています。今後の観測・研究にご期待ください。

2010年10月28日


ファーストライト画像

M31 (アンドロメダ銀河)
フィルター: I
積分時間: 180秒
撮影日時: 2010年10月26日11時40分


M31 (アンドロメダ銀河)
フィルター: B
積分時間: 180秒
撮影日時: 2010年10月26日11時50分


ばら星雲
フィルター: R
積分時間: 180秒
撮影日時: 2010年10月27日2時40分


ハートレイ彗星 (103P/Hartley)
フィルター: R
積分時間: 180秒
撮影日時: 2010年10月27日2時55分
画像はKWFCカメラの視野の一部を拡大したもので、およそ40分角四方です。


M42 (オリオン大星雲)
フィルター: R
積分時間: 180秒
撮影日時: 2010年10月27日4時55分


作業風景


シュミット望遠鏡の焦点部に取り付けたKWFCカメラ


カメラに電子回路を取り付ける様子


観測風景(最初に空へ向けて撮った画像がモニターに映し出された瞬間)


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