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第10回光赤天連SPICA タスクフォース議事録
第10回光赤天連SPICA タスクフォース議事録

日時:   2010年03月29日 13時30分-16時30分
場所:   宇宙研 研究管理棟 6階  1606号室
        国立天文台三鷹、東大本郷、台湾ASIAA

参加者:
ISAS: 市川、泉浦、河野、田村、土井、左近、松本
   中川、松原、片坐、和田、塩谷、
   小谷、白旗、H.M. Lee、 M. Im
台湾: 高見
愛媛:斉藤
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0. 資料の確認(松原)

1. 報告
 ・プリプロジェクト進捗
 ・FPI進捗(資料1)

日本の装置の開発現状(松原)

 MIRACLE:
  第一次設計はほぼ終了。和田が第2次設計について学会で報告。
  構造のチェック(By SHI)が行なわれている。
  MIRACLE short (+MIRHES) and long (MIRMES) channels
  MIRACLEの視野を、6'x6'から5'x5'に縮小することを検討中。
  フィルターの大きさによって制限される。

 SCI:ピックオフミラーはSCI光学系に含める。
  光学系を縦置きにする案を検討中。

 FPIプレート上での配置:
  SAFARIとFPCが干渉している。
  光学系のみを考えれば干渉はないが、機械系を含めると厳しい。

 IOB:
  MIRCALEベースプレートと共通化する案も検討中。
  IOBはアルミで設計、ベースプレートとで剛性を確保する。
  もし剛性不足なら、SiCで作るしかない?

 BLISS:
  BLISSの視野は狭いので、焦点面のどの位置にFOVを配置しても問題ない。
  装置の体積も大丈夫。質量が問題。
  リレー光学系も必要。 

 Q: FPC-Sの位置は90度回転できないか?
 A: AOCSからの要求によって、MIRACLEの視野の近くに
  置く必要があるので、難しいだろう。


2.ミッション要求書の改訂 (14:00-15:30)
 ・韓国主体装置(FPC-S)で目指すサイエンス
 (資料2~4)

FPCの現状について (松本)

 概要
  FPC-G と FPC-S からなる。
  FPC-S は FPC-G のバックアップ機能を持つため、FOVとピクセルサイズは同じ。

 InSb検出器
  1Kx1K InSb、ピクセルスケール25um。
  JWST用に開発された読み出し回路を利用できるかもしれない。
  視野5'x5',量子効率>90%, RON=25-30e、動作温度 10K

 FPC-G
  光学系は、FPC-Gの視野を回転してMIRACLEの視野と並行にしたものを設計。
  4'x4'ならImage qualityは満足できるが、端のほうはちょっと厳しい。
  質量は、サポート、FPA structureはぬきで、4kg。
  GSCのカタログにI-bandがあるため、I-bandでガイド星を検出する予定。
  ただし、z-bandも追加できるように考えている。
  消費電力は読み出し0.4Hzで0.5mW程度。
  視野に12個の星が入る。

 FPC-S
  0.7--5umで観測できるように設計している。
  カバーする波長帯が広いため、レンズ枚数が多く、特殊なレンズも使用している。
  全長が70cm。
  質量は、サポート、FPA-structureは含まないので、6kg程度。
  0.7-5umをカバーするコーティングができるか問い合わせ中。
  検出器の直前にフィルターターレットがあり、
  10枚入る設計(サイエンス用には8枚)。
  LVF(Linear variable filter:フィルターの場所によって色が異なる)を
  用いた分光機能(R~50)を追加したい。
  望遠鏡をScanさせることと組み合わせて、spectro-imagingをしたい。
  R~50ぐらいで、中心波長が異なるものを3つ程度載せたい。
  3 sigma detection limit 25.5, 24.8, 24.4,23.4,23.0 (J,H,K,L,M),
  100sec積分時

 Q: JWSTに勝てるか?
 A: 視野は2倍以上大きく、スループットなら20倍高い。surface
spectroscopyができる
 Q: LVFを使う場合、detection limitはフラット精度を考慮に入れているか?
 A: 現時点では考えていない。
 Q: 特にLVFについて、フィルター位置の再現性が問題にならないか?
 A: オーバーサンプリングなので問題ないだろう。
 Q: FPC-Sをいつ使うのか?冷凍機が止まったときは何Kぐらいになる?
 A: 30Kぐらいにはなるのではないか。検出器は動くはず。100Kにはならない
 Q: JWSTとの比較で、JWSTが先に上がることを考慮にいれて効率を議論するべきでは?
 A: 効率は非常に高いので特にDiffuseな相手だと十分に勝てるだろう。
   Point-sourceの感度では勝てない。
 Q: 望遠鏡の回折限界を満たさない5um以下ではimage qualityが悪い可能性が高い。
   I-bandでは像がかなり悪いと思われるが大丈夫か?
 A: どんな鏡ができるのかによる。
   Diffuseなものが相手なら大丈夫なのでは。
 Q: FPC-Sを提案するときは、他の装置と同じようなワーキンググループを作
   るのか?体制は?
 A: まだ白紙である。
 Q: Point-sourceの感度見積りについて。4pixelにビームが全て入っている
  ように見えるが、パーフェクトな望遠鏡でもこの性能は達成できないのでは
 A: 確かに。実際の望遠鏡が完成したときに、スケールダウンする
 Q: フィルターを検出器の直前に置くというのは、もう決定なのか?
 A: 決定である。
 Q: 他のフィルターはどんなものが入るのか?
 A: いまはとりあえずJ,H,K,L,Mとしているがサイエンスの検討結果により最終的な
  判断をしたい。
 Q: narrow-band を使ったサイエンスについて。Photon noise limitは何で
  決まっている?
 A: 黄道光リミットである。
 Q: 非球面レンズ群の偏芯が大丈夫か?
 A: 一応考えてある。
 Q: この装置を使ったサイエンスを日本国内に広める努力について
 A: 今後、議論してゆく。


FPCのサイエンスについて : Prof.Lee

 サイエンス提案:
  ・NIR Background の分光サーベイ / z<10 までの Lyman Break Galaxy の検出
  ・大質量星の分光
  ・TOO観測(彗星、超新星爆発、ガンマ線バースト)
  ・その他のサイエンス観測の検討
    パラレルモードでも分光/イメージ観測

 C:レガシープログラム NIR background observationに必要なのは、
  最も重要なのはSpectroscopic coverageと感度である。
 Q: 限界等級26AB Magでz>10の銀河を検出できるか?かなりoptimisticではないか?
 A: 積分時間100secでの限界等級なので、もっと深いところまで行ける。
 Q: JWSTには同等のプログラムはないのか?
 A: 今のところはない。JWSTはそのように設計していないが、
  トライはするだろう。数年後の打ち上げでも勝てるだろう。
 Q: High-mass starの観測について。
  地上と比べるとどのあたりが優れているのか?スペースでやる利点は?
 A: 地上からでは高い感度、広いFOVは難しいだろう。
 C: ToO 系外惑星のtransit spectroscopyを入れてほしい
 C: 非常に低温な恒星の検出に使える。
 C: FPC-Sのサイエンスに関して、JWSTと比較した場合の優位性を
  定量的に示してほしい。
 C: データの圧縮も考えてほしい。
 C: 望遠鏡は5um以上で回折限界となる仕様。それ以下ではシステマティック
  エラーがあるかもしれない。像はかなり変な形になる。


 FPC-Sを搭載する手続きについての議論:
  ★5um回折限界の望遠鏡では、5um以下での光学性能は保証できない。この
   意味で、FPC-Sはオプション扱いでいいか?
  ★日本の装置の枠内でレビューされるべきものかどうか?
  ★SRR審査資料となる概念設計報告書の原稿として、FPC-Gについても既に
   ドキュメントがあるが、SRRのために修正する必要あり。
  ★日本側は、4月30日に向けて装置提案書を募集しているので、
   FPC-Sについてもはやく書いてほしい。
  ★韓国は日本のレビュープロセスに参加したい、という意向表明あり。
  ★MRDの一部改訂が必要。原案をProf. H.M. Leeが韓国に持ち帰って
  検討し、タスクフォース会議に提案する。

3.焦点面観測装置の公募後の審査の進め方(15:30-16:00)
 ・審査基準/審査員について(議論)
 ・国際的審査に関して(資料5~7)

 韓国が日本の装置提案に正式に応募するために、
 ★SPICA焦点面観測装置の募集の文面を英訳する(最初の3ページの英訳:中川)
 ★JAXAの設計基準を韓国に出して良いか、安信部にチェック(松原)

 提案書にはresponsible instituteが必要:KASIが担当する。

 韓国の公式なコンタクトパーソンは誰になる?
	- DaeHee Lee (KASI)がPoint-of-contactである。
 
 国と国のことなのに装置は日本で審査して良いか?
	-韓国内では十分なレビューが出来ないとの現状もあり、日本の
	枠内で進めることに韓国側も同意した。


4.そのほか(16:00-16:30)

・今後の進め方、次回日程

 審査日程について:

 +小委員会メンバー(書類の不備チェックなど)
  松原、田村、山下、かたざ、市川(5名)

 +外部評価委員メンバー
  松本、芝井、尾中、村上、山田、STFが候補。

 +焦点面観測装置の審査に関して
  Q: プレゼンが必要か?
  A: 質問と回答はプレゼン形式とする。
    Generalなプレゼンはしなくてもよいが質疑応答は行いたい
   (Specificに質疑応答のところだけ)
  Q: 点数をつけるのか?
  A: コメントをもらうようにする。

 +国際審査の考え方は?
  ReviewerはJoint Project Officeが任命する。
  具体案策定は、国際的に行う。

・次回日程
  6月上旬を予定。

●(参考)配布資料(必要な方はお問い合わせください)
  ◇資料1 (日本主導FPIの現状説明)
  ◇資料2 (FPCの現状説明)
  ◇資料3 (FPC-Sで目指すサイエンス)
  ◇資料4 (ミッション要求書A改訂draft ver.10)
  ◇資料5(国内公募文書)
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/gopira/stf/Announcement_SPICA_FPI.pdf
  ◇資料6 (FPI審査の目的・方法、欧州への提示版)
  ◇資料7 (審査の進め方たたき台)