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AKARI/IRC PSC 銀河面密度マップの作成

AKARI/IRC Point Source Catalog (PSC) を用いて銀河面 \(l = (0^\circ,360^\circ)\), \(b=(-15^\circ,15^\circ)\) の領域について半径 \(r\,\)arcmin で \(f\,\)Jy 以上の明るさを持つ天体の数を計算しました. マップは \(6'{\times}6'\)\(3'{\times}3'\) のピクセルスケールで, 半径 \(r\)\(5\), \(10\), \(15\), \(20\), \(25'\) についてそれぞれ作成しました. フラックス強度のしきい値は TAO/MIMIZUKU の 1s-1σ 感度を想定して \(f_{9\,{\rm \mu m}} = 50\,\)mJy に設定しました. 探索半径として \(r = 10'\) 程度を確保することができれば, \(l\sim180^\circ\) の領域においても \(f_{9\,{\rm \mu m}} \gtrsim 50\,\)mJy の天体を少なくとも \(1\) 天体は見つけることができるという結果になりました.

目的

MIMIZUKU には “フィールドスタッカー” と呼ばれる機構が搭載されます. この機構を用いると最大 \(25'\) 離れた 2 つの視野を切り出してひとつの視野に収めることができます. しかし, 一般に地上中間赤外線観測装置で観測できる天体数は限られており, 実際にフィールドスタッカーがどれだけ実用できるかは定量的に考察する必要があります.

これまで, すでに板氏によって AKARI/IRC Point Source Catalog (PSC) を用いて \(9\,\)µm で \(50\,\)mJy よりも明るい天体の最短距離の分布が計算されています. この計算ではフィールドスタッカーは十分に機能することが示唆されています. しかしながら, 板氏の計算は全天の平均的な振る舞いを示したものであり, 特定の領域においてフィールドスタッカーが利用可能であるかどうかはまだ検討されていませんでした. そこで, 板氏と同じく AKARI/IRC PSC をもちいて, 銀河面における \({>}50\,\)mJy 天体の分布を調べました.

以下に DARTS/AKARI から必要なデータを抽出するための SQL スクリプトを示します.

SELECT
  io.ra, io.dec, io.l, io.b,
  io.flux_09, io.fQual_09, io.flux_18, io.fQual_18
FROM
  fGetObjFromRectCel('Irc', 'gal', 0.0, 360., -20., 20.) i,
  IrcObjAll io
WHERE i.objID = io.objID and io.fQual_09 = 3
ORDER BY io.l

\(0^\circ \le l \le 360^\circ\), \({-}15^\circ \le b \le 15^\circ\) の領域を指定のサイズのグリッドで分割 (視野中心で \(6'{\times}6'\)\(3'{\times}3'\) の BOXCAR 投影) し, そのグリッド中心から半径 \(r\,\)arcmin に含まれる天体数を数えました. 結果を fits 形式で保存しています. 各ピクセル値の値は半径 \(r\,\)arcmin 内に含まれる \({>}50\,\)mJy 天体の個数です. AXIS1, AXIS2, AXIS3 はそれぞれ \(l\), \(b\), \(r\) に対応しています.

\(3'{\times}3'\) グリッドで作成したマップのサンプルを以下に表示します. カラーマップは mim, max の対数スケールで表示しています. マップは上から順に \(r = 5\), \(10\), \(15\), \(20\), \(25'\) に対応しています. \(10'\) ほどの探索半径をとれば, 銀河の外側においても \({>}50\,\)mJy を満たす天体を最低 \(1\) つ程度は発見できることを示唆しています. なお銀河中心付近で斜めに走っている低密度構造は, 検出器の不安定性に起因する構造であり, 実際には周辺部と同程度の天体密度があると考えています.

図 1. 9 µm, 50 mJy 3′×3′ マップ, 上から順に半径 5, 10, 15, 20, 25′ に対応

バンド しきい値 グリッド マップ
9 µm 50 mJy 3′×3′ densitymap_3min_09um050mJy.fits.gz
18 µm 130 mJy 3′×3′ densitymap_3min_18um130mJy.fits.gz
9 µm 50 mJy 6′×6′ densitymap_6min_09um050mJy.fits.gz
18 µm 130 mJy 6′×6′ densitymap_6min_18um130mJy.fits.gz

まとめ

AKARI/IRC PSC を用いて銀河面における \({>}50\,\)mJy 天体の密度分布を調べました. 少なくとも \(N\)-バンド撮像においてはフィールドスタッカーは (確率的には) 十分に機能すると考えられます. 一方で, 興味のある天体の周囲に参照光源として使用可能な天体がいるかどうかはケースバイケースです. 観測を実施するため, あるいはプロポーザルを作成するためにも, 参照光源となりうる天体のリストを迅速に検索できるツールを用意しておく必要があります.

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