ASTROS設定ファイルの手引

ver.1.00 1996/07/25      半田利弘
ver.1.01 1996/11/06      半田利弘
ver.1.02 1997/05/16      半田利弘
ver.1.03 2000/02/17      半田利弘 (kisa.datの記述ミスを修正)
 ASTROSの設定ファイルは、使用するPCのa:\tele\以下に納められている。 ただし、一部のファイルについてはNFS mountされているドライブの\tele\以下に ディレクトリーを作成しておく必要がある。 基本的に、どのファイルも同一行の/*以降(より右)はコメントとして扱われ、 動作に影響しない。 行数位置は特に断りがない限り固定である(一部の例外を除き、 コメントだけの行を置いてはいけないということ)。 コメント行が許されている一部のファイルについては、 行頭が#のものもコメントとして扱われる。 なお、現在、ここにあげられている以外のファイルはASTROSの運用に 必須のものではない。過去に使用していたものか、現在のバックアップである。 バックアップに関しては、どれがどのバックアップなのかわかるように どこかに記録をつけること。

 この説明書では、ファイル名を以下のように色分けして表示した。

システムが自動的に記録をつけるファイル。事前の設定は不要。
必要な事態が発生したら準定期的に修正・保守が必要なファイル。
アンテナ駆動特性(やアンテナとの通信特性)を 変更する際に関連するファイル。
上記以外の機器を変更した場合に関連するファイル。 ただし、現実的にはほとんど変更は不要なはず。
赤下線付
観測条件によって柔軟に変更するファイル。 本来、設定用のコマンドを用意すべきであるが、未だ作成していない。 近日中に作成する予定。
その他のファイルやディレクトリィ。

*上記の色分けはhtml版では行なっていない

a:\tele\log 
ASTROS運用によって自動生成される記録(ログ)ファイルが置かれる。 設定用にあらかじめ用意しておく必要があるファイルはない。
a:\tele\log\error.log 
ASTROS運用によって発生したエラーの記録である。 ASTROSメンテナンスに必要な情報を含む。 自動追記されるが、ファイルサイズがあまりに大きくなると問題かもしれないので、 ときどき回収して、ファイルを空にしておくこと (ファイルごと、このディレクトリから消去してしまってもかまわない)。
a:\tele\log\aosprm.log 
aoscalによって自動生成される分光器分散係数の記録。 分光器メンテナンスに必要な情報を含む。 自動追記されるが、ファイルサイズがあまりに大きくなると問題かもしれないので、 ときどき回収して、ファイルを空にしておくこと (ファイルごと、このディレクトリから消去してしまってもかまわない)。

a:\tele\dev 
ASTROS運用に必要な設定ファイルのうち、 ハードウェアに依存して調整しておく必要があるパラメータのファイルが置かれる。 定常的に運用するようになったら変更する必要がないと思われるものが置かれている。
a:\tele\dev\reap.sec 
暦表時と協定世界時UTCとの換算をするための 積算閏秒設定する。整数で指定。 単位は秒。ASTROSの天体位置計算では、以前天体位置表で使用していた 非相対論的位置計算を用いており、暦表時に基づいて月や太陽の運動 (および、それによる地球の運動)を計算に用いている。 したがって、閏秒によって不定期に変わる協定世界時との換算が必要である。 現在の積算閏秒がいくつであるべきかは該当年の「天体位置表 (海上保安庁水路部発行)」の該当項目(「天文略説」「時刻系」p.420前後)を 参照のこと。
a:\tele\dev\kisa.dat 
アンテナのアラインメントによる光軸器差パラメータを記述する。 コメント行を使用してもよい(行位置可変、ただし、順番は固定)。 現在のところ、1行目と2行目がコメントとして固定されている。 実質1行目から実質10行目まで (3行目から13行目までということ)、 A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2,D1,D2パラメータを表し、 実数で指定(e型指数表示不可)。単位はarcmin。 物理的意味は、以下のとおり。 A1=Az軸とEl軸との直交度のずれ。 A2=光軸とEl軸の直交度のずれ。 A3=Azエンコーダの真北からの原点ずれ。 B1=Az軸の南北方向の鉛直からの傾き。 B2=Az軸の東西方向の鉛直からの傾き。 B3=Elエンコーダの鉛直からの原点ずれ。 C1=望遠鏡光軸と電波ホーン位置との南北(?)方向のずれ。 C2=望遠鏡光軸と電波ホーン位置との東西(?)方向のずれ。 D1=ガイド望遠鏡光軸と電波光軸との焦点面上でのAz方向のずれ。 D2=ガイド望遠鏡光軸と電波光軸との焦点面上でのEl方向のずれ。
a:\tele\dev\488a.dat 
GPIBエクステンダーおよびGPIB-RS232C変換器での通信タイミング余裕を 確保するためにプログラムに埋め込んであるダミーウェイトの長さを決める。 1行目はGPIBエクステンダー用で、正整数で指定。 単位は任意(ダミーループを回しているためPCのスピードにもよる)。 2行目はGPIB-RS232C変換器用で、正整数で指定。単位はmsec。 (以前、使用していたGPIBエクステンダーが488Aという名称だったので、 このファイル名になっている。)
a:\tele\dev\antlock.dat 
アンテナが目的位置に到着したかを確認するために、 ASTROSプログラムからNSKモータドライバーに問い合わせをするが、 指令してから問い合わせを始めるまで、および問い合わせ間隔を指定する。 遅くすると動作が鈍くなり、速くすると通信エラーが発生しやすくなる。 1行目は天体追尾モードでの間隔で、正整数で指定。単位はmsec。 2行目はアンテナ移動モードでの間隔で、正整数で指定。単位はmsec。
a:\tele\dev\track.dat 
アンテナ追尾時の許容誤差を示す。 1行目は追尾開始時のアンテナ静定判定の許容値。 2行目は、追尾継続時のアンテナ静定判定の許容値。 3行目は、追尾継続時の追尾指令間での追尾継続判定の許容値。 実数で指定(e型指数表示不可)。単位はarcmin。
a:\tele\dev\nsk.dat 
アンテナを駆動するNSKメガトルクモータのドライバの初期化の際に 送るGPIB電文を記述する。 1行当たり256文字目(ASCII)までのみ有効。 1行目はAzドライブ、2行目はElドライブに対応する。 書式はモータドライバーの仕様による。 取扱説明書p.20以降を参照のこと。 サーボパラメータなどを指定することができる。 なお、このドライバは(電源を切っても)以前に指令されたパラメータを 保持しているので、ここで書いたパラメータのみで状態が確定しているわけではない。 現状を調べるためには、antcomプログラムなどを用いて TS0,TS1,TS3コマンドによってパラメータをモニターする必要がある。
a:\tele\dev\rs24b.dat 
RS232C-GPIB変換器の初期化の際に送るGPIB電文を記述する。 これによって変換器のRS232C側仕様を決定する。 (ファイル名は変換器名称がmodel24Bであることによる。) NSKメガトルクモータドライバと仕様を合わせるためには、「6N28N」と指定する。 9600bps,non-pality check, 2 stop bit, 8 bit charater, no x controlを意味する。 詳しくは「model24B取扱説明書」を参照のこと。
a:\tele\dev\rest.pos 
moveプログラムで望遠鏡をrest位置に移動する際の、目標位置を示す。 1行目はAz、2行目はElで、実数で指定(e型指数表示不可)。単位は度。
a:\tele\dev\trans.pos 
moveプログラムで望遠鏡をtrans(mitter)位置に移動する際の、目標位置を示す。 1行目はAz、2行目はElで、実数で指定(e型指数表示不可)。単位は度。
a:\tele\dev\aosstd.prf 
aoscalが櫛状波信号を認識するために必要な分光器の基本特性を記述する。 書式は、a:\tele\prm\aos.prfと同一。 1行目は分光器名称で、ASCIIで8文字以内。 2行目は分光器の全チャンネル数で、正整数で指定。 3行目は分光器の分散係数計算の基準チャンネルで、整数で指定。 4行目は、分光器入力信号周波数と受信機第1中間周波数との増減関係を示し、 +1または-1で指定。 5行目は分光器の中心周波数(RFで追尾している周波数に対応する分光器上での 周波数)で、実数で指定(e型指数表示可)。単位はMHz。 6行目から10行目までは分光器の分散特性を示す係数で、 実数で指定(e型指数表示可)。単位はMHzとチャンネル。 ただし、分散係数は1次までの2つ以外は0にしておくのがよい。 11行目は分光器の周波数分解能で、実数で指定(e型指数表示可)。単位はMHz。
a:\tele\dev\be.prf 
バックエンド(分光器)ドライバーの初期化の際に送るGPIB電文を記述する。 1行目256文字目(ASCII)までのみ有効。 書式はバックエンドドライバーの仕様による。 現在、使用しているS210/121オートデジタイザー取扱説明書p.28以降 およびS210追加機能説明書p.5以降を参照のこと。 なお、積分時間のみ変更する場合は、besetコマンドを利用すると、 (実測に基づく秒単位の時間を元に)自動的に、希望する時間にもっとも 近い積分時間に設定することができるので、 特に内部書式について詳細に知らなくともよい。 (ただし、実際の積分時間は2倍ごとにしか変更できないので、 あまり細かく指定しても無意味。)besetの使い方については別紙参照のこと。
a:\tele\dev\waitaos.dat 
バックエンドからデータを取得する際にバックエンドでのビットシフト処理を するのに必要な待ち時間を指定する。正整数で指定。 単位は任意(ダミーループを回しているためPCのスピードにもよる)。

a:\tele\prm 
ASTROSが動作する上で、収集が必要な各種情報のうち、 あまり変化しないと(当初)考えられたものが置かれている。
a:\tele\prm\obsel.lmt 
観測開始・継続判定をするためのEl limit。実数で指定(e型指数表示不可)。 単位は度。
a:\tele\prm\save.drv 
観測時の.scnデータを保存するためのドライブ名。ASCII英字1文字。
a:\tele\prm\ant.prf 
アンテナの特性を記述する。 1行目は望遠鏡名称で、ASCIIで8文字以内。 2行目はアンテナの開口能率で、実数で指定(e型指数表示不可)。 単位は絶対値、パーセントではないことに注意。 3行目はアンテナの主ビーム能率で、実数で指定(e型指数表示不可)。 単位は絶対値、パーセントではないことに注意。 4行目はアンテナの前方散乱能率で、実数で指定(e型指数表示不可)。 単位は絶対値、パーセントではないことに注意。 5行目はアンテナの主ビームサイズ(半値全幅)で、 実数で指定(e型指数表示不可)。単位はarcmin。
a:\tele\prm\rx.prf 
受信機の特性を記述する。 1行目は受信機名称で、ASCIIで7文字以内。 2行目は受信機雑音温度で、実数で指定(e型指数表示不可)。単位はK。 3行目はシステム雑音温度で、実数で指定(e型指数表示不可)。単位はK。
a:\tele\prm\aos.prf 
分光器の特性を記述する。書式は、a:\tele\dev\aosstd.prfと同一。 aoscalプログラムにより自動的に最新のものに更新されるので、 通常は、手動で設定する必要はない。 1行目は分光器名称で、ASCIIで8文字以内。 2行目は分光器の全チャンネル数で、正整数で指定。 3行目は分光器の分散係数計算の基準チャンネルで、整数で指定。 4行目は、分光器入力信号周波数と受信機第1中間周波数との増減関係を示し、 +1または-1で指定。 5行目は分光器の中心周波数(RFで追尾している周波数に対応する分光器上での 周波数)で、実数で指定(e型指数表示可)。単位はMHz。 6行目から10行目までは分光器の分散特性を示す係数で、 実数で指定(e型指数表示可)。単位はMHzとチャンネル。 11行目は分光器の周波数分解能で、実数で指定(e型指数表示可)。単位はMHz。
a:\tele\prm\bsfit.dat 
ASTROSでの簡易1次整約である1次ベースラインフィットの フィッティング領域を指定する。 1行目は低チャンネル側領域の開始位置、 2行目は同終了位置、 3行目は高チャンネル側領域の開始位置、 4行目は同終了位置。正整数で指定する。単位はチャンネル。
a:\tele\prm\meteo.dat 
気象パラメータを指定する。1行目は気温。実数で指定(e型指数表示不可)。 単位は摂氏。 2行目は水蒸気分圧。実数で指定(e型指数表示不可)。 単位はmbarないしhPa(実は同一単位)。 3行目は大気圧。実数で指定(e型指数表示不可)。 単位はmbarないしhPa(実は同一単位)。 onoffプログラムなどで気象データをキーボードから更新すると、 このファイルに自動反映される。
a:\tele\prm\tau.dat 
天頂での大気の光学的厚さ。実数で指定(e型指数表示不可)。

a:\tele\adm 
ASTROSが動作をするために必要な一時ファイルなどを置いておく。 ASTROSの各コマンドが自動設定するので、ほとんどの場合、 ユーザーがエディタなどでふれる必要はない。 ファイルの意味、内容がよくわかっていないと、矛盾した設定になり、 正常に動作しなくなる可能性がある。 また、ファイルの書式などについては 一般ユーザーには予告なしに変更する場合がある。
a:\tele\adm\scan.num 
前回完了したスキャン番号。次回の先頭スキャン番号の1つ前の数値でもある。 0または正整数。
a:\tele\adm\scd.nam 
現在、作業用スケジューラファイルにコピーされている.scdファイルの名称。
a:\tele\adm\using.scd 
ASTROSプログラムが実際に実行する作業用.scdファイル。
a:\tele\adm\status.now 
現在、onoffプログラムが実行完了した.scdファイルに関する情報。 現在までのスキャン番号、現在実行している.scdファイル名、 現在実行したの.scd行数、観測者名などが記述される。
a:\tele\adm\endcode.tsk 
onoffプログラムが実行した際の実行終了コード。

NSFマウントされているところに書かれるファイルは以下の通り (UNIXから見た際のマウントポイントからの相対パスで示す。 DOSからはk:\tele\...というパスになる)。 tele/prm/azeloff.datのみASTROSで読み込むファイルである。 他は、自動生成するので、事前にファイルを作成しておく必要はない。 なお、記録ドライブがNFSマウントされているドライブ(現在はk)に なっていない場合は、対応するa:\tele\...が同一内容のファイルとなる (obs.logを除く)。 これはNFSマウントができない場合の非常措置に対応したものである。 obs.logはNFSドライブに固定されているので、 NFSが不調の際は、autoobsは使用できない。
tele/adm/status.now 
a:\tele\adm\status.nowと同一。
tele/log/obs.log 
autoobsプログラムが自動生成する観測ログファイル。 1行に、実行した日時、コマンド名、オプションパラメータ、スキャン番号、 .scdファイル名、観測者名、コマンド実行終了コードなどが記載される。
tele/prm/azeloff.dat 
観測時に一時的に入れるAzElオフセット値のonoff実行時の初期値。 onoff実行中にキーボードから変更したオフセット値も自動的に反映されるが、 onoff起動後に、このファイルの内容を変更しても実際のオフセット値には 反映されず、次回のonoff起動時に、新しい値となる (NFSマウントドライブへのアクセスを減らすため、 コマンド実行中の値の変更はキーボードから行うという仕様である)。 Az,Elの順に空白で区切って2つ実数(e型指数表示不可)を指定する。単位はarcmin。