ラブジョイ彗星 [Canon CMOS sensor]

■ C/2013 R1 ラブジョイ彗星 ■

Lovejoy2013
拡大画像1(1024x1816)
拡大画像2(2256x4000)

撮影:2013/12/16 5:30頃(JST)
視野:22' x 40' (画面上部が北)
1秒露光 x 100枚 x 10回のうち、彗星が晴れ間から見えた1-2分間のデータを彗星の動きにあわせて重ね合わせ
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2014年1月17日

 東京大学木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡に、キヤノン株式会社が開発した高速低ノイズ大型CMOSセンサをとりつけることで、彗星の明るいコマ中心から淡く広がった尾の構造までを高い時間効率で観測することに成功しました。

 彗星は太陽に近づけば近づくほど、ガスやダストを大量に放出して明るくなり、観測しやすくなります。一方で太陽に近いということは、夕方か明け方の限られた時間しか観測のチャンスがないことにもなります。天体観測は天気にも左右されるため、彗星の観測好機を逃さないためには、限られたチャンスに効率良く観測することが肝要です。

 また、うまくチャンスが訪れても、彗星そのものにも観測の難しさがあります。それは、長く伸びた尾を観測するには広い視野が必要であること、そして、明るく集光したコマ中心部から淡く広がった尾の末端まで明るさに大きな幅があることです。

 彗星の尾の暗く淡い構造を観測するには、露光時間を長くしてわずかな光を蓄えることが必要です。しかし、露光が長くなると、コマ中心の明るい部分が飽和(検出器に蓄積できる光量の限界を超えること)してしまうため、正確な明るさの測定ができなくなくなります。そのため、短い露光で複数のデータを取得し、後からコンピュータでデジタルデータを足し合わせることで、明るい部分を飽和させずに、あたかも長時間露光したようなデータを得る方法が取られます。

 しかし、現在、天文観測で主流のCCDカメラの場合、読み出し時間(集めた光をデータとしてコンピュータに転送する時間)が30秒程度必要であり、短い露光を繰り返す場合は、観測の効率が悪くなります。

 それが、高速読み出しが可能なCOMSセンサを用いることで、時間の効率が格段に向上します。このラブジョイ彗星の画像は、広視野、低ノイズ、高速読み出し、といったCMOSセンサの性能をフルに活かして、明け方のわずかな晴れ間に得られたものです。

 高速読み出しは、天文観測において、時間的効率の向上だけでなく、非常に短い時間での変化の検出にもつながります。彗星のイオンテイルは、太陽風との相互作用で形作られており、その姿を時々刻々と変えています。彗星の位置などの条件にもよりますが、1秒間に0.1から1秒角程度の見かけの速さで伸びていきます。これまで捉えられていなかったような尾の変化の観測が期待されます。

 観測に使用されたキヤノン株式会社開発のCMOSセンサーにつきましては、以下URLを ご参照ください。
URL:http://web.canon.jp/pressrelease/2013/p2013mar04j.html