ファイバー・フラットの評価

伊藤 信成
1998.09.15
1.はじめに

2.ファイバー・バンドル
樽沢・征矢野両氏により、望遠鏡の筒先に4分岐ファイバー・バンドル及びハロゲン光源が設置された(図)。 筒先からスクリーンまでの距離が短いため、ファイバー端をそのまま筒先に付けたのでは、スクリーン上の照度分布が 一様にならない。そこで4つのファイバー端には2枚の拡散板をつけ、スクリーン上の照度が一様になるようにした(図)

3.測定
測定はこれまで行われてきたドーム・フラットとファイバー・フラットについて、 BVRIのデータを取得した。測定パラメータは以下の通り。

・ドーム・フラット
フィルター NDフィルター露出時間 平均シグナルレベル 取得枚数
1.4 60 13700
3.0 10 13400
3.014700
3.0 20 13200

・ファイバー・フラット
フィルター 光源目盛露出時間 平均シグナルレベル 取得枚数
200 11700
30 13700
14400
180 12200

ドームフラット、ファイバーフラットとも光源はハロゲン・ランプなので、放射 スペクトルはほぼ同じものと考えられるが、実際測定してみると、ファイバーフラット の光源はドームフラットのものに比べると、B, Iバンドで暗いことがわかる。 ファイバー・フラットの光源は光量調節の目盛がついており、最大9目盛まで 光量を調節できるが、光量を変化させると色温度も変わるので、注意が 必要である。

3. 解析
取得したデータはバイアスを引いた後、各方式・各バンド毎に重ねあわせ(imcombine)を 行う。重ね合わせのパラメータを示しておく。
・combine=median
・reject=sigclip
・hsigma=lsigma=3
・scale=mode
・statsec=[800:1200,800:1200]

4.結果と考察
まず、各方式・各バンドでのフラット画像、(ファイバー・フラット)/(ドーム・フラット)画像、割算画像の対角Profile、割算画像の コントアを示す。
・Bバンド : 画像コントア対角Profile
・Vバンド : 画像コントア対角Profile
・Rバンド : 画像コントア対角Profile
・Iバンド : 画像コントア対角Profile

割算した画像を見ると、局所的なパターンはドームフラット、ファイバーフラットの いずれでも同じであることがわかる。 対角Profileの局所的なバラツキ(σ〜0.003)は、入射シグナル10000ADUとした 場合に予想されるバラツキ(σ〜0.003)と一致しているので、局所的なパターンの 違いはランダム誤差以下と言える。
一方、コントア・マップおよび対角Profileから、2つのフラットに大局的な 違いがあることがわかる。 ファイバー・フラットはドーム・フラットに比べ、画像左側が明るく、画像右側が 暗い。この傾向はBVRIの各バンドに共通である。ただし、波長が長くなるに したがって、傾向は緩やかになる。 対角Profileから求めた2つのフラットの大局パターンの(対角間の)差は
バンド大局パターンの差
1.3%
0.7%
0.8%
0.8%
ファイバー・フラットが明るい側(画像左側)は東側であり、ドームフラットが 明るい側(画像右側)は西側である。 ドーム・フラットの場合、スクリーンの西側が相対的に明るくなることが わかっているが、ファイバー・フラットを基準にした場合、ドーム・フラットの 大局パターンはこの傾向と一致している。また、波長が短い方で大きな違いが 出ていることから、散乱が効いていると考えられる。
ファイバー・フラットの評価にはスカイ・フラットとの比較が不可欠である。 残念ながら、今回の測定の際は天候が悪く、スカイを取得することが出来なかった。 そこで、以前取られたデータからスカイ・フラットを合成した。用いたデータは以下の 通り。
フィルター観測日露出時間枚数平均シグナル
B 1998.4.4 300sec 6
V 1998.4.4 300sec 6
R 1998.4.4 60sec 6
I 1998.3.7 300sec 3
解析は前述と同様。得られたスカイ・フラット画像を用いて、(ファイバー・フラット)/ (スカイ・フラット)画像を作成する。
Bバンド
Vバンド
Rバンド
Iバンド

ここで時間切れ.......