ANIR光軸チェック

(2009/1/7)

レーザーを用いた赤外光学系/可視チャンネルの光軸チェックをおこなう。

手順は以下のとおり

  • (1)まずレーザーを天板に垂直に,光軸中心をとおるように撃つ
  • (2)そのレーザーが可視CCDの視野中心に行くかを画像をとってチェック
  • (3)赤外チャンネルの副鏡瞳を測定し,その中心がレーザーの中心にくるように ANIRデュワーの傾きを調整

レーザ−を天板に垂直に入射

下図のように,天板上に大型ミラーを設置し,さらに 光軸中心に小型ミラーを設置する。
小型ミラーの中心にレーザーがあたって,その反射光が レーザー射出部にちょうど戻るように、全体を設定する。
今回はレーザー射出部と小型ミラーの間隔は2.9mとなっている。

CCD画像のチェック

この状態で,以下のようにミラーのみを取り除いて, CCDで画像を取得する。

ちょうどど真中を射貫いている! オッケー。

赤外チャンネル画像のチェック

さらに、そのままでANIRのフィルターをJ/Hにして画像を取得したところ、 非常にひろがったスポットがみえた。 レーザー発信時の発熱によるthermal放射を見ているのか?
ダイクロイックミラーを入れた状態でのレーザースポット。中心位置は(300, 480)あたり ダイクロイックミラーを抜いた状態でのレーザースポット。中心位置は(490, 480)あたり

ダイクロイックミラーを抜くと,中心位置が ~190pixずれ、より検出器中心に 近い位置にスポットが動いた

ダイクロイックミラーの厚み(10mm)による光軸のずれは
 10mm / cos(a) * sin(45-a)
となる。ここで、
 sin(45)=n sin(a)
より、a=27.7 deg となるので、ずれは ~ 3.4 mm程度。 これは、検出器上で183ピクセルに相当し、今回の測定結果とconsistentである。

赤外瞳位置の確認

懐中電灯を下写真のようにレーザー射出位置の周囲を動かして,画像の明るさ の変化より瞳の大きさと中心を測定する。
詳細なconfigurationは以下のとおり。
結果,
  • 焦点位置から3000mm離れた位置で測定した瞳像のサイズは(なんか変な表現だ), 直径355mm
    => miniTAOの副鏡サイズは、焦点位置から2675mm離れた位置で223mm (望遠鏡パラメータ)なので、 250mm程度にならないといけないはず。
    コールドストップ(オフナー副鏡押さえ)が大きすぎる?
  • ダイクロイックミラーを入れた状態での瞳中心は, (x=47mm, y=50mm)
  • ダイクロイックミラーを抜いた状態での瞳中心は, (x=27mm, y=30mm)
    =>アラインメント用レーザーはこちらにあわせた
なお、座標系はレーザーで出した天板中心の光軸を原点とし、向かって左が X軸正方向,上がY軸正方向としている。

この結果から、実際のビームの向きはちょうど ダイクロイックミラーにそって(天板T字の縦棒方向) 曲がっていることがわかる。(下図)
右:青線がダイクロイックミラーがないときに赤外チャンネルの光軸,赤線が ダイクロイックミラーが入ったときの光軸

結果,
  • 赤外チャンネルのビームは,天板に対しておおよそ0.8度曲がっている (これは、デュワー窓から見えるバッフルのずれの量,方向共にconsistent)
  • ダイクロイックミラーのウェッジによって、さらに0.5度ビームが曲げられる。 この量はダイクロイックミラーのウェッジ角0.5度とconsistent
  • 天板を望遠鏡に取り付ける際,モータードライバ側のを4mm程浮かして取り 付ければよいはず。