VST1のアンテナ角度読取器のリセット
概論
VSTでは、駆動モーターに組み込まれた角度読取器で測定された角度データを 元に、アンテナの駆動を行っている。この読取器は2つの読出値を持っており、 その相対差はメモリーで保持している。 また、絶対原点も別のメモリーに保持している。
したがって、一般にこの2つのメモリーのいずれかが狂うと、 アンテナが期待された方向を向かなくなる。
前者の差分メモリーが狂うと、moveコマンドなどでの動作指定位置と 現在位置認識が狂うので、アンテナが永久に到達できていないと誤認する。 (モーターの駆動電源は、別の基準で制御されているので、指定した目的 位置に達すると、駆動は停止し、その位置を保持するが、制御ソフトは アンテナが到達していないと誤認するため、無限ループに突入してしまう。)
後者の絶対位置メモリーが狂うと、角度が約2.5°単位で狂う。 これは、読取器が2.5°周期の装置を用いているためで、現在値からの 増減を積分して角度を決めているためである。
両者が狂っているかどうかは、move時の動作不良、地上固定点の見掛け位置ずれ、 可視望遠鏡による恒星の位置ずれなどで確認できる。
狂っていた場合は、以下の手順でリセットすること。
具体的手順
リセットの手順
あらかじめアンテナをAz=180d付近に動かしておく。
98にてantinitコマンドを実行する。
画面に「Az=180dのランプが消えた直後の状態にせよ」などと出てくるので、 受信機室に行ってそのようにアンテナを動かす。あるいは、moveを使ってそのように動かしておく。
リターンを押すとAzエンコーダがリセットされる。
次にElエンコーダをリセットする画面になるが、 Elエンコーダは滅多なことでは狂わない(推定)ので、 s (return)で操作をスキップする。 Elエンコーダも狂っているときには画面の指示に従って操作する。
リセットがうまくいけば、98が祝ってくれてantinitコマンドは終了する。
ポインティングの確認
moveでアンテナを
chimney, hbleft, hbright, nro45m, sign
のどれかに向ける。
対象物が光学ポインティング用のカメラに写っていれば
opintやonoffで星や標準天体がちゃんと見えることを確認する。
写っていなければ
その位置からAzを2.5n[degree] (n=..., -1, 0, 1, ...)振って対象物を探し(Azエンコーダの読みは約2.5度単位で狂う)、 エンコーダの読みと実際のアンテナの向きのずれを測る。
測ったずれの量に基づいて、「実際のアンテナの向き」が180度になるように moveを使ってアンテナを動かす。
98にてantinitコマンドを実行し、そのままリターンを押してAzエンコーダをリセットする。 (注意:コマンド実行時に動作が和文表示されるが、 現状では、Azについては、そこに示された手順ではうまくいかないことが多いので、 このページに示したやり方で実行すること。)
s (return)でElエンコーダのリセット操作をスキップする。
chimney, hbleft, hbright, nro45m, sign を使ったポインティング確認の手順↑に戻る。