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AKARI/IRC PSC 銀河面密度統計量の計算

AKARI/IRC PSC を用いて銀河面 \(l = (0^\circ,360^\circ)\), \(b=(-15^\circ,15^\circ)\) の領域に存在する天体をリストアップし, \(n\)–近傍に存在する天体までの距離を計算しました. 銀河面に限定すれば \(10'\) 近傍に IRC ソースが見つかる割合は \(95\%\) 以上であることがわかりました.

目的

MIMIZUKU には “フィールドスタッカー” と呼ばれる機構が搭載されます. この機構を用いると最大 \(25'\) 離れた 2 つの視野を切り出してひとつの視野に収めることができます. しかし, 一般に地上中間赤外線観測装置で観測できる天体数は多くないため. 実際にフィールドスタッカーがどれだけ実用できるかは, 定量的に考察する必要があります.

AKARI/IRC Point Source Catalog (PSC) を用いて明るい (\(9\,\)µm, \({>}50\,\)mJy ) 天体を抽出し, その中で近傍にある天体までの距離の分布を計算しました. また, 明るさの threshold を変えることでこの統計量がどのように変わるのかを調べました. 同様の計算を \(18\,\)µm のソースに対しても実施します. 結果から異なる観測条件に対してフィールドスタッカーの実用性を定量的に検討します.

作成方法

データの取得方法は AKARI/IRC PSC 銀河面密度マップの作成 を参照してください. 銀河面に存在する 700,000 天体 (fQual_09 = 3) を対象に \(n\)–近傍天体 (\(n=1,2,\ldots,5\)) までの距離を測定して分布を調べました. \(9\,\)µm ソースについての計算結果は nearest09.tbl, nearest09_hist.sav に記載しています. 結果をまとめたものを以下に図示しました. 図 1 は \(n\)–近傍距離のヒストグラムです. 最近傍距離のピークは \(1'\) 程度の距離にあることがわかりました. \(n\) が増えるほどピークの位置は長い側にシフトしますが, \(5\)–近傍でもピークは \(10'\) を超えないことが分かりました. 図 2 は距離の近い側から累積したヒストグラムです. 銀河面内のおよそ \(96\%\) の天体が最近傍距離 \({<}10'\) を持つことがわかります. \(2\)–近傍であれば \({\sim}88\%\) の天体が, \(5\)–近傍であれば \({\sim}69\%\) の天体が近傍距離 \({<}10'\) に含まれることがわかります.

図 1. AKARI/IRC 9 µm, >50 mJy 天体 n-近傍距離ヒストグラム
図 2. AKARI/IRC 9 µm, >50 mJy 天体 n-近傍距離累積ヒストグラム

まとめ

AKARI/IRC PSC のデータを用いて, 銀河面の天体の \(n\)–近傍距離を計算しました. \(9\,\)µm で \({>}50\,\)mJy を満たす天体については約 \(96\%\) の天体が \(10'\) 以下の最近傍距離を持つことがわかりました. \(n=2,5\) の天体についてはそれぞれ約 \(88\%\), \(69\%\) の天体が \(n\)–近傍距離 \({<}10'\) を持つことがわかりました. ただし, この値は銀河面全体を積算した統計量となっています. 天体の数密度は銀緯に強く依存しており, また銀河中心方向に集中しています. フィールドスタッカーの有効性をより正確に評価するためには, 銀河の領域で場合分けして計算する必要があることに注意してください.

資料