第1回光赤天連SPICAタスクフォース議事録
日時 2008年11月12日 14:00-17:30
場所 JAXA宇宙科学研究本部
参加者 中川 片坐 塩谷 和田 松原 土井 河野 齋藤 今西 市川 川良
       大薮(書記)(宇宙研)
       山田(東北大学 TV)
       山下(広島大学 TV)
       田村 長田(天文台 TV)
       高見 (台湾、SKYPE)
欠席   泉浦 渡部

○趣旨説明(山田)

・SPICAの状況説明(中川・松原)

Q. SPICAのためにヨーロッパとJAXAがすでに協力関係があるが、その立場は?
   ステアリング委員会とそれらの関係はどうなるのか?
A. 今のESAとJAXAの関係を、ステアリング委員会の中に組み込みたい。

Q. 考えたくないが、Cosmic Visionで、落ちた場合は? またCosimic Visionを
   サポートするためにJAXA側でのSPICAの準備状況が重要であろう。
A. ESAにとってSPICAは、現在Cosimic Visionのセレクションに残っている計画
   の中で唯一のmission oppotunityである。またESAにとって負担が小さいので、
   通ることを期待したいし、個人的には通る確率は充分高いと考えている。一方
   JAXAでは、Cosimic Visionが通った場合の提案書しか受け付けられていないため
   に、Cosimic Visionが落ちた場合は、JAXAでの再提案/再審査となる。

Q. アメリカ・韓国の参加の仕方はどうなる? またメリットは?
A. SPICAのとno-go/goには関係ない。アメリカは、新たな観測装置BASSを提案し
   てくれている。韓国に関しては、中間赤外線の装置で協力したい。

Q. ヨーロッパのSAFARIとアメリカのBASSでは、装置の機能がダブルのでは?
A. グレーティング分光、フーリエ分光という機能で、切り分けたい。

Q. 来年にシステム要求審査(SRR)で装置の仕様を決めるとあった。ならば、
   今年度予算を確保できていないアメリカの参加は、厳しいのでは?
A. おっしゃるとおり、厳しい。しかしその可能性を捨てたくない。

Q. SPICA タスクフォースのやることは何か?
A. 議論してもらう、たたき台は、プロジェクトから出す。建設的にレビューし
   て頂きたい。プロジェクトと馴れ合いにしたくはない。SPICAプロジェクトとし
   ては、タスクフォースでの議論に答えられるようなものに、計画を高めていきた
   い。

Q. ボードという物はどのようなイメージか?

A. いろいろな委員会の議論した内容をまとめてプロジェクトの方向にお墨
   付きを与えるものである。
      ボードは意志決定権を持っている機関である。
      SPICA ステアリング委員会はボードと認識していい。

・タスクフォースの委員長の選出(山田)
  市川さんに引き受けて頂いた。

(以降、司会は市川委員長)

幹事を決めたい。
光赤天連は、タスクフォースをサポートする。
今後は、書記はプロジェクト側から。
議事録係は、今西。
日程調整、次回は松原。
幹事(未定)
次回は、1時->5時で。

2. 科学的要求(松原)

Q. ミニマムサクセスは? フルサクセスでも大があってもいいのでは。
A. 中・大は、今のところ忘れて欲しい。これからこのあたりを議論して頂きた
   い。ミニマムサクセスは、中2もしくは大1の達成を目指す。この心は、何らかの
   トラブルがあっても装置の一部が使えるような状況を考えている。

Q. 表 3-1の観測期間とは?
A. 天体のVisibilityのためこういう表記にした。観測時間ではなく、観測期間
   である。1年とは2期、2年とは4期の観測に相当する。

○科学要求から設計を決めるという形を取りたい。この心は、装置のダウングレー 
  ドが議論になったときに、表3-1に立ち戻って、科学的要求の基に議論できること
  が望ましいからである。表 3-1 をSPICAタスクフォースとプロジェクト側で完成
  させたい。

Q. 是非、表の3-1を科学的な言葉に。

・銀河系内のサイエンスの説明(かたざ)
  表 3-1の改訂と観測装置へのフィードバックを。

Q. 我々の太陽系の外縁部の観測とは?
A. 探すのは、地上望遠鏡がいいだろう。アルベドなど表面特性を測るには、長
   い波長(赤外線)が必要。目指すのは、統計量が議論できるだけの天体数を観測す
   ることである。

Q. 書かれている科学の柱以外の項目はどうするのだ。星間物質とかが抜け
   ているが?
A. この文章は、ハードウェアへの要求にしたい。要求がある場合は、ここで掲
   げるべきだ。

Q. 絶対譲れないサイエンス、絶対譲れない仕様を書くべきなので、広げる
   べきではないだろう。
A. ここに書かれていないことから成果が出たときにサクセス項目がないと、
   どうなるのか?
A. タスクフォースには期待される科学的成果を全部上げてもらって重点項目に
   ついて整理してもらおう。申請書等にまとめるときは、プロジェクトでやろう。
   タスクフォースの仕事は、ミッション要求書を書いてもらうことではない。
A.これが大切であると言う科学を整理したい。

3. 装置仕様

A. 望遠鏡に対して、回折限界ではなく。ストレル比で表現すべきだ。スト
   レル比が小さくても、回折限界は一見達成される。
A. ストレル比や空間周波数へも制限が必要であることは認識している。このよ
   うな要求が厳しいのはコロナグラフで、それに関しては、装置内にさらなるスペッ 

クの向上をめざす機能を積みたいと考えている。

Q. 望遠鏡の温度への要求5.5Kは?
A. 200ミクロンでの観測が、望遠鏡からの放射ではなく、背景放射限界になるた
   めに導かれた制限。

Q. エクストラというものは?
A. 現在のところオプションであるが、なんとか積みたい機能をあげている。提
   案書段階では、コロナグラフをエクストラにしていたが、検討としては現在はコ
   ロナグラフを想定している。コロナグラフは、望遠鏡衛星への要求は厳しいが、
   エクストラを外す検討を是非したい。
A. 高分散分光のエクストラは10ミクロン帯だが、エクストラの表記を外したい。

Q. 28-40ミクロンの検出器の問題は?
A. 1kx1kのSiSbがある。検出器の感度は37ミクロンあたりまでだが、便宜上40と
   言っている。

A. 現在、偏光の観点が抜けている。必要か議論して頂きたい。

SAFARIについて
Q. 遠赤外線の検出器、撮像能力は?
A. 2分角x2分角をナイキストサンプルする。波長分解能は、2000(資料には1000
   と書いてある)までが、現在の仕様。50-100ミクロン用はGe:Gaの検出器で、日
   本が貢献したい。ピクセル数は、64x64を目標。これも含め、他検出器にはボロ
   メータ等4種類が検討されている。

Q. 長い方での検出器での、NEPは?
A. 1e-19 W Hz-0.5 を目指す。

Q. 長い波長でのハーシェルの分光器との感度差は? 分散型とフーリエの差は?
A. ラインだと一桁。望遠鏡からの放射減少と検出器ノイズの低減の効果。
   広いバンドだと二桁。中心波長を動かして全波長カバーするのにかかる時間に比
   べて、広い波長範囲を一気にカバーできることによる積分時間低減の効果。
   実は、分散型とフーリエの感度差がでるためには、検出器ノイズの低い検出器の
   完成が必要である。

中間赤外線の装置について------------
Q. 装置を絞るというのは?
A. オプション・機能を絞るという考え方でいて欲しい。

C. 高分散分光器をコンパクトにするなら、スリットを細くする必要があり、
   姿勢制御への厳しい要求が必要でしょう。 
A. そのとおりだ。

コロナグラフについて---------------
これからの望遠鏡、衛星への要求は、厳しいが、装置内でそれらの問題を解決す
るように、検討されている。

中間赤外カメラについて--------------
リソースの問題で検出器数を減らした案を作ってみた。また、これでも、目的の
達成には、減少がないと考えられる。

4.議論-----------------------
C. コロナグラフのSPICAの中での位置をはっきりさせたい。HICHAOとJWSTで
   系外惑星が見つかってしまったら、その後に何が残るかを考えないといけないの
   では?しかし、興味深い計画、装置なので、是非SPICAに載せる方向で検討したい。 

A. SPICAはコロナグラフ+分光の機能がユニークである。

Q. 中間赤外線カメラの想定している検出器は?
A. JWST MIRIと同じものである。

Q. 中間赤外線カメラReduce案Ch1 Ch2のサンプリングが一緒だけど、長波長
   側は、オーバーサンプリングでは。
A. そのとおりである。宇宙線のことも考えると、このことによる利得もある。

Q. コロナグラフの分光は、15ミクロンのメタン、オゾンの検出を目指すのか?
A. はい。

C. 12月にとりあえずの仕様をFixして、システムスタディーを始める。

Q. 分光器はどうする?
A. 長波長分光器は、まだ準備不足で遅れる。高分散分光器は、是非システ
   ムスタディーにのせたい。

C. JWST vs. SPICAの比較資料が欲しい。
C. 比較資料、とりあえずカメラのバージョンをまず準備して欲しい。

Q. JWSTにあるために落としたものを、教えて欲しい。
A. 例えば波長10数ミクロン以下の中分散の分光器

C. タスクフォース委員は、資料を再検討して、プロジェクト側に聞きたい
   こと今一度洗い出す。

C. 将来、ある段階で、コロナグラフは、是非議論に載せて欲しい。

5. 次回の課題-------------
C. プロジェクトに、SPICAタスクフォースが考えることを、リストにして欲
   しい。タスクフォース側も考えてくる。

次回は12月17日以降のどこか。松原さんが調整係。

以上